対談第四回 星 正壽氏
星氏対談3P目
運を自分で管理して実力に
山本:そりゃそうですね、面白い。なんか日常的に、仕事してるときに訓練してたこととか、願掛けとかそういうのってありました? よくあるじゃないですか。一つ前の駅で降りて歩いてくるとか。
星:そういうのはあまりしない。しない人で。だけどみんなにおまえ変じゃないのって言われるけど、俺の一番、好きな言葉は運も実力のうち。(笑)
山本:(笑)じゃあ運がいいってことですか。
星:俺、運はいいと思う。だからさっきの話もそうだけど。
山本:それ運いいですよね。
星:めっちゃくちゃ強運ですよね、と思って。僕みんなに、星さんやっぱり、あなたなんかあるよねとかってよく言われるんだけど。
山本:うれしい。
星:だから運も実力のうちっていうか。だから僕、本当に、確かに麻雀でもそうですけど、麻雀ってどういうやつが強いか、負けないかっていうと、自分の運がいつなくなって落ちてきて、いつついてくるかっていうのが分かるやつ。こいつが絶対、強い。
山本:それやっぱりあるんですか。
星:ある。いや、自分でこうやって麻雀打ってて、何かの拍子にがくんってなくなるときがあるんですよ。
山本:分かるんですか。
星:分かる。
山本:分かるんや。すげえな、かっこいい。
星:そしたらそこからは注意して注意して、振らないように。
山本:やめないんですか。
星:勝手に自分だけやめられない。(笑)
山本:(笑)そうですね、確かに。
星:そういう運って、絶対みんな持ってるんだと思うんだよ。そのじゃあついてきてるのが分からない人は運を実力にできないんですよ。
山本:ええこと言う、確かに。
星:僕はそう思ってるのね。
山本:みんなこれがあると。
星:必ずいいとき、悪いときって、だって運勢見たって毎日テレビでやってるけど、1位から12位までなるでしょう。
山本:なる。
星:あれに合わせる必要はないですけど、だからそういう気持ち、そのときが今、勝負だな、とかっていう勝負勘って意外とあるほうだとは思う。さっきの見積もり合わせも毎年か2年に1回やったりするんだけど、今年こいつら本気でやるぞっていうのが分かるようになるんですよ、だんだん。長年やってるから。
山本:勝負どころでもないですよね。
星:ここでちゃんとやっとかないと、他にすくわれるとかね。だからよくそういう指示だけは部下にします。今年、相手が本気だから、おまえら真面目にちゃんと見積もり作れって言うんですよ。えー、またいつもと一緒でしょうとか言ったら、駄目だこいつは。僕の大先輩、OBで、僕が大阪行ったときに支社長やってた方なんだけど、人事を決めるじゃないですか。そうすると、その人は面白い。この担当、ここの担当、誰にしようかっていったら、星、彼と彼、どっちがついてるって聞くんですよ。あー、なるほどなって。この2人でどっちがついてるって、こっちじゃないですか。もう最後はそういうことですよ。彼と彼どっち、だから全国の異動とかもやってる。自分でも人、動かしたりなんかしてる。ふと部下に、彼と彼どっちがついてる? どっちがツキありそう? とかって聞いて、大事なところについてるほうを持っていくとかっていうのはしてました。やっぱり世の中、ついてる人っていますから。
山本:いますね。
星:なんか知らないけどついてる人っているじゃないですか。それで、本当についてない人もいるんですよ。
山本:いますね。
星:それ分かるじゃないですか。だからそれが分からないと、ついてない人に一生懸命やらせたって、ついてないのは駄目、意外と。
山本:そうですね、空回りですね。空回りとはいわんけど、ついてるほうが楽ですね。
星:ついてる人のほうがやっぱり楽ですよ、と思うんですよね。だから自分のツキがいつつきだしたかっていうのが、今やったら出世できるかもしれないとかっていうのはありましたよ。変な話ですけど北海道行って、まず最初、執行役員になるじゃないですか。俺、今年なれなかったらならないなと思ってたら、なりましたから。それで、なって2年で常務になりましたから、またそのときも、ここで常務にならないともう終わりだなと思ったらなりましたから。
山本:終わりっていうのはどういうことですか。
星:もうそれ以上いかない。常務になったら、本当、普通の会社だったら社長いけるかもしれないって思うじゃないですか、でもうちは親会社が三菱商事ですからそれはないんだけど。
山本:じゃあトップですか。
星:今、営業第1本部長って営業のトップですよって意味ですから、そういうことなんだけど。自分はなれる、なれないっていうのは大体、当たってましたね。
山本:常務を何年ぐらいやられたんですか。
星:常務はだから、3年ぐらいしかやってないですね、最後は。だから最初はちょっと出世が遅かった。途中から速くなりました。
今の若い人は戦わない
山本:さっき人の話出ましたけど、人を採るときになんか、絶対する質問とかなんかあります? 人の採用するときに。
星:人事とかあれとかでもやっぱりあれだもんね。僕らは商売ですから嘘をつかない人、一言でいうと。自分はつきますけど。(笑)
山本:(笑)
星:要は本当についちゃいけない嘘をつかないことね。ついてもいい嘘ってあるじゃないですか。ついちゃいけないときにつく人いるから。
山本:問題が大きくなる前のやつとか。
星:だから営業はやっぱり、真面目で嘘つかないことですね。それが一番じゃないですかね。だからだんだん今、もう何でもメールみたいな時代になってきてるじゃないですか。他にもう一つ顧問業をやってるんだけど、顧問業の派遣所の若い人たちが僕と、例えば社長を会わせるとかってやるわけですよ。全部メールですからね。
山本:メールです。基本は。
星:今ずっと来るたびに怒ってるわけです。
山本:なんで怒ってるんですか。めっちゃ怒りそう。
星:だって、社長に僕を会わせるのに、僕と会ってないのに会わせようとするわけですよ、僕のこと知らないのに。そういう若い子が多いよね。それが平気なんだよ。だから例えば社長の事務所に僕を連れて行くと、駅で待ち合わせしてそれが初対面みたいな。おまえよく俺をこの社長に、自信持って紹介できるなって、俺は怒るの。なんで俺に会おうとしないのって。あなたは機械的にやってるのかもしれないけど、人が仕事するんだからな、おまえちょっと勘違いしてないか。こういう企業ほど人を見る力もなかったら。
山本:駄目ですね。20代のやつに50代、60代の値打ち分からないですからね。みんな分からないですもん。
星:だからよく言うの、おじいちゃんはメールは嫌いなんだって。普通はメールを送ってくる前に、電話1本で「こういうお話をさせてもらいます誰々です、よろしくお願いします。詳しい日程はメールさせてもらいますんで、よろしくお願いしますって、なんでそれができないんだよ」とか言って。おまえらの相手ってみんなおじいちゃんばかりだろう。おじいちゃんは大体メール嫌いだぞ。
山本:確かにそうですね。
星:メールは見るけど返せないだろうって、俺は見たら返すぞって言うけど、でもそれよりも大事なことは、やっぱり自分をもっと売れと言ったりしてる。俺を売る前に自分を売らなかったら買ってくれないよ。これはどの商売でもだから。会って好かれるっていうことですね。その努力してる人、何回も行って会って。昔から営業に言ってたのは、酒飲みに行こうがゴルフしようが何してもいいよ、会社の経費使えよ。おまえも一緒に遊べばいいじゃん。得意先と遊べないような人はしょうがないよって。で、飲んだら本音が聞けるから。遊んでる間に。
山本:それでも言ったことなかった。ちょっとメモしようか。得意先と遊べないやつは仕方がない、そのとおりやな。
星:今はなかなか、今の得意先の若い人たちは自分の時間が欲しい人いっぱいいるから、会社の仕事で飲むとかって嫌だとかいうのが多いんですよね。
山本:つまらんですよね。絶対、採用しないですね、そんなやつは。
星:つまらないなと思ってね。だから仕事やるんなら、そりゃ一時期はお母ちゃんにごめんって言って、ちょっと仕事にのめり込まないと仕事覚えないよね、とは思いますけどね。
山本:飲みに行くのが嫌だっていうのも、わけ分からないですよね、あほちゃうかって。
星:世の中、やっぱりおるんよ。第1本部長のときに若いやつ何人か誘ったら、残業つくんですかっつったから、引っぱたいてやろうかと思ったよ。おまえは来なくていいって、おまえ行きたくないんだろって。
山本:出世したくない、ね?
星:いいよ、来たくなかったら来たくないって言ってって、二度と誘わないからって。
山本:あほですよね。
星:ばかだよね。
山本:行きますって感じですよね。
星:で、その上の課長とかは俺のことよく知ってるから、大体、「ばかだな、星さんが誘ってくれたんや。おいしいところ、ただで飲めるんだぞ、おまえら」って、「おいしいもの食べさせてくれるし」とか言って。「うちの会社の中で星さんと飲みに行ったら、一番いいもの食えるぞ」みたいな。「そうだったんですか」とか、「二度と連れていくか、おまえなんか」とか言って(笑)。
山本:(笑)ほんまそうですよね、話が重要ですからね。
星:今、全体的にそういう人、多いよね。
山本:しかもね、そういうほうがかっこいいみたいな感じになってるでしょう。
星:なんかね。
山本:俺そういう、もうあほやなと思いますけどね、日本を弱くしてる感じが。
星:セクハラは絶対、駄目だけど、パワハラはね、少し考えないとね、もう。
山本:縦社会。
星:こわがって上司が何も言わなくなっちゃうじゃないですか。やっぱり今の若い子たち、ずっと思うのは怒られるのが嫌なんですよ。だから「メールはしてあります」なんだよね。見ないのは相手が悪いんですよ。全部だから何でも数字が悪いのも全部、人のせいですよ。で、もう自分のせいだって思わなかったら、どうやって改善するの。「おまえ、俺の性格直せないだろう。おまえの性格を直そうと思ったら自分で直せるだろう」って言うんだけど、ましてやお得意先の場合はどうやって直すんだよ。
山本:絶対、無理ですね。合わせん限り。
星:うん、だから本当にそれは思います。やっぱりそれは、親が怒ったことないからですよ。親に怒られたことない子、いっぱいいるんじゃないですか。親に殴られたことない子ばかりでしょう、今の。社長の年だってもうそうじゃないの、おやじに殴られました?
山本:ぶん殴られまくりでしたね。
星:いいことですけど。それでガキ同士でけんかしたでしょう? 昔は殴り合いで。
山本:今、しないんでしょう。
星:殴り合いのけんかしないから、人を簡単に殺すんですよ。痛いのが分からないんだから。こうやって殴ったら、相手も痛いけど自分も痛いんですよ。そういうことが分からない子ばかりだから、セクハラだ、パワハラだって騒ぐのが相手をどれだけ傷つけるのかとかって、分かってない。自分らも傷ついたのかもしれないけど。だからやっぱりパワハラってある程度、限度を作らないと、本当にパワハラしてるやつもいるかもしれないけど、分からないけど、会社のあれだったら少し上司が怒るとか注意できるぐらいにしないと……。
山本:公正じゃないのは駄目ですけど、パワハラ別にいいような気がしますけどね。
星:おかしくなっちゃうなと思って。変な子どもばっかり、変な人間ばかり育って、みんな自由気ままで言いたいこと言い合ってたら。
山本:そのくせ、金稼がんのでしょう。
星:そう。そのうち例えば中国とかに攻められたら。
山本:負けちゃいますね。
星:みんな逃げるって言うんですからね、今の若い子は戦わないんですよ。
山本:終わってますね。
星:学生にアンケート採ると。戦わないか、逃げるか、新しいところに従う。そんな国か、日本はって思っちゃうけど。
山本:僕ら戦いましょうよ。僕ら戦いましょうよ、僕いけますよ。
星:そんな感じですよ。でも、そういう人、多いと思うんですけど。
山本:つまんないですね、つまんないっていうか残念ですね。
星:残念ですよね。
山本:残念やな、それ。逃げるって最悪やな。
星:こういう時代になってきたら、今、また昔になんか逆戻りしてる感じがするんですよ。アメリカのトランプが壁作ってみたり、いつ戦争になるか分からないですけどね。
山本:分からないです。
星:それだったら、日本、自分の国は自分で守るというふうに考えて、例えば高校出たら1年間とか2年間は自衛隊行くとか。
山本:いいですね。
星:高校に入る前にどこかの時点で、もう要は徴兵制とかああいうのを義務化しないと。
山本:3カ月でもましですよね。
星:半年でも3カ月でもいいと思うんだよね。
山本:ましですよね。
星:上下の関係とかそういう厳しさっていうのをきっちり、やっぱり経験させていかないと、本当に。ましてやどんどん、海外から人が入ってくるから、純血の日本人がだんだんいなくなってきますよね。これから絶対ハーフだとか増えるんでしょう。ぼんぼん入ってくれば、必ずそういうことになるわけだから。本当の日本人ってどこに行っちゃうのかなっていうのは多少っていうか、かなり気になってんですけどもね。なんかいい方法ないの。でも海外の人を使わないと。日本人だけでは。
山本:血が薄まるのはもう、避けられないと思いますけどね。
星:どういうふうにするかだよね。完全にもうフリーの国にしちゃうのか、何か方法考えないと。日本ばかりいじめられてるみたいな気がしてしょうがないですけど。
山本:そういう話になったら、話が長くなるんでちょっと。(笑)
星:弱い者いじめされてるよね。
山本:めちゃめちゃもう、僕も言いたいことありますけど。
星:(笑)
儲けの作り方「損をしないようにしてください」
山本:話は変わりますが、お金の使い方ってどうしてますか。プライベート。
星:プライベートのお金は、僕、意外とルーズなのかもしれないけど、変にケチですね。変なところでケチ。
山本:どういうところがケチなんですか。
星:自分ではお金の使い方はうまいと思ってるけど。
山本:自分でうまいと思ってるんですか、おもろいな。
星:使い方はやっぱり俺、下手かな。上手にここは使う、ここは使わないっていうけじめだけ、メリハリはものすごく付けてると思うんですよ。付けてるほうだと思う。
山本:一番、使ったことってなんですか。やっぱり酒ですか、酒とか、ご飯ですか。
星:そうだね、だから僕、さっき言ったように部下連れてくと全部、自分で払ってましたから。
山本:めっちゃ立派や。
星:だから僕、領収書ってもらったことないですから。
山本:かっこいい。
星:最初に結婚して、離婚したでしょう。それから四国へ出向行ったの。そうしたら物価すげえ安いのね。
山本:めっちゃ安いです。
星:四万十川のほとりですからね、四万十川のほとりで本当に……。
山本:飲んでも3000円ぐらいや。
星:大阪の半分かな。
山本:そんな安いんですか、やっす。
星:だって夏になるとホテルの上とかでビアガーデンとかやるんだけど、飲み放題、食い放題で1人2800円ですから。
山本:やっす。
星:それでね、昔、四国菱食って会社があって、そこの若いやつら全部、連れて行くんだけど、大ジョッキに1人平均8杯ぐらい飲んでました。
山本:うそや、飲み過ぎやろ。
星:そのホテルのやってるところもお得意先なんだよね。
山本:2800円で飲み過ぎやろ。
星:がんがん飲んでるんで、また食い物もうまいんですよ、焼き肉だとか、そういうの。カツオのたたきもちゃんと出てくるから。
山本:高知のはうまいからな。
星:そのときはめちゃめちゃ食べてめちゃめちゃ飲むから、四国菱食ね、「四国菱食、二度と来るな」って言われて。
山本:赤字やからね。
星:それで社長が会計で寄ってきて、「さっきの取り消す。星さん次、女の子だけ連れて来て」、「分かった」って言って、女の子だけ連れて行った。そしたら……。
山本:値段が。
星:……それでも1人4、5杯ビールを飲むの。
山本:すごいですね。
星:高知ってめちゃくちゃだもん。
山本:確かに。僕、実家、高知なんですよ。
星:高知、どちらの。
山本:いのっていう所なんですけど。
星:どこ?
山本:朝倉分かります?
星:朝倉どこ。
山本:高知から東に行ったら、後免っていう駅分かります?
星:後免は知ってる。
山本:後免です。
星:そうですか、僕は中村にいたんです。
山本:いいですね。
星:とんでもない所。
山本:むっちゃ田舎ですね。
星:大阪の上司が、「星おまえ、四国だって」、「はあ」とか言って。
山本:そのノリなんですか、そのノリで言われる。
星:四国の子会社、四国菱食、出向してくれと。で、高知で高知のスーパーを見て。
山本:出向って何年ぐらいなんですか、僕ちょっとサラリーマンしたことないから。
星:僕は3年行ったんですけど、長いやつはもっと長いのいますけど。で、高知行って、そのときの副社長に、「いや、星よ、聞いてると思うんだけど、おまえ高知でやってもらおうかと思ったんだけど、急きょ、おまえ、中村に行ってもらうことになったから」って、営業所があったわけですよ。営業所長代理かなんかで行かされて、「今から俺も行くから、おまえちょっと運転しろ」とか言われて、かなり疲れて。
山本:遠くて。
星:3時間半ぐらいかかって、だって片側一車線だもん、ずっと。それで真ん中に黄色い線入ってるから追い越せないし、田舎のばばあがたらたら運転してるんで。
山本:星さん、出向ってどういう意味があるんですか。僕あれよく分からないんですけど。
星:出向っていうのは……。
山本:何がいいんです? どういうメリットがあるから? 社内を横にってことですか。
星:子会社の立て直しですよ。
山本:そういうこと?
星:僕が行ったのはもう完全に立て直し。
山本:行ってこいみたいな。
星:うん。
山本:そういうことなんや。
星:僕が行ったのが、うんとそこが営業所作って、新しくセンターかなんか作っちゃって、真っ赤っかだったんですよ、赤字で。
山本:じゃあ星さんができるから、行ってこいって言われたってことですか。
星:おまえ、あそこ黒字にしてくれ。
山本:ざっくりや、そんなざっくりなんや。
星:もうそれです。
山本:ざっくりやな。
星:それだったら、その四国菱食行って、副社長がうちからその人も出向で行って、黒字にしてくれと。「黒字にしたら帰れるんですね、分かりました」って、4月に行って。
山本:帰れず。
星:12月決算なんだけど、4月に行って12月に黒字にしました。
山本:すげえ、8カ月。
星:8カ月で。
山本:すごい、でも3年いたんですよね。
星:でもそれで、「すぐ帰れるんですね」って言ったのに帰してくれなくて、「君は3年ぐらいはいなさい」とかって言われて。3年間はちゃんと黒字だったんですよ。
山本:すげえ。
星:ほんで、僕の後任がまた菱食から来たんだけど、僕の後任2人は赤字でした。
山本:そんな変わるんですか。
星:仕事するかしないかで。
山本:そんな変わるんや、こわいな。
星:黒字にする仕方だけ教えただけですから、僕は。
山本:やりきらんかったってことですか。
星:ひどかったんだね、僕が行ったとき。メーカーさんから買うでしょう。それをみんな営業が勝手に売ってるわけですよ。赤字でも安く売っちゃう、旭に負けたくないからとかいって安く売ってきちゃうんですよ。おまえさ、これだけ赤字なんだけど、どうするの? 誰がいいって言ったの? おまえ俺に何も言ってきてないよな、所長になんか言った? 言ってないだろう? おまえ勝手に安く売っていいの?
山本:うわ、すごいな。
星:給料から引いたろかって。
山本:そりゃそうですよね。
星:だから、じゃあどうやったらいいのか教えてやる。知らないんですよ、それを。じゃあメーカーさんに電話をして、僕これで売っちゃったんですけど、損しないようにしてくださいって、お願いしろ。
山本:まずそこからですね。
星:そっから。ほんで電話して、俺がちゃんと交渉してあげて、「もうこれだけ儲かるようになったぞ。次から自分でやれよ」って言ったら、次の月からうんと利益出て、上がったからみんな。それと、それだけでもまだ黒字にならないから、すごい広い倉庫だったんですよ。倉庫の一部分を使って、展示会をやるんですよ。メーカーさんに集まってもらって、商品並べて、そこにお客さん呼んで、売るんですよ、物を。で、メーカーから条件出してもらって。