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第二回 松見 充康氏との対談

対談第二回 松見 充康氏 

松見 充康氏対談3P目

「東京より大阪がビジネスの拠点であるべき?」

対談第二回 松見 充康氏


山本: やっぱ大阪がいいですか。まあ、そうですね。そうですね。僕も大阪がいいっす。(笑)大阪、いいっすね。大阪、なんでいいんでしょうね。なんか分からんすよね。そういうものなんすかね。
松見: あの、生活はやっぱ便利ですよね。食費というか。
山本: 安い。うまい。
松見: で、たくさんあるじゃないですか、選択肢も。
山本: ある。東京やったらちょっとうまかったら、すぐもう並ぶでしょう。
松見: 高いし。で、安いとこはまずいし。
山本: そう。むっちゃまずいっすよね。大阪、しかも、人は集まりますしね。商売できますしね。言うても、東京行こうってなって、まあ、朝出たら昼までには着くし。
松見: できるだけもう、日帰りにしたいんです。
山本: 日帰り、しんどいでしょ。
松見: まあまあ、泊まるのもね。
山本: でも、大阪好きは似てますね。僕もかなり大阪好きですね、本当に。
松見: でも結構、東京、頻繁に行ってるでしょう、もう毎週。
山本: そう、なんか商売は東京ですね。僕、もう、3週間ぐらい行かなかったら、ちょっと駄目でしょうね。
松見: そうでしょう。
山本: でもやっぱり、地面代にしても、だってここ、本町のど真ん中で坪6500円やけど、東京やったら同じとこやったら1万5000とかでしょう。
松見: かかるでしょうね。そうでしょうね。
山本: そのお金って本当に意味あるのっていうのはすごい思いますね、僕は。やっぱり意味あるんでしょうけど。営業、まあ、西に地面置いて、東に営業マンだけ行くっていうのが一番いいんじゃないかなっていうのが、今の感覚値かなっていう感じですね。
松見: でもあの、倉庫も借りてはるじゃないですか。テレビでも見さしてもらいましたけど。
山本: あります、あります。
松見: 出張してるときかな。Yahoo!の見たら、載ってましたもんね。
山本: そうそう。載ってました、載ってました。なんか最近メディア出まくって、明日も『ガイアの夜明け』に僕、出張るんです。
松見: 出はるんですか。
山本: そうです、そうです。見てください。
松見: 前、1回出てはったでしょ。
山本: 2回目、2回目。めちゃめちゃ流行ってますね。その在庫処分に対する何とか、注目が。で、なんかやっぱり、在庫が増えてるっていうのをメーカーの人も絶対答えないじゃないですか。それは当たり前ですよね。
松見: 答えません。 でも、あんまりメディアに出てたら、いろんな横やりとか変なん、来ませんか。
山本: ま、有名税でしょう。俺はちょこちょこ、いいことばっかりじゃないんで、それはごちゃごちゃ言われてもいいけど、ちゃんとメーカーさんの商品、気使ってやってますっていうところは伝われば、基本的には信頼は増える感じっすね。僕の中では。全然いいって感じです。全然、もうどんどん出してくださいって感じです。だから、明日の番組もどうなるか分かんないですけど、まあ、いいんじゃないかなっていう感じですね。
松見: ぜひ、見してもらいます、明日。

「引退を決意した理由」


山本: ああ、すいません。ちょっとどんな内容になるか、僕らも分かんないんですけど。で、三喜に戻って、仕事をええと、何て言うのかな。
松見: そうです。まず最初は、仕入れと物流とシステムと。
山本: むっちゃいっぱいやん。(笑)むっちゃいっぱいやん。むっちゃいっぱいやん。
松見: その辺と、その時に在庫、確認したんです。どんだけ持ってんのか。
山本: いっぱい。そら、いっぱいあるでしょう。
松見: ある。それと管理が、商品の管理ではなくて、契約を交わしてるブランド、交わしてないブランド。契約を交わしてるブランドなんかは、売り抜き期間ってあるんですよ、契約終わってから。
山本: え、どういうことですか。
松見: 売れる期間が決まってるんですね。大体、6月に契約が終わります。ただ、ラベルが付いたままだと、あと半年間。年末までは売ってもらっていいです。ただし、売ってもらうのはファミリーセールとか社員販売に限りますとか、そういうのが必ず契約書に付くんですよ。で、それ以降どうなるかっていうと、このラベルを切って半年間はいいですと。その代わり、それ以降になったら燃やしてくださいと。
山本: あ、そうなの。厳しいですね。
松見: だからそんなことしてたら、仮に万が一、メーカーがそれを聞きつけたら、大変なことになる。もう何十倍もの損害を与える……。
山本: そうですね。金くれ言われるもんね。めっちゃおもろい。
松見: 処分できるやつは最悪処分して、もうできないやつは燃やそうと。
山本: でもそれ、みんな気付いてたんですけどね。見て見ぬふりじゃないですか。
松見: あのね……。契約の中身をどこまで把握してるか。どこまでシビアに思ってるかですね。
山本: なるほどね。もう、めっちゃ売れてたんじゃないですか。
松見: 出ましたね。
山本: 10億とか、もう、ボーンって上がりません?
松見: だから、なんぼ売りましたかね。買値で億単位やったんちゃうかな。
山本: あ、なるほどね。なるほど、なるほど。分かります。
松見: 当時から山本社長のこと知ってたらお願いしてたけどね。
山本: いえいえ、全然いいっす。そんなことないです。そんなことない。なるほどね。で、それをじゃあ、8年ぐらい勤め上げて……。
松見: 4年ですね。
山本: ああ、そうか。
松見: 三喜は、4年じゃない、5年か。
山本: で、60ですか。え、松見さん、今、幾つでしたっけ。
松見: 61です。
山本: え、もう65までやろうぜってなんなかったんですか。
松見: うーん、なりませんでしたね。
山本: へえ。
松見: 社長と僕って同期なんですね。で、社長が四つ、年は上なんですけど、やっぱり組織って若返らないといかんじゃないですか。僕もある意味、ミッソーニの交渉とアレキサンダーワンの交渉をさせてもらって、幸いにもそれ取れましたし。そしたらもう、変な話、自分が百貨店に出てって、百貨店と交渉することも必要ないかなと。
山本: なんでなん。なんで駄目出しすんの。めっちゃ面白いな。
松見: 僕らの年代って、もうみんな社長なんですよ、言ったら。
山本: 分かる、分かります。
松見: そしたら百貨店の社長に、いや、このブランドあるんですけどどうですかって、そんな話をしに行かないやないですか。
山本: なるほどね。
松見: 大体ね、社長と話しをするって言ったら、まあ、下手くそでもゴルフの話するか、よっぽどでないと仕事の話とかしないんですよ。
山本: ふーん、そうなん、そんなもんなんですか。
松見: しないんです。たとえ30分でも会えるし、ご飯も行けるしっていう間柄の人がいるんで、わざわざね、いや、困ってるんですわって行くのもかえって相手が困るんですよ。
山本: なるほどね。
松見: だから、もうええかなと。
山本: あ、なるほど。で、ご自分でやろうと思ったってこと?
松見: そうだね。いつか自分でやりたかったんで。いつかは自分が50で社長になりたいと思ってた。で、次はほんまの社長に、自分一人でも社長は社長やしと。誰がなんと言うても、俺は社長やというね。ただ、その覚悟は決められるかどうかっていうのは、やっぱりその4月の末で退職して、5月、6月は悩みましたわ。
山本: まあでも、それをやると決めたってことですね。
松見: あのね、やっぱり組織人として40年でしたから、やっぱりその、組織人をやると、1人になるとやっぱ不安ですわ。
山本: そりゃあ、不安でしょう。もう、不安やと思います。
松見: ただまあ、それを皆さん、やってこられてるんでね。ヤマダ電機社長もそうやし、みんなやってこられてて、それだけの覚悟を決めてやってこられてるんやから、先輩を見習って自分もね。
山本: 言い過ぎやな。
松見: いやいや、そう思ってるんです。自分もね、それぐらいの覚悟があるんかと。ほんまにそう思って家内にも言って、やってみるかと。
山本: そりゃあ、嫁さんもだって、文句言わんでしょう。
松見: うんまあ、言ったら、ご意見番ですからね。一番、冷静に僕のこと見てますから。
山本: (笑)なるほどね。何て言ってました、嫁さんは。
松見: あの、やると決めたらやろうやと。まあ、老後の蓄えって言ったらおかしいですけど。
山本: ま、死にはせんと。
松見: それはあるんやから、それを後から使うか、先に使うかだけの話やから。
山本: おお、ええこと言うね、嫁さん。いい嫁さんですね。嫁さんって、俺が言うたらあれやけど。松見さん、その人生の中で、その、サラリーマン、組織の人生の中で、一番、失敗したっていうことってなんかあるんすか。

「損害を出した苦い経験」


松見: 失敗はね、そうですね、取り込み詐欺でやられましたね。
山本: ええ。あるんすか。どんな時代ですか。
松見: 三喜の時ですけど、営業で、新規で来られて、2件あるんですけど。1個は僕が直接の担当の商品じゃなかったんですけど、カシミヤのセーター類だけをごそっと買われて。で……。
山本: ごそってどれぐらい。
松見: 400万ぐらい買われて、大体ですよ。だから回収が400万ですよね。で、集金に行ったら……。
山本: おらんかったんですか。
松見: いや、いたんですけどヤクザがもう入ってて、商品が1点もなくてもうもぬけの殻です。完全にやられましたね、400万。で、もう1個はそれこそクリツィアの商品を300万ほど、やられました。
山本: それも、もう行ったら、何にもなかったってことですか。
松見: 何にもなかったです。
山本: 最初、店ですって来るんですか、やっぱり。
松見: はい。そういう取り込み詐欺に。まあ、経験不足もあったでしょうしね。売り上げほしいから。
山本: 僕も在庫あったら、中身違ったってありますからね。もう、それは大騒ぎですよね。けんか売ってんのかみたいな話ですよね。それは確かに、もう失敗談的な失敗ですね。
松見: そうですね。

「社長にも戻りたい過去はあるか」


山本: いろいろ質問、あるんですけど。過去に戻れるんやったら、どのタイミングで戻りたいですか。
松見: 50歳ですね。
山本: 50。結構、最近すね。
松見: 社長になりたいと思った時に戻りたいですね。結局ね、もう1個の失敗談とすると、本当の社長になり切れなかったと思います。50の時には。本当の経営者……。
山本: そのバレンチノの時ですか。
松見: はい。やっぱりなんの経験もなくて……。
山本: いや、経験あるでしょう。
松見: いやまあ、ただ、本当の経営者としての経験はなかったと思います。人の管理、商品の管理、それから出店の計画とか、資金繰りとか、全てにおいてね。本当に、その経営者がかくあるべきというところの準備をできないままに社長になったと思うんで、戻れるんならそこからやり直しですね。
山本: 一番、何が足りなかったと思いますか。
松見: やっぱり、知識が足らんかったと思います。経営者とはっていう知識が。
山本: えー、どんなの?
松見: その、社長とはかくあるべきっていうのが、それが業種、業態によって違うと思いますけど、本当に自分がファッション業界の一つの老舗ブランドの社長としての機能をしたかどうかというのを今も思います。
山本: もうちょっと、僕に分かりやすく、詳しく言ってもらえないですか。
松見: あのね、結局、社長って今だけ見てても駄目じゃないですか。
山本: そりゃ、そうですね。
松見: 先を見ないと駄目。で、過去も見とかないと。
山本: まあ、前どうやったかなっていうの。
松見: で、それの積み重ねの中で、いろんな人とも接して、自分のネットワークを広げるというよりも、自分の知識と経験を高めていかないといかんと思うんです。それがあって、それから数字に明るくて、将来の展望に対してもある程度、博打、博才があってっていうね。
山本: ま、博才は結構、重要っすね。博才はちょっと重要。
松見: やっぱりそれと決断力やと思います。経営者に必要なんは。ここでこれをやる、やらんっていう。やるのが全てじゃなくて、やらない勇気がもっと大事やと思います。

「トップに立った者の人の育て方」


山本: 確かにやらんのは重要ですね。僕もやっちゃいますからね。松見さんは、社長っていう中で、僕は人を育てるっていうのが結構、重要やと思いますけど、僕も全然、下手くそなんですけど、この人はうまくいったとかなんか、あります? こういう人はうまくいくとか、逆に。
松見: あんまりね、手取り足取りは言わないんです。
山本: 松見さんは。
松見: 言わないです。それと、成功したことはあまり言いません。やっぱり一緒に行動するようにして、どう感じたと。今日のお客さん、どう思う? 今日の話、どう思う? ていうことで、僕は聞き役に徹するようにしてるんです。で、いろんなことを聞くだけ聞いて、自分が思うことを言うようにしてます。するようにしました。結局、幾ら言ったって、自分よりも10も15も20も年違う子が、同じ場面に立ち会った時に、僕はこう感じたけど、この子はどう感じたんやろうというのは、違って当たり前なんで。だから間違ってるかも分からないけども、どう感じたかを聞いてあげるのは、僕は重要じゃないかなと思うんです。
山本: 確かにアウトプットしないですからね、意外と。
松見: で、それが社長になって成功体験まみれになってると、聞かないですよね、そんなの。何言うとんねんとなるんで。ところが、それが成功体験っていう意味では、おごりというか、自分がやってきたっていうふうにふんぞり返った時もありましたからね、若い時に。
山本: 思い出の部下とか、思い出の同僚とかいます?
松見: いますね。今でも三喜にいますし、やっぱり。
山本: それはどういうところ、思い出ですか。
松見: やっぱりね、ここにも書かれてましたけど、次の経営者になろうとするやつは2番手じゃないんです。3番手にいますわ。2番手のやつというのは社長のサポート、サポートするにはたけてます。でも、上に立って人を引っ張ろうという欲、欲がまずないのと、そこまでの技量を感じない。なぜかって言うと、この人を立てるんやという、いわゆる女房役みたいな。でも3番目にいる人は、いつかこの2番のやつを抜かしたろうと思ってるんで。
山本: めっちゃおもろいな。
松見: だから、3番目の人が1番になれる。
山本: それ、面白いですね。それ、初めて聞いたな。
松見: と、思います。
山本: なるほど。
松見: だから2番目で、ああ、こいつは重宝でいいなと。例えば、いろんな会社の、ちょうど決算が終わって役員人事があった時に、見られてたら分かると思いますけど、大体、副社長が社長になるってケース、なくはないんですけど、少ないですよね。同族やない限り。
山本: なるほどね。なるほど。
松見: 何人抜きかで社長になるとか。
山本: 多いってことですね。逆に、その部下の話だと、褒め方とか叱り方とか自分に決めてること、あります?
松見: あの、叱るときは大勢のところでは叱らないです。1人だけ呼んで叱るようにしてます。
山本: 僕、反対ですね。
松見: 大勢のところでやると、パワハラになる可能性があるんで。
山本: なるほどね。呼んで、まあ、叱ると。
松見: 叱るというか指導する。
山本: 短い時間ですか、結構、長くやります?
松見: いや、短い時間で。もう、ポイントしか言わない。
山本: 言うこと、聞きます? それ。逆に、むちゃ怒ってとかないんですか。
松見: まあ、若い頃はね、もっと気も短かったしあれですけど、この年でそんなんできませんしね。
山本: まあ、そらそうでしょう、それは。
松見: だから、今は言い分を聞くといいますか。
山本: あ、言い分を聞く。なるほどね。
松見: 結局ね、それって理論武装につながるじゃないですか。理屈武装、理論武装につながるんで、それは一つの交渉術としての研修やと思ってるんですよ。
山本: あ、向こうのね。
松見: 部下の。
山本: なるほど。
松見: だから、僕が納得できるようなことを言ってくれと。教えてくれと、なんでこうなったんかと。
山本: 悪いの、分かってますからね。そうすね。なるほど。松見さんは今日、何か話そうと思ったことって、なんかあります?

バックナンバー

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松見 充康氏対談 第二回対談
尾井 善雄氏対談 第三回対談
星 正壽氏との対談 第四回星正壽氏との対談