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第四回 星正壽氏との対談

対談第四回 星 正壽氏 

星氏対談2P目

第四回星正壽氏との対談

部下の仕事ぶりは営業事務の女子に聞け


山本:もうその頃、部下いました?
星:まだその頃、営業。だから部下を持ったのは大阪で初めて。
山本:当時ってどんな仕事の教えられ方したんですか、研修とかありました? 根性みたいな感じですか。
星:当時は新入社員研修っていうのがありましたね。北洋商事が蓼科に山荘持ってて、別荘を研修所みたいに使ってましたよ。
山本:どんな内容なんですか。
星:覚えてないんですよね。覚えてるのは、宴会が終わって、つまみがなくなって酒だけしか残ってなくて、友達と食べる物が何にもないぞって、しょうがないからサケ茶漬けでも食べるかって、ご飯にお酒かけて食べた。そしたらさすがにむせて食べられなかったです。
山本:(笑)やばいな。
星:米に米かけて食べたって食べられないよなとかって(笑)。
山本:面白いですね、星さん。
星:若い頃の話ですからね。
山本:いや、めっちゃ面白い。今まででいっちゃん面白い。部下を育てるか、どう育てたかとか、思い出に残る先輩とか、思い出に残る部下とか、こういう育て方をしたらよかったとかあります?
星:僕はあまり、こうしろ、ああしろって言わないタイプ。本当に部下持ったっていうか、北海道に行った頃かな、最後のほうに北海道で副支社長兼営業部長かなんかで行ったときに、今でもその当時の部下に会うと言われますけど、好きなこと何でもいいからやってこいって。好きにやっていい。好きにやるっていうのは、うちがプラスになるってことだからなと。うちが損するようなことはやっちゃ駄目だけど、何やってきてもいいぞ。全部責任は俺が取るから、やりたいことをやれって言ったら、そういうことできる人っていないんだよね。
山本:意外と。
星:意外と。で、3人ぐらいかな。いろいろ問題を起こしながらもでも頑張って、売り上げ作って利益伸ばしてっていうのがもう今、3人とも部長にはなってますね。
山本:自分で動いてみろってことですか。
星:そうですね。尻は拭いてやると。何やってもいい。どっちみち俺が責任取らなきゃいけないんだから。
山本:そりゃそうやな。
星:何をやるのか、ただ肩書だけでも付いたら責任取んなきゃいけないんだから、遠慮しないでいいよと。おまえらがけんかしようが、何しようが、けんかでも何でもしてこい。最後に俺が行ったら何とかなる。それだけは得意先にも入ってたから、自信もあったから、自分でもそのぐらいまでは。
山本:その方たちはどんなトライをしたんですか、どんなチャレンジをしたんですか。
星:やっぱりもう、売り上げと利益を取れるように。売り上げ作ってメーカーさんに協力してもらって。
山本:そうなりますかね。
星:問屋なんか。
山本:そうしかないですもんね。
星:で、他の問屋から行ってるやつをどうやってうちの帳合いに変えるかっていうのが、もう。
山本:帳合いってなんですか。
星:帳合いっていうのはだから、メーカー、味の素だとかハウスだとかってあるじゃないですか。で、三菱があって問屋があるでしょう。国分がある、三菱、アクセスがあって、ここにスーパーさんがあるでしょう。例えば大阪でいうと、今はどこだ、大きいのはあそこだよね、前の阪急オアシスと他が一緒になったところあるじゃないですか。
山本:めっちゃ詳しいですね。
星:例えば昔の関西スーパーの「味の素」はどこから買うんですか、それは関西スーパーが決めるわけですよ。味の素は国分さんから買いますって決めると、味の素の商品は国分から以外は流れないんですよ、関西スーパーに。それを帳合いっていうんです。
山本:決まり事みたいな。
星:それは決め事です。
山本:流通の。
星:もうルールですね、契約みたいなものです。だから、関西スーパーは味の素の商品を三菱食品から買っちゃいけないわけですよ。
山本:いけない。
星:いけない。ルール違反だから、本当は基本的にはですけど、裏ではやりますけど、基本はそう。それを、国分をどうやったらうちに変えてもらえるかっていう話を関西スーパーとするわけです。
山本:揉めるしかないでしょう。
星:あとは値段で安くするとか、後戻しをするとか、リベートを多めに払うとか、いろんな方法あるけどね。
山本:僕ちょっと分からないですけど、メーカーさんは直接やりたいとはなんないんですか、例えば味の素が。
星:直接、直取引?
山本:うん。
星:今、メーカーさん直取引は、日配品とかああいうのは多少あるけど、口座増えるじゃないですか、メーカーさんに。だからやりたがらないですよ。問屋通そうが何しようが、値段なんかそう変わらないですから。
山本:そうなんですか。
星:メーカーから直接、買ったからって安くなんか買えませんよ。だから直取引っていうのは、今どこもヨーカドーだってそんなにしないだろうし。PBの部分だけ、自分ところのPBをどこかに作ってもらいます。例えば、あの商品を味の素さんに作ってもらう、その部分は直取引してますね。問屋を通すわけにもいかないから、自分ところの商品だから。
山本:作ってもろうたら全部、自分のリスクですもんね。
星:それ以外でメーカーは直接、取引とか本当しないです。
山本:他になんかあります? 思い出に残る部下とか、先輩とか。
星:俺はあまり先輩と付き合うの好きじゃなかったから。
山本:好きじゃなさそう。
星:大抵はお山の大将が好きなほうだったから、自分の部下を信用しないわけじゃないけど、やっぱり人間だから、みんな裏を持ってるわけですよね。本当にちゃんと仕事してるのかどうかっていうのを、どうやったら分かるかなと思って。
山本:それ、めっちゃ教えてほしいです。
星:営業事務の女の子がいるんですよ。営業事務で例えばスーパーを担当してるセールスにくっついて、その事務を全部やってあげる。だから、男のほうがどんな仕事していてちゃんとできてるかっていうの、事務の女の子に聞いたらみんな分かるんです。ちゃんとルール通りの仕事してるかとか。だから営業事務の女の子、だーっと連れて飲みに行くんですよ。男は誰も連れてかない。最初のうちは遠慮してあんまり。でも酒が入ったらもう何でも教えてくれる。それでじゃあ一番、駄目なセールス誰だって。みんなわーっとくる、それをちゃんと書いて。じゃあ、おまえらの中で一番、好きなセールス誰って言ったら、やっぱりそういうやつほど優秀だよね。やっぱり女の子も認めてる営業の人間は。
山本:女の子、細かいですからね。
星:よく見てますから、ほんじゃあ女の子集めて飲みに行くっていうのが、すごく役に立ちますよ。
山本:なるほど。確かに女の子だけで飲みに行ったら、文句合戦になったりすることもあるけど、そういう感じだったらいいですね、確かに情報収集やったら。
星:あれですよ、東京支社で俺が営業第1本部長のときも、部下が800人ぐらいいるわけですよ。全部入れるとね。分からないから。それもだからいろいろ聞き出さなきゃいけないんで。やっぱりもう営業事務だって150人とか200人ぐらいそれだけでいるわけですから。
山本:むっちゃ多い。
星:それを何回かに分けて。
山本:行ったんですか。
星:夜はそこまで金ないからね、俺もね。しょうがないからランチミーティングですよ。僕の支社長室に大体1回20人ぐらいずつ入ってもらって、みんな自分のお昼持ってきて、俺も秘書に買ってきてもらった弁当食べて。飲んでないけど、そこだけの話しすると結構いろいろ話してくれる。すると、こんなことしてくれた支社長初めてだとか言って、みんな喜んでくれる。
山本:うれしいですね、それ。
星:だからそういうやっぱり、そういうところにも目を向けてあげると、下の人たちは信用してくれるようになります。やっぱりこいつのためならなんかやったろかって思われないといけないわけですよ。そういうふうにするにはやっぱり、その営業事務の女の子らも大事にしてあげないと。
山本:駄目ですね、確かに。
星:ちゃんと営業とその子らも会話してますからね。この前、星さんとあそこで一緒にお昼食べたよとかって言ってくれる。そんな上手にやっとかないといけない。

同業者も味方につけて勝つ戦い方


山本:もうじゃあ、仕事で失敗したことってなんかあります? すげえ失敗したこととかって。
星:あまり失敗したこと。
山本:ないですか、むっちゃすげえ。
星:ないとも言わないですけど、あまりそういうのを覚えてないようにしてますからね。
山本:めっちゃ面白い。
星:いいことしか覚えてない。
山本:じゃあ、いいことからいきましょうよ。でも成功しまくったから。
星:だから一番だったら最後の北海道でしょうね、一番思い出に残ってるのは。やっぱり最後、北海道行ったときに北海道で支社長になって、周りに問屋がいっぱいあるでしょう。国分があって、アクセスがあって、伊藤忠があって、三井があって、みんな支店があるじゃないですか。たまたま最後の頃、僕が支社長の中で一番年上だったんですよ。さっきも言ったように帳合いを取り合いするわけですよ。そうするとどこかが安い見積もり入れたとかって。
山本:バトル始まるわ。
星:で、たまたまなんかの機会で支社長連中がいたときに、安い価格は出さないように提案して、みんなで守ることにしました。
山本:すげえ。
星:だから見積もり合わせってスーパー側が言ってきても、同じ見積もりしか出ない。どこもみんな同じ値段と、そういうふうにしちゃいました。
山本:差はやっぱりサービスでつけたってことですか。
星:あとはセールスとか、営業力。だからサービスだとか、物流を変えるとかっていろんな提案。だから価格以外のことだったら何やってもいい。毎日、飲みに連れてこうが、ゴルフしようが、値段でやるのはやめようと。お互いにメリットないだろって。安くしたらばかみたいなもんなんだから、そうじゃなくて他での営業力アップするとか、提案力上げるとか、いろんな他のことでの競争にしようよって。価格だけ下げるの一番、駄目ですよ。
山本:よくみんなも飲みましたね、かっこいいですね。疲れてたんですか、たたき合いに。
星:それもあるでしょうね。で、星さん言うんだからしょうがないんじゃないって、あの人、逆らったら本当にやりそうだしっていうのがあったのかなと思うけども。
山本:いいじゃないですか、気合入ってるっていう。
星:そういうこととか、だから。
山本:もうあれですよね、1円、2円のたたき合いですよね、多分そうですよね。
星:何十銭ですよ。そのお金見せてくれって言いたいぐらいの、何十何銭っていう見積もり出ますからね。
山本:そんなんどんな商品ですか。
星:何でも僕らが売ってる商品。
山本:じゃあもう、味の素とか。
星:味の素でも何でも、ハウスのバーモントカレーだって150円っていうのもあれば、140円90銭とか。
山本:うそ、すごい。
星:1円の下の。
山本:たたき合いが。
星:最近どうなのか分かりませんけども、僕らの頃はそうですよ。
山本:すごい熱いですね。
星:だからそれ、パーセント引きで考えるとそうなってしまうわけですよ。決まった値段があって、そこから何パーセント引きって考えると、それ電卓でたたくとそうなるんで、考えてないからそのまま書くわけですよね。そこにちょっとでも乗せろよと、少しは。それから大阪でも、平和堂がよく見積もり合わせをするわけですよ。どうせ見積もりを出しても指名は来ないから。あまりそういうの変えてくれないんだから、ただコスト下げようと思ってやるわけですよ、彼らは。
山本:なるほどね。
星:ところでほら、大阪に元気のいいスーパーってこの前。
山本:玉出。
星:玉出か。俺のいた頃はまだ小さいスーパーだったよ、玉出なんか。最初のあの辺、ちょこちょこって1店舗か2店舗ぐらいある。玉出って聞いてびっくり。こんなでっかくなったのかと思ってびっくりして。
山本:めちゃめちゃでかくなって。すごいですからね。
星:世の中、変わっちゃうからね。昔、強かったお店もみんな弱ったりしてるし。関西なんか下剋上が激しいほうですよね。
山本:そうなんですか。東京はあまりないんですか。
星:東京はあまりないんじゃないですか。みんな大手ばかりだから落ち着いちゃってるよね。
山本:そっちのほうがみんな儲かるからいいんじゃないですか。
星:そうですね。やっぱり動いてくれないほうが僕らはもう、あれですからね。
山本:そうですよね。サラリーマンってやってきて、目標とかってなんか作ったりしたんですか、自分の中で目標とかって。入るときって分からないじゃないですか。僕も創業したとき、僕が20歳のとき創業やったから、創業したとき分からないんですけど、やってきて自分の仕事とか分かってくると、ちょっと目標とか作ったりし始めないですか。
星:別に、偉くならなくてもいいから給料増えないかなと思ってました。
山本:それは無理でしょう。
星:それは無理だった、偉くなるしかないなと思って。僕、意外と出世遅かったんですよ。最後が常務になりましたけど、最初はゆっくりだった。課長になるのがちょっと遅かった。そこから少しずつだけど、もう北海道行って、北海道にいる間に部長から常務になっちゃって。もう10年ぐらいで。
山本:やっぱり北海道のあれが効いたんですかね。
星:じゃないですかね。だからそれ社長が、おまえのところだけなんでこれだけしっかり利益も出るし、売り上げもいくんだ。だからそれは、変な見積もりが出ないようにしたんだって、やったんだ。そんな、極道みたいだなとか言って。あんたに言われたくないと思って(笑)、そんな感じで言われて。そこはだから上手に儲かる仕組みが作れたのかなとは思いますけどね。なかなかできないですよね、だけどもう限られてますからね、ラルズと生協と、あとイオングループ、ヨーカドーとか、そのぐらいしかないから。あまりないんで、相手と仲良くなりやすいですよ。でも最初は生協から嫌われましてね、国分の悪いやつがいて、今度、来る星さんっていうのはCGCの特別担当、CGCめちゃくちゃ強いから、北海道はCGCばかりだから、もうあの人はラルズ(CGC加盟企業)しか見てませんからねと、こうやったんです。生協の偉い人に。で、実際に行ったらそうでもないじゃんっていう感じで、だからみんなと仲良くなっちゃいましたよね。
山本:同業と仲良くするのも重要なんですね。
星:そうですね。同業とも仲良くなりましたよ、すごく。
山本:メリット、デメリットあると思うんですけど、聞いてる感じやったら。
星:だから本当、最後の北海道は、北海道にいた最後の年かその前の年に、前の家内ががんで亡くなっちゃったんだけどもね。そのときにうちの、東京から専務が会社代表でお通夜と告別式来てくれたんです。そのとき、要は競合問屋ですか、当時、明治屋、国分、アクセス、加藤産業からずらっと支社長がみんな来てくれて。まして日用雑貨の問屋の社長もそれ見て、「おまえ何してたんだ、北海道で」「すごいな」とか言って。お得意先の社長さんも来てくれたりね、そういう意味では仲良くやれてたからじゃないですかね。
山本:うれしいですね、涙出ますね。
星:そのときはうれしかったね。こんなみんな来てくれて。でも僕はあまり苦労したとか、なんか嫌な思い出ってあまりないんですよ。仕事しててずっと。
山本:仕事以外ってなんかあったんですか。
星:結婚を2回目したら、病気っていうことがあったね。
山本:それは残念ですね。
星:あれだったんですよ、ALSって体中の筋肉がなくなっちゃう病気。
山本:なんか『ブラック・ジャック』に出てきそうな病気ですね。
星:もう本当にあれですね、難病の一つですけどそれにまずなって、だんだん動かなくなってくるわけですよ。それだけだったらよかったんだけど、そこに最終的には卵巣がんが見つかって、あっという間でしたね。
山本:泣けますね。
星:53で逝っちゃいました。
山本:早いですね。
星:でも私もめげないですね、それでこっち帰ってきて3回目と。
山本:すげえ、何歳のとき。
星:だから、今から2年前、3年前か、63のときにまたもらって。それが25下の子をもらったんですよ。
山本:すごいな、ちょっとすごい。25って38?
星:今42、嫁さん。
山本:すごいですね、かっこいいですね。
星:(笑)そう?
山本:むっちゃかっこいいですね。どうやって出会ったんですか。
星:その子はね、明治安田生命の子。僕、天王洲アイルにちょっと住んでたんで。前の女房が亡くなっちゃったから、保険を変えなきゃいけないの。受取人から何から全部。保険の中身もどういう保険になったらいいのかなと思って、いろいろ話してたら。うちの会社に明治安田がやっぱり三菱系だから、保険のおばちゃんたちがいっぱい出入りしてるわけですよ。そのおばちゃんたちに、ちょっと作ってきてよって。おばちゃん、どれだけ言ってもうまいことやってくれないから。そしたらたまたま僕の自宅に電話がきて、明治安田生命のこの地区担当の者ですけどって、一度ごあいさつにお伺いをって。あっ、この人に頼もうと思って、とりあえずじゃあ来てよって言って頼む。で、こういうふうにしてって何回か会ってるうちに、俺の家から帰らなくなっちゃった。
山本:(笑)めっちゃいいやん。
星:今もまだいますけどね。
山本:(笑)めっちゃいいじゃないですか。
星:今のところはね。
山本:良かったですね。
星:そうですね。
山本:心の底から良かったですね。
星:いややっぱり、この年になって心臓の不整脈が出るとかこうなると、あまり1人で動きたくないですよね。昔みたいにふらふら1人で歩いて、だからそういう意味では年も年だから。こんなおじいちゃんでも相手にしてくれてるから、いやもう、良かった。
山本:涙出ますね。
星:そういう意味ではいいなとは思ってますけどね。
山本:そういう意味っていうか、あらゆる意味で。(笑)
星:だから今のところ、すごい助かってますよ、そりゃ。こいつに金を残してあげないといけないと思って、一生懸命働いてますよ。

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