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第三回 尾井 善雄氏との対談

対談第三回5P目 尾井 善雄氏 

尾井氏対談5P目

「ネットショッピングとカタログショッピング」

第3回対談


山本:僕、尾井さんのさっきの話ずっと聞いてて思ったんですけど、今のやつにプラスアルファしてこうしたらええやんけっていうのがすごい多いじゃないですか。それって、ちょっと失礼な言い方なんですけど、他の人らって考えつかなかったんですか。
尾井:まあ結果的には、アクション起こすか起こさへんかいう問題じゃないですか。
山本:みんなこうやって、なんか飲みながら「こうしたらええのにな」とか言うけども。
尾井:言っても、それを提案してアクション起こすか起こさへんか。
山本:あー、なるほどね。尾井さん何でやるんですか。モチベーションは?
尾井:モチベーションっていうより仕事とか、まあ仕事というよりも学生の頃からそうなのかもしれませんけど、一番分かりやすいのは会議ですよね。朝から僕は、当時は夕方までほとんど昼休みがないぐらい会議やったんですよ。
山本:え?
尾井:いろんな担当してましたから。
山本:へえ。
尾井:会議って眠たくなるじゃないですか。
山本:なる。
尾井:時間がなかなか、経たないじゃないですか。一番時間が、眠たくならなくて時間が経つ方法は自分が意見することなんですよ。
山本:(笑)めっちゃ面白い。
尾井:自分が話すことなんですよ。
山本:まあ、そらそうですね。
尾井:うん。そういってる間にすぐ時間経ちますからね。ただ聞いてるだけで全然時間経たないですよ。自分が話すっていうことは、自分が参画するっていうことでしょ。だから、いわゆる机上論でなんぼ考えたところで、自分がアクション起こさんと楽しくないじゃないですか。
山本:そうですね、まさしく。
尾井:だから他にも考えてる人はいたんかもしれませんけど、これやってみたい、あれやってみたいっていうことが言える会社でしたから。
山本:なんかむちゃむちゃ聞いてるといい会社っぽい。
尾井:僕はいい会社だったと思ってますよ。
山本:なんかね、僕ってなんていうかな、最初サラリーマンでもないしアナリストでもないので、ちょっと不勉強で申し訳ないですけど、なんでこう業績が落ちたんですか。
尾井:まあ……。
山本:理由が分かんない。まあまあ上がり続けるものじゃないっていうのも自分で分かるんですけど、落ちる瞬間ってなんかあるじゃないですか。落ちる瞬間っていうか落ちる理由っていうか。
尾井:結果的にはね、いわゆるインターネットを中心としたネットショッピング、ネット通販っていう会社が主流になってるじゃないですか。それに乗り遅れてるんですよ。それはいち早くもう誰もが、役員レベルの誰もがそれにシフトしなあかんと言いつつ、そっちの利益よりもカタログの利益の方が大きかったから、なかなか切り離せなかったんですよ。
山本:なるほどね。まあでも、ということは、じゃあカタログの一軍の選手をウェブに入れるべきだったということですよね。
尾井:そうですけど、そのまんまね、シフトしたところでうまくいくとは限らないですよね。
山本:まあ、ちょっと違うっすかね。
尾井:御社も楽天とかやってましたよね。
山本:僕らウェブスタートですね。
尾井:自社のあれもやられてるでしょ、ECサイトね。
山本:うん。やってます、はい。
尾井:どうですか、売り上げは。順調に伸びてます?
山本:伸びてますね。
尾井:それは要するに集客はどうされてます?
山本:集客は楽天、もちろん楽天のやつは楽天にやってもらってるんですけど、自分たちのものは自分で集客してますね、頑張って。
尾井:たまたまそのお客さんが来るんですか。バナー広告みたいな……。
山本:ちょっとずれるんですけど、Shoichiの仕入れに関してはやっぱりShoichiのホームページを見て来る人がすごい多くて、在庫買い取りとか在庫処分とかで調べてShoichiって出てきたりとか、『Shoichi テレビ』で調べたら出てくる、テレビとか見たことある、連絡くるっていうのがむちゃむちゃ大きい、多いですね。で、来てくれた人が紹介がやっぱりすごい多いですね。
尾井:それを概念がちゃうかもしれませんけど、一客、お客さんを獲得するっていう費用は年々下がってます、上がってます?
山本:えっとね。
尾井:ファーストゲットコストって言いますけどね。
山本:分かってます。どうやろな。あんまり僕ちょっと、そことってないんですよね。でもSEOとかランキングは、まあ1位になるまで突っ込むっていうような戦略で言ってますね。だから年間単位でどれだけかかろうが、1位じゃないと本当意味ないと思ってて。2位になるコストを100円払うぐらいやったら、ね。1位になるコストを何百円、300円、500円払った方が、まあ最終的には生き残れるんじゃないかっていう気持ちでやってますね。
尾井:ニッセンの場合はそこのところの大きな失敗というのが、要はカタログでとったお客さんをネットにシフトしようと。カタログをとった会員をネットにシフトする時に、必ずネット見てくれるとは限らないじゃないですか。
山本:そりゃそうですね。
尾井:カタログでとったお客さんの一客獲得コストだけ見てるんですよ、結果的に。
山本:ふーん。
尾井:だから、ネットでとったお客さんはネットで稼働するんですよ。同じ稼働の仕方が全然違うんですよ。
山本:なるほど。
尾井:そういうとこのいわゆる分析が甘かった。ネットでいかにお客さんはとれるかっていうところを、もっと研究するっていう手法がなかったんですよ。
山本:あーなるほどね。
尾井:例えば在庫処分なんてまさしくそうで、ゴールデンタイムってあるじゃないですか、ウェブの中で。夜のね。その時間にリニューアルするとガーッと殺到するんですよ。いわゆるカタログで売ってるものをネットに載せて、その時にディスカウントするんですね。
山本:200円とか。
尾井:そう。だからそこんとこのリニューアルする、処分のとこでとったお客さんっていうのは、そういうものしか反応しないんですよ。
山本:なるほど、まあそらそうですよね。
尾井:まさかプロパー買うわけじゃないんですよ。だけど、そういうお客さんにまたプロパー当ててったりするんですよ。
山本:それってでもダメなんですか。
尾井:要はいわゆるマーケティングのシンプルな考え方ですけど、お客さんが欲してるものに対してお客さんに提供するっていうのが一番シンプルじゃないですか。
山本:そうですね。
尾井:お客さんが欲してるものが、ものすごく安いディスカウントなものを欲してるなら、そこはそのゾーンにあったものを提供しなあかんし、だからカタログっていうビジネスそのものをいまだに受け入れてくれるお客さんっていうのは、やっぱりウェブに弱いシニアのお客さんで、カタログショッピングっていうのは選んで買うものなんですよ。今欲しいからカタログショッピング見ようじゃないんですよ。見てるうちに欲しいってなるのがカタログショッピング。ウェブっていうのは、今欲しいものがあってウェブ検索にいくんです。ほんでそこで比較するんです。
山本:なるほどね、見てるうちに欲しくなるのがカタログショッピング。今日の一言っすね。
尾井:(笑)だからネットの場合は、自分はこれが欲しいって思った時に検索にいって、それがたまたま御社のような会社にあったとか、ニッセンにあったとか。だから会員ビジネスじゃないんですよ、比較的自由なんですよ、お客さん。どこでも買うじゃないですか。楽天であれ、Yahoo!ショッピングであれ。
山本:買える。
尾井:だからカタログっていうのは、あんまり浮気はされないんですよね。その違いがはっきりしてるのに、そこに対してのそれぞれのマーケティングっていうところを掘り下げなかったっていうのは、やっぱり顧客戦略上の問題。
山本:じゃあ、J社さんの話でいうと、J社さんを見てる、だらだら見てるうちに欲しくなるお客さんだから、カタログがヒットするんですか。
尾井:J社さんの場合は先ほど言ったように、顧客獲得はテレビショッピングじゃないですか、独特の。購入されたら、あそこのうまいところはアフターケアのところもしっかりやるし、購入されたお客さんのシニアのゾーンを中心としたものに対して、固定客を増やしてカタログを出す。そこが儲け口になってるんです。
山本:そのカタログは何が載ってるんですか。
尾井:幅広く載ってるんじゃないですか。
山本:ということですよね。ふーん。
尾井:だってテレビショッピングで紹介される品数って、知れてるじゃないですか。
山本:知れてる。カメラ、テレビ。
尾井:いまだにあれやってるでしょ、チラシ。
山本:はい、やってます。やられてます。ふーん、なるほどね。
尾井:あのゾーンはチラシのゾーンとか、B社とかもそうですけどやってますけど、あのゾーンを受け入れてくれんのはシニアですよ。
山本:ふーん。なるほどね。尾井さんね、話ちょっとずれるんですけど、これからのシニアってウェブに移行すると思います?
尾井:すると思いますよ。
山本:やっぱり? 僕もそう思う。ってことですよね。
尾井:なぜなら自分もそうですしね。僕は会社の性質がそうだったからか知りませんけど、Androidができた時にいきなりスマートフォン持ったんですよ。今から何年前かな。それからもう5機種変えてます。家内も持たせたんです。で、ある時、同窓会に言って「お前、何持ってんねん」って言われたんですよ。まだガラケーの時代で。なんやこれって言われて。レディ・ガガが宣伝してた時です、auで。あの時持ったんですよ。
山本:なるほどね。
尾井:だからそれを使いこなしていくと、これは幼児とかと一緒で、クリアすると楽しいんですよ。こういうことができるようになった、できるようになった。目は見えんようになりますよ(笑)。だから、要するにアレルギー持ってるだけなんですよ。やらない人は。
山本:なるほど、そうですね。僕も親がずっとメールしかできへんっていうから、スマホを、もう勝手に契約して持ってきて、LINEやれって言ったらめっちゃスタンプ送ってきますもん(笑)。
尾井:(笑)
山本:妹と3人で会話してるんですけど、メールやったら2人でしか会話できないじゃないですか。でもみんなで会話できるの楽しいね、とか言ってくるんですけど、クリアしたらもう人間それが当たり前になりますもんね。
尾井:例えばLINEにしても、若い人のレスポンスと年配の人のレスポンスって違うじゃないですか。
山本:違う。
尾井:年配の人の方が絶対遅いんですよ。
山本:違う。
尾井:……っていうのは、あれはスマホを見てる時間が当然若い人とは違うんです。
山本:短いですね。
尾井:そこに、例えばさっき言ったメルカリとかそういうなのをやってたら、すぐサインが鳴るじゃないですか。
山本:鳴る。
尾井:絶えずスマホを見るんですよ。だからレスポンスも速くなるんですよ。だから僕、ニッセンの当時の役員連中は、もう一番にAndroid全部持ってましたからね。で、情報システムの部長がまたすごい結構業界でも有名な人で、最終的にニッセン社長になったんですけど、その人がITに関してはものすごくリテラシー高くって。僕らにも持たせたからね、リテラシーを持つように。
山本:えー、それ面白いですね、持てって言われたんですか。
尾井:もう必須。役員はスマホ必須って言われた。
山本:(笑)めっちゃ面白い。
尾井:当時7万円くらいで買えましたよ。
山本:たっか。じゃあもう普通に機種をプロパーで。
尾井:プロパーで買いました。月払いで機種代が乗ってるっていうあれがなかったですから。
山本:なんかそんな感じしたよね。僕も払った気がする。
尾井:最初。うん。

「正負の法則」

第3回対談


山本:役員スマホ必須。おもしろ。なんかね、商売とか仕事のために今まで投資したことってあります?
尾井:コイン投資ですか。
山本:どっちでもいいです。会社としてみんなにこれやらせたでもいいし、自分としてこうやったっていうのももしあったら。
尾井:自分での投資っていうのは、僕の場合はゴルフの腕を磨いたことかな。
山本:(笑)
尾井:先ほど言ったように、すごいコミュニケーションツールになってましたから。いわゆるリタイア組じゃなくて、現役組の中でもやっぱり上位職者の人ほどゴルフやるじゃないですか。
山本:やる。うんうん。
尾井:だから「ゴルフでも行きましょか」っていう話になるんですよ、商談してるうちに。
山本:はい。
尾井:といううちに、仲良くなってビジネスの展開が広がるとか。だから、自分への投資っていうのはそういうまあ遊びなんかもしれませんけど、遊びを通してコミュニティを作るというところに投資したんが一番大きいですかね。
山本:なるほど。ちょっと僕もいつかゴルフやると思うんですけど、まだそのゴルフをやりたい度は溜まってないのでちょっとあれですけど、他に会社としてやったこととかってなんかあります?
尾井:会社として自分に投資してもらったこと。先ほど言った研修であるとか新事業であるとか、結構自分が役員になって、人事っていうのはこういうもんやということが後から裏が分かったんでね。
山本:あー、ちょっと教えてください、それ言っていいんか分からんけど。めっちゃ知りたい。
尾井:だから、自分が被考課者の場合ははっきり言って分からないじゃないですか。どういう考課してるか。
山本:分からん分からん。分かったらあかんっすもんね。
尾井:どういう人事してるか。だから、自分は考課者の立場に立ったり人事をする立場になったら、こんな安易に決めてるんやと。
山本:(笑)
尾井:……いうことが分かるじゃないですか。鉛筆転がすわけじゃないですけど。
山本:(笑)めっちゃ面白い。
尾井:どっちにやらすか、みたいな感じ。
山本:そうですね。めっちゃ面白いな。
尾井:あれって結構ね……。
山本:人生を変えますよね?
尾井:その人の人生変えますよ。で、あるくだらんいうようなこと知ってるとするじゃないですか、対象者の。みんなが知らんのにその人がぽつっと、あいつはこういうとこあるんやって言ったら、もうそれでイメージついちゃうじゃないですか。
山本:つきますね。むっちゃつきますね。
尾井:ええ。こんなことが行われてるんやっていうことを知ったっていうのは、結構ある意味ショックやったんですけど、それを自分がやらざるを得ないっていう立場になった時は結構苦痛でしたよね。
山本:苦痛やったんや。苦痛だからどうしたんですか。
尾井:苦痛だから情を持たないふうにした方がいいと思ったんです。
山本:ふーん。
尾井:事務作業のように。
山本:ふーん、数字で見る?
尾井:どっちを選ばなきゃならないって、チョイスしなあかんっていうような立場に置かれたりすることもあるでしょ。そういう時に、人が言ってることをベースに聞いた時に、やっぱりどう考えてもこうやなというふうに、こいつの方がまあ人間やから、好きやから、好きなタイプやからっていうのもある。あっても、それが要するに、公平な評価やなというふうに思わざるを得ないですね。
山本:尾井さん、じゃあその裏側を見た中で、自分はまあ、出世してるじゃないですか。出世した理由ってなんやと思います?
尾井:やっぱりタイミングとラッキーやないですか。
山本:そんなん、ほんまに? 何ラッキーですか。実力?
尾井:だからこういう人材が欲しいとか、こういうことやるからこういう人材が欲しいとかっていうタイミングに出合わしたことが結構あったんです。さっき説明した中で。
山本:なるほど。それはラッキーか。
尾井:ラッキーですよ。そういう場がなかったら、そこにはめられへんわけですから。
山本:まあ、そうですよね。
尾井:またそこに誰か先にはまってたらはめれないわけですから、ラッキーだと思いますよ。
山本:じゃあラッキーがぽんぽんって。いや、でもそんなことないでしょ。
尾井:まあ結構、今から振り返って、自分の人生ってラッキーやったなと思ってますけどね。
山本:そう言えるのはなかなかいいですね。
尾井:うん。だから正負の法則ってあるじゃないですか。良いことも悪いこともバランスよく。
山本:あー、うんうんうん。
尾井:良いことあったらその分マイナスもあるということが、結構あったんでね。それが結果的には、これは家内の口癖なんですけど、「お父さんの場合は、仕事でこういうあれあったけど、こういう負の面があるからうまいこと釣り合いがとれてるんだよ」と。
山本:負の面って何ですか。
尾井:えっとね、実は病気なんですよ。
山本:何病なんですか。
尾井:これちょっと説明しにくいんですけど、難病にかかってるんです。役員なった年にかかってるんです。
山本:元気? 元気ではある……。
尾井:大丈夫です、全然。血液の病気なんです。
山本:じゃあ、しんどくなったりとかですか。
尾井:それもないです。
山本:じゃあ急にぽっくり逝くとかは?
尾井:それもないです。
山本:そうなんだ、じゃあいいじゃないですか。いいんかな? でもまあ、そうですね。
尾井:ITPっていうね、特発性血小板減少性紫斑病っていうね、厚生労働省の難病指定されてる病気にかかったんですよ。番号で言うと10番の病気なんですけど、だから公費負担を受けられるんですけど、どういう病気かというと自己抗体ができて、血小板を骨髄で作ってるのに血小板を壊していってるんですよ。
山本:嫌じゃないですか。
尾井:ということは、血小板ってどういう作用かいうたら血を止める作用なんです。
山本:血を、かさぶたですよね。
尾井:うん、血を止める作用。だから、その数値が下がりすぎると脳から出血したり、内臓から出血したりするんですよ。それを何をしてるかっていったら、薬で壊さないように免疫抑制してるんです。
山本:なるほど。
尾井:それは世間で言われる大病なんですけど、それに役員の時かかったんですよ。だから結果的に、荒れた言うたらおかしいですけど、そんな生活の中でそういう病気を持つと気をつけるじゃないですか。
山本:気をつける、めっちゃ気をつける。
尾井:食べ物とか飲むことでも。うん。だからそういうことが逆に正負の法則で良かったんだよっていうのが、家内がよく言うんですけどね。
山本:なるほど、それは反論できないですね。
尾井:だからまあ、その病気と出会って、いろいろ例えば家族のことも見直したり。直接死亡率は低いんですよ。2パーとか3パーとか、その病気で。
山本:そんなん重なるとね。
尾井:結果的に亡くなる方もいらっしゃるし、治らない病気ですから。
山本:それなんで分かったんですか。
尾井:人間ドッグです。
山本:へー、人間ドッグ行ったら何かおかしいなって言われて?
尾井:血小板が少なかったんです。何回検査しても少ないから。
山本:どういうことやって言って。
尾井:ほんで今、日赤に見てもらってるんですけど、専門医がいるんでね。3万人ぐらいですね、日本でその患者。
山本:少な。ふーん、なるほど。
尾井:だから2週間に1回、まあ3週間に1回くらい病院行って血液検査して、血液検査するともう全部出るんですよ。その病気の項目だけじゃなくて、飲んでる薬の副作用見ますから。だから毎月健康診断してるようなもんですわ。だからいわゆる肝機能の数値から、総コレステロールから尿酸値から。全部その飲んでる薬で全部数字が上がりますから、それ全部チェックしてる。
山本:なるほどね。
尾井:で、こないだは主治医に不整脈見つけられましてね。病院行ってへんかったら見つからへんじゃないですか。
山本:なるほどね。
尾井:だから一病息災ってよく言いますけど、病気持って病院行くと、病気を見つけるのが早いじゃないですか。たまたまやけど、話変わりますけどね、僕の友人でもあるんですけど、近所の。家内の方が友人なんですけど、その旦那がすい臓がんやったんですよ。
山本:やばいじゃないですか。
尾井:つい1週間ぐらい前に手術したんですけど、すい臓がんってほとんど死ぬんですよ。
山本:そうですよね。
尾井:見つかった時、遅いんです。その彼はステージなんぼやったか聞いてないですけど、糖尿病やったんですよ。糖尿病やから、検査ですい臓引っかかったんですよ。糖尿病やなかったら、大体あれ症状が出たら遅いって言いますやろ?
山本:そうですね、治ったんですか。
尾井:だから治るような手術で済んだんですよ。
山本:うえー、すい臓がんで? 僕初めて聞いたわ。良かった、良かったんか……。
尾井:よかったですよ。結果的には、糖尿病っていう病気を持ってることが他のその病巣を見つけてくれて。
山本:毎月やらんとそんなん見つからんっすよね。
尾井:うん、糖尿って毎月行きますからね。
山本:毎月、そうですよね。すげえな。すい臓がんを早期発見して治したって、僕初めて聞きましたね。いいことですね、おめでとうございます。
尾井:だから、ちょっと強引な言い方すると、病気なんかもそうですから、仕事なんかでもちょっと悪い要素持ってることイコール悪いところがこう見えたりするじゃないですか。
山本:なるほどね。
尾井:それが良い所で埋没してしまうっていうことがあるんですよ。さっき僕がお世話になってる会社は、入ったら海で言うたら満ち潮やったんですよ。ずーっと業績が良かったからきれいな景色だったんです。だんだん悪くなってきて海面が下がってきて引き潮になったら、海の底の粗がいっぱい見えてきた。
山本:(笑)
尾井:悪くなってきたら粗が見えてくるんですよ。
山本:なるほどね。
尾井:まあ極端に、無理やり仕事に置き換えるとそういうことかなと思いますよね。

「積み上げた結果の人生」

第3回対談


山本:じゃあまた話変わりますけど、尾井さんは夢とか目標とかって何か、30、40、50、60で変わりました?
尾井:あのね、僕は、基本的には自分が一部上場企業の役員になれるとは思ってませんでした。
山本:思ってなかった。
尾井:はい、そんな器じゃないと思ってました。
山本:(笑)へえ。
尾井:だから結果的にこうなったって、今から振り返ると……。
山本:30代超えるとだって、上見たらそれでしょ。
尾井:でもね、その時に考えたのは、要するになんていうんですかね、ちょっと自分がその立場になったら、さっきほら、話したじゃないですか。
山本:人事の。
尾井:そういう人と出会えると同じような立場に出会えると。だから、もうちょっと頑張ってみようかなっていうような発想の積み上げが最終的にこうなったっていうことであって、結果的に今から振り返ったら、頭からそんなこと考えてなかったよなと思います。
山本:なるほど。
尾井:君原健二があの電信柱まで走ろうという有名な話ありますけど。
山本:うんうんうんうん。
尾井:そういうような感じやったんですかね。だから、夢とか目標とかいうことよりもその時その時に楽しかったから、上場してて会社が大きくなっていくそのロードをね、一緒に経験させてもらったっていうことは楽しかったですから。
山本:そうですよね、なるほど。僕なんかそのね、こういうインタビューやったらよく今のアパレル、通販業界どう思いますか、みたいなことあるじゃないですか。
尾井:はい。
山本:そういう質問、僕、全く刺さんなくて。こういう当たり前のことの中にたまに光るものがあるじゃないですか。僕も20年やってるんですけど、この商売。20年やってたら、やっぱりなんかちょっと、自分の中でこれ勝ちパターンというか、これは曲げられないみたいなものあるじゃないですか。それって結局、これからの通販業界どう思いますかっていう質問では出てこなくて、日々やってるこの小さい、なんていうか毎週ゴルフ行ってるのはなぜか、みたいなところからしか分かんないと思ってて。僕、そういう話が結構まあ好きっちゃ好きなんですよね。だから、今日はちょっといろいろなるべくこうやって聞けてうれしいんですけど、すごいオチなくてすみません。
尾井:いえいえ。
山本:最後にさっきの投資の話なんですけど、今までお金の使い方でね、一番使ったことって何なんですか。
尾井:株です。
山本:株。どうやって?
尾井:どうやってじゃなくて、勧められますよね。
山本:あ、勧められるんですか。
尾井:それなりの所得になると、証券会社に投資信託しろとか言われますよね。国債買えとか。
山本:へえ、そうなんですか。それ買っていい感じ……。
尾井:買って大損こいたっていう。
尾井:それが一番大きいですね。後はもうちょっと若い時に、山一證券で北海道拓殖銀行の株を買ったんです。
山本:(笑)
尾井:2000株パーにしたという。フフ。ありますけど、失敗が。
山本:嫁はそういうのもなんも言わないんですか、やっぱり。
尾井:黙ってました。
山本:(笑)そらそうですよね。へえ。
尾井:まさか山一證券がつぶれるとは思わなかったし、都市銀行がつぶれると思わなかったですけど。
山本:そりゃそうですよね。いや、いろいろ経験してますね。今日はありがとうございました。

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