対談第三回4P目 尾井 善雄氏
尾井氏対談4P目
「イノベーションを生み続ける人」
山本:へえ。もう辞めてますもんね。なるほどね。あとは、タイはどこ行ったんですか。
尾井:タイはバンコクですよ。カスタマーサービスをやった時に、これも通販会社じゃ初めてなんですけど。なんか自慢話みたいなことばっかりになって申し訳ないですけど。
山本:ああ、全然いいすよ。
尾井:海外にコールセンター、初めて作ったんですよ。一番最初、中国の大連に作ったんですよ。それから、バンコクに作ったんですよ。
山本:へえ。
尾井:大連は、いわゆる中国語を習いたいっていう日本人を連れて行くんですよ。
山本:うん。
尾井:で、向こうでアルバイトして、中国語の語学学校に行ってもらうっていう会社とタイアップしてやったんです。
山本:ええー。めっちゃそれ、マイナーな会社っすね。
尾井:うん。ええ。めちゃくちゃその人件費が上がってきましてね。やり出した頃からするともう10年以上前ですから、だからもう成り立たなくなって、どんどん西へ行くようにして。
山本:熊本とか。
尾井:いや、西っていうのは、要するに、海外でも西の方。
山本:ああ、なるほど。そうですよね。
尾井:だから生産拠点と一緒で、先ほどのSPAの話しましたけど、最初、韓国でやってたんが、中国でやって、中国もどんどん田舎の方ですね、沿岸部じゃなくて。で、結果的には、バングラディシュまで行きましたからね。西の方へ。要は、人件費がどんどん上がっていくんですよね。
山本:うんうんうん。
尾井:だから、安いコストでできるとこを選んでいきますんで、このコールセンターを作ったいう時も最終的にはバンコク。で、バンコクの日本人向けのサービスですから、誰にやってもらうかっていったら、向こうにね、リタイアした人とか、向こうがものすごく好きで、もう永住してるっていうような若者がいるんですよ。
山本:ふうん。
尾井:そういう人たち、日本の賃金の大体、6割ぐらいで来てもらって。まあ、6割以下の物価水準でしたから、そこで要するに日本人向けのサービスを。
山本:え、じゃあ、バンコクのコールセンターやけど、いるのは日本人なんですか。
尾井:そうです。
山本:あ、そうなんや。コールセンターって僕、向こうの人に教えてると思ってました。
尾井:そらもう、日本人向けのサービスは無理です。
山本:無理?
尾井:日本語が。もともとの発想は、アメリカがフィリピンに作ったんですよ。同じ英語圏で。アメリカのコールセンター。で、時差があるでしょ。ということは、例えば極端なことをいうと、向こうの真夜中でも対応できるとかね。
山本:うんうんうんうん。
尾井:24時間ね。それはもともとの動機になったんですけど、英語圏に日本語を話さすとか、中国圏に日本語を話さすのはもう無理ですから。ですから結局、日本人をターゲットにすると大連かバンコクやったんです。
山本:バンコクは何人ぐらい。
尾井:結構いましたよ。あの時はトランスコスモスという会社とね、タイアップしたんですよ。
山本:ああ。うんうん。
尾井:トラコスさんと。で、100人近い、うん? 100人はいかん、70人ぐらいかな。
山本:そんなにいるんすか、日本人。
尾井:今はもう撤退しましたけどね。
山本:なんで撤退したんですか。
尾井:だから、ニッセンがこうなってますから。
山本:ああ、なるほど。コストが下がったってことですね。
尾井:うん。で、メール対応。これに関しては、実は、大連、いいんですよ。なぜかというと、同じ漢字圏、漢字ですから。
山本:ああ、そうか。
尾井:要するに、ひな形作ったらわーっと打ちよるんですよ。中国人でも。
山本:ふうん。なるほどね。じゃ、今でもそれは?
尾井:それは今でもやってますね。話、戻りますけど、そういう場所を探したり、そういうことするために出張するでしょ。
山本:はい。
尾井:で、よかったら家内とその夏休みに連れて行くとかっていうことをやってました。
山本:へえ。それは文句出ないですね。
尾井:そうでしょ。
山本:それは文句出ないです。
尾井:普段の行いをその休みの時に海外連れて行くとか、温泉連れて行くとか。毎月ですよ。毎月みたいに連れてってますよ。温泉。
山本:ほんまですか。
尾井:はい。
山本:え、それ、それすごいですね。え、今でも? 昔も?
尾井:昔は、毎月は行けなかったですけど。
山本:ふた月に一遍とかですか。
尾井:うーん、3カ月に1回かなあ。海外は大体、年に2回ぐらい行きましたね。
山本:みんなどうなんでしょうね。それって多いんですかね、少ないんですかね。2、3カ月に一遍、旅行って。
尾井:どうでしょう。多い方じゃないですか。行ってもね、喋らないですよ。
山本:なんで? フフ。
尾井:フフ。喋ることないですから。
山本:なんで?(笑) なんでなん? なんでなん? フフ。
尾井:車で行っても、この間ちょっと、榊原温泉に、鳥羽のリゾートホテル行ったりするんですけど。車で2時間ぐらい走るんですけどね、ひとっ言も喋らない。
山本:なんでなん? フッフッフッフ。(笑)まあ、それでもまあ。喋らないのはいいんですか。
尾井:ていうかまあ、話題がないというよりも、喋らん空気の方が、結構うまくいく時あるんですよ。
山本:なんなん、それ。僕、若いから分からんっす。あーあ、分からん。
尾井:結婚されてますよね? 何年目ですか。
山本:えっとね、僕、2回目で、今年の6月に結婚、再婚しました。
尾井:ほな、もう新婚じゃないですか。
山本:そうです。
尾井:まだ分からないです。
山本:まあ、話すことありますね。僕、結構べしゃりやから喋りに行く方なんですけど、喋らなかったら暇ですね。暇。
尾井:うん、だからまあ、昔は喋ってましたよ。
山本:うんうん。
尾井:だんだんこう、話題がなくなってくるし、話題の中心が子どものことやったんですよ。で、子どもがもういわゆるね、親から離れるとね、やっぱり子どもの話題も持たなくなるから、共通の話題がなくなるんですよね。
山本:うん。
尾井:だから喋らなくなるんですよ。
山本:なるほどね。ふうん。奥さんに感謝してることって、なんかあります?
尾井:感謝は、うーん、感謝ねえ。まあ、一言でいうと、こんな男でよく辛抱してくれたよなと。感謝ですよね。
山本:なるほど(笑)。それ、今日、言ったらいいじゃないですか。アハハハ。どうしたん? あんたって(笑)。あーあ。
尾井:その言葉はやっぱり、なかなか面と向かっては言えないですね。
山本:いやあ、言えんすね。
尾井:ここまで出掛けたんですけど。
山本:(笑)
尾井:死ぬ時、言うたろ思って。
山本:(笑)
尾井:棺おけの中で。
山本:(笑)めっちゃ面白いな。あーあ。なんでカスタマーサービスに行ったんですか。クレジットサービスから。
尾井:これはたまたま、カスタマーサービスの方で人員が足らなかったのと。
山本:ああ、でも、攻撃攻撃攻撃、防御防御、みたいな感じですよね。
尾井:ではないですよ。実は、これもちょっと説明をすると長い話になるんですけど。
山本:いいですよ、全然。
尾井:要は、カスタマーサービスっていうのはオペレーションですけど、お客さんからのいろん注文とか、問い合わせとか受けたりするコールセンターを管理したり、メールのところを管理したりっていうのがカスタマーサービス。それとか、お客さま相談室とか。対通販の場合っていうのは顔合わさないじゃないですか。それを電話であるとか、メールとかで対応する所なんですけど、ある事業を思いついたんですよ。
山本:うん。なんすか。
尾井:今ではもう当たり前なんですけど、何かというと、電話がかかってきたときにセールスするんですよ。注文の電話がある時に、いわゆるワンモアセールスっていいまして、マクドナルド行ってハンバーガー注文すると、「ポテトもいかがですか」っておすすめされるじゃないですか。それを電話でやり出したんですよ。
山本:へえ。今まで注文取るだけやったんですね。
尾井:だけやったんです。それを僕が「こういうことしたらいいんじゃないですか」という話をした時に、「面白い、やろう」と。
山本:それ、多いっすね。へえ。
尾井:それが当たったんですよ。
山本:ふうん。
尾井:何を売るかというたら、やっぱり女性が中心ですから、美と健康っていうもののキーワードですから、健康食品であるとか、化粧品であるとか、スクワランっていう……。
山本:ああ、スクワラン。サメのやつでしたっけ。
尾井:そうそう。あのエキスを、ものすごく高かったものを安くして売ったら、かかってきた電話で最高6パーセント売れたんですよ。
山本:6?
尾井:うん。6パーセント。
山本:すげえな。
尾井:100本電話かかってきたら、6人買ってたんです。
山本:めちゃめちゃいいやん。
尾井:で、これを今度は頒布会にしようと。
山本:ああ、なるほどね。
尾井:要するに、1回取ったお客さんは継続してものを送れるようにしたら、そのLTVそのものが全部利益になるじゃないですか。
山本:なりますね。
尾井:ていうふうに、事業を拡大していって、最終的に健康食品っていうものが中心になって、その部隊そのものを独立させたんです。
山本:ああ、なるほどね。それはドル箱っすね。
尾井:よかったすよ。苦情も多かったですけど。
山本:アハハハハハ。
尾井:セールスの、ほら、何ていうんですか、きつくて。
山本:なるほどね。
尾井:電話でしつこいとかね。今はどこでも当たり前にやってますけども。
山本:うんうんうん。なるほどね。
尾井:それも多分ね、通販業界では初めてやったと思います。
山本:すげえ。なるほど。じゃ、カスタマーサービス本部長といいつつ、ワンモアセールス部長ということですね。
尾井:ワンモアセールス。待ちのサービスだけじゃなくて、攻めるサービスっていう考え方でやりましたから、どちらかというと、今まではそんなことの動きが会社のカスタマーサービスの中になかったんで、まず一番苦労したのが、オペレーターが最高で4000人ぐらいいたんですよ。全国に。
山本:めっちゃ多い(笑)。
尾井:はい。で、その人らの意識改革ですよ。注文受けるだけって、私は聞いて入ったんやっていう人にこっちからアプローチせえっていうことを。
山本:スクワラン買いなさいよみたいな。
尾井:その代わりに、多少なりとそのコミッションを与えるから、インセンティブ与えるからっていうことで、……。
山本:やってくれですよね。へえ。
尾井:やってくれ。だからその当時の、一番の自分がやった仕事は、各センター回って講義するんですよ。オペレーターを集めて。これだからやってほしい、っていうことね。
山本:なるほどね。インセンってどのぐらいあるんですか。
尾井:いやあ、まあ知れてましたけどね。だから、直接的にはインセンティブにすると、さっき言うた、押しが強くなるんですよね。
山本:なるほど。
尾井:1個売ってなんぼになるとすると、無理やり売る人出てくるから、例えば応対がいいとか、それから物が売れるとか、そういう総合的な評価でお給料にプラスしようというふうに。
山本:ああ、なるほどね。確かに、インセンにしたらちょっと強い感じになりますもんね。なるほど。クレジットカード商売やってたんですか。
尾井:え?
山本:クレジットの分はどういう商売なんですか。
尾井:これ、だからハウスカードですよ。
山本:で、えっと、やることってなんかあるんですか。
尾井:え、だから、顧客開発ですよ。
山本:ああ、もっと入ってくれ、もっと入ってくれって。
尾井:そうです。で、最終的には買ったお客さんにハウスカードどうですかっていうおすすめするんですよ。そのおすすめの展開が、そのカスタマーサービス移った時に、物を売るっていうふうに変わっていったんですよ。
山本:ああ。なるほどね。じゃ、カードも入るし、物もどうですかっていう。他に物とかではなんか売ったんですか。
尾井:そう。あとはね、いろいろ考えましたけどね、こういうものできないか、こういうものできないかって、考えましたけどね、結果的には電話ってお客さんからすると、これを注文したいと思って電話するわけで、その用件が終わったら切りたいんですよ。
山本:ハハハハ。
尾井:だから、あなたの話が面白いからもうちょっと聞いてみよかってならんと、なかなかお客さんはこっちのアプローチに乗ってくれないじゃないですか。
山本:なるほどね。
尾井:だから、何でもかんでも売れるっていうことじゃなくて、やっぱりお客さんの興味聞き出して、聞き出した興味に対してこういうふうなものがありますよと。
山本:ハウスカードのキャンペーンでよかったのって、なんかあるんすか。
尾井:ハウスカードね。やっぱりインセンティブですよね。
山本:うん。
尾井:今はどこでもやってますけども、ポイントがあれば500ポイント付けるとかね、キャッシュバックとかね。
山本:やっぱりああいうのが一番なんすか。じゃ、5000円買うて、注文しようとしたら、今、入ったら1000円安くなりますよって言われたら……。
尾井:1000円使えるお買い物券差し上げますよ、っていうのが一番有効ですね。
「仕事で学んだ嫁との付き合い方」
山本:ほな、入っとこかってなりますもんね。もうこの頃って、偉くなってこられてると思うんですけど、なんか仕事のやり方とか変わったりしました?
尾井:仕事のやり方。まあ、先ほど言った4000人のオペレーターをいかに説得するかっていうところで、実はちょっと、ノイローゼ気味になったことありましてね。
山本:へえ。
尾井:ま、いわゆる、女性に対するあれで。
山本:尾井さん、ならなそうですけどね。ハハハ。
尾井:女性に対するアレルギーみたいな。もともと部下は女性もいたけど、男が多かったんで。まして、パートっていう位置付けでしたら、気持ちの軽さが違うじゃないですか。
山本:うん。軽いですね。
尾井:いつでも辞めたる、みたいな。だから、そういう人たちにいかに納得さすかっていうところで苦労して、何ていうんですかね、女性の顔見ると、特におばちゃんの顔見ると、口だけが迫ってくるような。
山本:アッハハ。
尾井:こうなんかね、妄想みたいなんに駆られてちょっとノイローゼ気味になったことありますね。
山本:結構、反論されるんですか。
尾井:反論します。もう、好き勝手言います。一時、大阪のどこやったかな、新千里。セルシーがあるね。
山本:うん。
尾井:住友生命ビルかな。中にもコールセンターあったんですよ。
山本:うんうん。
尾井:そら、大阪が一番きつかったですよ。大阪のおばちゃんが。
山本:あ、そうですか(笑)。むっちゃ面白いな。どんなこと言われたんですか。
尾井:いや、だから要するに、兄ちゃん呼ばわりですよね。
山本:うーん。あの、大会社の本部長……。
尾井:役員であれ、部長であれ、関係なく自分らより若い、まあ、いうたら自分らの息子と同じくらいのやつに偉そうに言われたら、もう兄ちゃん呼ばわりや。
山本:アッハハハ。むっちゃ面白い。ヒッヒヒヒ。
尾井:それにいちいち腹立てたりむかついてたら、説得はできないですから。
山本:そうですね。フッフフフフ。
尾井:だから頭下げるんですよね。もう、一番は。頼むからやってくれ言うて。
山本:なるほど。それはちょっと弱いですね、向こうには。
尾井:うん。だから、こういう人にはこうやるっていうような、別に、決まったノウハウがあったわけじゃないですけど、もうにっちもさっちもいかへんかったら、頭下げる。
山本:(笑)
尾井:頼むからやってくれって。で、そういってるうちに、ノイローゼ気味のこともなくなってきたときに、一番、自分にとってプラスやったのが、家内との関係がうまくいきだしたんですよ。女の扱いがうまくなってきたんですよ。
山本:すごい。おばちゃんにいじめられて。
尾井:その頃から旅行行きだしたんですよ。
山本:あ、なるほどね。それ、旅行に行きたくなった? 旅行に行く意味があった?
尾井:いや、僕は行きたいわけじゃなくて、彼女は何を欲してるかっていうことが分かったんです。
山本:ああ、分かってきた?
尾井:うん。おいしいもの食べたいとか。あなたと一緒にいたいなんて思わないですよ、その年で。
山本:アッハハハハハ。
尾井:フフフ。おいしいもん食べたいとか。ねえ、なんかきれいな景色見たいとか、いい洋服が欲しいとか、欲求があるじゃないですか。で、一人でも満たされるものと、一緒に満たしてあげる方がいいものと、違うじゃないですか。それが旅行だったんで。
山本:ふうん。
尾井:でまあ、喋らないけども旅行行って。ほんで一緒にね、お酒が好きなんで、うちの家内。
山本:ふんふんふん。
尾井:お酒飲んで料理食べたりするのが、まあ、すごく喜ぶ顔するんで。
山本:ああ、今までにない?
尾井:うん、今までそんなこと、二人で行くことなかったですから。子ども連れでしたからね。それまでは。
山本:へえ。それはやっぱり、尾井さんは全部プランは決めるんですか。
尾井:僕はね。大体、ノープランです。
山本:(笑)どういうこと? じゃ、どうするんですか。
尾井:え? どこどこ行こういうて、それから決めるんです。
山本:尾井さんが例えば沖縄行こうってなったら、沖縄行こう、あとはやっといて、なんですか。
尾井:違いますよ。僕がやりますよ。
山本:全部?
尾井:はい。
山本:あ、じゃ、もうアテンドっていうか、全部?
尾井:そりゃ、全部やります。
山本:だって、自分の方が旅慣れてますもんね。
尾井:沖縄は事務所があったんで、コールセンターあったんで、よく知ってるんです。で、知り合いもたくさん多いんで。行ったら飯食いに行く。仲間もいますから。沖縄のこともよく理解してますし。
山本:うんうんうん。
尾井:レンタカー借りて、あちこち、ここがいいんちゃう、ここがいいんちゃういうて連れまわします。
山本:へえ。
尾井:で、ただノープランじゃなくて、行く前からこうしよ、こうしよってあんまり決めないっていうことです。
山本:あー、そういうことね。じゃ、大体、2、3個決めといて、行ってぶらっとみたいな感じですか。
尾井:うん。そうですよ。その方が楽しいじゃないですか。
山本:確かに、確かに。それ、面白いですね。でも、嫁の笑顔を見れることが自分のメリットだっていうことですよね、やっぱり。
尾井:うん、だからそれに気付かされたのが、さっきも言った……。
山本:4000人の。フフフ。
尾井:オペレーターを使うようになってからなんです。
山本:ヒヒヒヒヒ。
尾井:頭ごなしとか、理論を整然に話したところで、女は分からないですよ。
山本:へえ。やっぱりお願い、やってくれへんかっていう。
尾井:やっぱりね、何ていうんか、自分にメリットがあることしか興味ないしね。
山本:ああ、そらそうですね。確かにね。うん、そうですね。めっちゃ分かりやすいな。この、じゃあ、カスタマーとクレジットを兼任したんですか。カスタマー部とクレジット部を。
尾井:いや、そこは。
山本:こっち行ったり、こっち行ったりみたいな感じですか。
尾井:クレジットから次に、フルフィルメントっていうのやったんですよ。
山本:物流ですよね。
尾井:物流とカスタマーサービス、一連です。
山本:ああ、そうか、つながってますもんね。
尾井:受注からお届けまでのプロセスを全部見る担当したんです。
山本:なるほど。
尾井:で、その時に通販物流サービスっていう、T社とジョイントで物流会社作ったんですよ。
山本:ええ。
尾井:その時に、取締役に入ったんですよ。で、なるほどなって勉強になったこと、たくさんありますよね。
山本:あ、そうですか。
尾井:T社方式って、単純な、ものすごいシンプルじゃないですか、考え方が。
山本:うんうん。
尾井:一人で一つのものを1から10まで全部作るのと、分担作業でやるのと、同じ100個作るんやったらどっちが速いんやと。どっちが何秒速いんやと。それのかけ算でそれの物流がこんだけあったら、これだけのコスト削減になるよねっていう、こんな単純な発想じゃないですか。
山本:うんうんうん。
尾井:ええ。そういうことをパソコンの時代で、模造紙を使って説明するんですよね。模造紙に書いて。
山本:フフ。なんで? なんで?
尾井:いや、あれがT社方式なんですよ。要するに、書くことによって頭の中に入れてくっていう発想なんでしょうね。
山本:へえ。
尾井:昔からこういうやり方やってますよって。
山本:あ、そうですか。
尾井:発表会っていうのは、改善発表会っていうのは、もうしょっちゅうやるんですよ。従業員の。
山本:うんうん。
尾井:で、その改善発表会に、審査員として出席するんですけど、ほんまにシンプルな、なるほどと思うことが。
山本:改善発表会っていうのは月に1回とかですか。
尾井:いや、半年に、3カ月に1回ぐらいあったかな。結構ありましたよ。うん。
山本:どういうレベルで言ってくるんですか。社員だけですか。
尾井:社員ですよ。社員がやってる自分の担当の中での改善発表会。
山本:ふうん。
尾井:で、必ず、さっき言うたように、こっちの方が、最終的にはコストがいくら安いっていうところが終着点。
山本:ああ、なるほどね。ニッセンさんはそういうのなかったんですか。
尾井:先ほど言ったチャレンジ塾っていう、新しい事業を提案するとか、そういうのはありましたけど。
山本:他にチャレンジ塾以外、なんかあったんですか。
尾井:その上を作りましたけどね。エグゼクティブへの、役員になるレベルの人たちへの育成。
山本:それ、どんな内容なんですか。
尾井:あれはね、僕ももうはっきり覚えてないですけど、結果的には座学が多かったんじゃないですかね。
山本:ふうん。他の会社のサンプルケースを勉強するとかではなく。
尾井:うん、結構多かったですよ、それは。
山本:あ、そうですか。
尾井:成功体験、まあ結構、よその成功体験っていうものと比較するっていうか、自分とことの違いを見つけるとか。
山本:そういう勉強を部下は、部下っていうか社員は、自発的に取るんですか。
尾井:いや、こちらから、まあいわゆる提供するんですけどね。
山本:ああ。
尾井:ただやれ、やってほしい、提供してみんな手を挙げろっていうたって、みんな挙げたらできないじゃないですか。みんなやったら仕事も回らないし。
山本:うん、そうすね。
尾井:だから、ある程度はやっぱりメンバー選んで、手を挙げさすようにしむけたということはありましたけどね。
山本:はあ、なるほどね。選んで学んでもらったっていうのは、やっぱり会社にとって良かった?
尾井:もちろん。
山本:なるほどね。これ、じゃあ、通販物流会社に行ったってことですよね。
尾井:そうですね。それは兼務ですよ。フルフィルメント本部を見もって、その物流会社の取締役やって。で、その時にこのジョイントを解散した時ね、T社と。その時に代表になったんですよ。この物流会社の。
山本:ふうん。
山本:これ、やっぱり辞めたら、もう全くクレジットには携わらない感じなんですか。
尾井:そうですね、まあ。でも結果的には、オブザーバー的に、われわれのこの当時のビジネスって、それぞれがかみ合ってるんですよね。独立してるわけじゃないので。
山本:うんうんうんうん。
尾井:だから、結果的にそこのところ把握してないと。
山本:あ、分かる。
尾井:こっちが分からないということがあるんですよ、動き、こういうふうに今進んでるっていうことに対して。だから、オブザーバーとして役員会出たり。
山本:うんうんうんうん。なるほどね。
尾井:必要な要素のところは、どんどん情報を取りに行かんと。
山本:どっちも知ってるって、めっちゃいいですもんね。
尾井:うん。やっぱり、多岐にわたるビジネスモデルですから。
山本:うんうん。で、ここの物流サービス、成果挙げられたことってなんかあります?
尾井:物流サービスで成果ね。一番はまあ、今、A社さんがやられてるようなことをやり出したんですけど、自社の配送ネットワーク、そこに大きい家具とか、ああいうものが今もう佐川も取り扱ってないですし、Y社も辞めるいうてますし、合わないんですよ。ドライバー不足とかで、コストが。
山本:ああ、なるほど。
尾井:だから自社に、それぞれの地方に小さい配送会社あるじゃないですか。そこを、ネットワークを組むっていうことを、P社とやったんですけど、そこんとこに一緒に取り組んだっていうのが。
山本:今でもそれは?
尾井:あります。今はもう、商品は取り扱ってませんから。
山本:あ、家具を?
尾井:家具を。
山本:あ、そうなんですか。
尾井:もう、合わないんですよ。ほんま、合わないんですよ。物流のコストってものすごい上がってますから。
山本:あ、そうなんや。家具、そうなんや。へえ。