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第一回北田正喜氏との対談

対談第一回 北田正喜氏 

北田氏対談3P目

「部下を怒るな、叱れ」

第一回北田正喜氏との対談

北田:まあ、でも、叱り方っていうのはよく考えてました、若いときからね。要するに、若い子って態度に出ちゃうと、自分の感情にまかせて怒るやついるわけよ。これ、一番だめなの。相手がわかってないの、ほとんど、怒られてる側が。怒られてるってことしかわかんない。で、何を言われてるかって、本質的なことが伝わってないケースが多いんですね。だから、叱ると怒るは違うとよく言うよね。叱るというのは相手にわかるように言わなきゃだめ。相手のタイプ見極めて、大きな声でばーっと何か言ったら、相手がそれでわかるわけがないよね。それは、本人の、自分のストレス発散みたいなもんだ、言ってる側の。要は、自分がわかってないけど大声出したりするんであって、相手に何も伝わってないから、恐怖心しかない。

山本:じゃあ、どうやって怒るんですか。
北田:だから叱るんですよ。怒っちゃいかんの。

山本:難しい。僕だめだ(笑)。これ、ちょっと詳しく教えてください。
北田:怒るっていうのは、自分の感情を発散すること。

山本:叱るは?
北田:叱るは、相手がわかるように話す。だから、言葉が丁寧っていうか、優しくなくてもいいんだよ。優しすぎなくてもいいんだけど、なぜ俺があなたにこれ言ってるかってわかるように話す。これ難しいんだよ。

山本:難しい。今、全然わかんないです。今、多分、叱ってると思うんですけど(笑)。
北田:いや、叱ってない。

山本:えぇ(笑)。
北田:違う違う。全然叱ってない。

山本:爆裂に叱られてるかもしれん(笑)。
北田:そうでなくて、これ、意外と難しいんだけど、親子の関係でもそうだけど、特に近きゃ近くなるほど人間って感情抑えられなくなるんですよ。

山本:子どもの叱り方、めっちゃ教えてほしいの、俺。
北田:だから、会社でも身近になってかわいがってるやつほど強くなったりするわけよ。だから、

山本:わかるわかる。
北田:家でも子どもに対しては、お母さんも結構強く、感情ばーって出ちゃうんですね。でも、母親はちょっと別なんですよね、男とは別なの。母親はつながってんのよ、子どもとは。

山本:何(笑)、どういうこと?
北田:これは、自分の腹から生まれてる子だから、これ、ちょっと違う。男は理解できない世界だから。女の人はね(笑)。でも、男の場合は、子どもに対して、ただがんがん怒ると子どもはそれを素直に受け入れなくなってくるかもしれないよね。ただ怖い、終わり。

山本:それは、どうすれば。
北田:いや、だから、わかるように話してやんないとだめなの。それが叱り方なの。これは別に、私、教育評論家でもなければ、何でもないんだけども(笑)。いや、そういうのは難しいなと常々思いながら、もう長年生きてる。

山本:もちろん失敗した叱り方もあるし、成功した叱り方もあるし。
北田:そうそう。だから、もちろん手を出す出さないってのは、会社だったら、手を出したら今どき大変なことだけど、昔だったらもう蹴る、殴る、物投げるなんて当たり前だったんだぞ。

山本:(笑)
北田:ものすごい大きな灰皿とか。

山本:(笑)
北田:その時代、パワハラって言葉ないから。

山本:ないない。当時は存在しない。
北田:言葉も窓から飛び降りろとか死ねとか、そういう時代だから。今ならすぐもうお縄にはならないけど会社責任。

山本:まあ、ぐちゃぐちゃになりますね。
北田:そういう時代に生きてるから、言われても少々のことじゃあ何とも思わないです。今の若い子におまえ死ねとか、窓から飛び降りろって、本当に飛び降りるかもしれないですね。

山本:(笑)
北田:椅子とかばーんって蹴飛ばしたり、殴んないまでも肩どーんってやったりしたら、それはもう犯罪行為に近くなるでしょう?

山本:そうですね、今はね。
北田:昔はそういうのあって、それにどう対抗するかみたいな世界でもあったけど(笑)。

山本:(笑)
北田:まあ、でも、それは慣れも怖いもんで、まあ、慣れれば、あの人くるなとかタイプでわかるからいいんだけど、まあ、ちょっと話それましたけどね。だから、怒り方っていうのが叱り方になって、だから相手が本当改善してくれれば一番いいわけでしょう?

山本:うんうん、いいです。一番いいです。
北田:そうですね。だから自分が怒るだけで、怒るって感情的に言うだけで相手が本当に変わったことがありますかってことなんだよね。一時的に、怖くてそれをやらなくなるとか、本当になぜそれをやっちゃいけないのかとか、何が間違ったのかって、本当わかっただろうかって確認する必要ある。

山本:ようありますね。
北田:だからそれ、ちょっと細かく言うと、聞くことなんですよね。

山本:わかったか?
北田:違う違う。一方的にこれは間違ってるだろうと、これおかしいだろうとかって言って、こっち側の判断を伝えてるだけで、なぜそれをしたのか、どういう理由でそうなったのか、相手に説明をさせる。で、説明すると、やっぱり何か考えるのよ本人は。一方的じゃないから。

山本:35とか40歳ですごいですね。僕もう、先にむかつきますわ。めっちゃむかつくから、めっちゃむかつきますやん(笑)。
北田:それ、俺は子どものとき短気だったのよ、実はね。結構短気で、親に短気は損気って言われた。短気は損気。怒っちゃだめってずっと言われてた。

山本:でも、北田さん、58%で売ってこいって言ったのに55%とかで値下げしちゃいましたとか言われたら、めっちゃむかつきません(笑)?
北田:何を?

山本:商品とか。ちょっとお客さんに言われて値引きしちゃいましたとか言われたら、何言うてんの?みたいな思いません(笑)?
北田:それ、何でかって聞くよね、やっぱな。

山本:あ、そうですか。
北田:何で会社が60しかだめだって言ってるのに、何で勝手に55にしたんだって。

山本:男前ですね。
北田:でも、それ、60の権限を与えてるけど、与えてるわけじゃん、その人には。商談をする権限で60まではいいよって。それ以下はだめだよって言ってあるでしょう?だから、まず、何を与えてるか、その人に聞く。責任と権限のこと。

山本:そこから説明させるってことですか。
北田:それが大事なことですね。だって部下には責任と権限があるんだから、責任ばっか取らせるんじゃなくて権限与えなきゃいけない。で、60まではOK。以下の場合は会社の判断だよってずっと言ってれば、勝手に55受けないじゃない。

山本:それはそうですね、要は。
北田:それでも、それ言ってるのに55受けてきた。何か理由あるんだろと思うでしょう?

山本:確かに。カッカするのやめます、もう。
北田:そうでしょう?自分がどんな指示をしてるかをまず考えなきゃだめなの。的確の指示をしてればそうはならないはずだから。でしょう?

山本:まあ、そりゃそうです。それもおっしゃるとおりで(笑)。

「ルールの破り方」

北田:でも、俺、上司の許可要るような話でも許可なしに受けたことあるよ、若いときに。それは会社のためになると思ったから。

山本:じゃあ、もうだから、何でやったって言われたら、会社のためになると思ったからです、以上で。
北田:だから、そう説明するよ。こういう理由で、これは受けたほうがいいと思いました。だから、私、お受けしましたって。大体、そうかーみたいになるよ。

山本:いや、そんなこと言ってくるやつがいたら、むっちゃかわいいですね。
北田:でしょ?

山本:うん、すげーな。
北田:だから、深く考えたからルール破って受けてる。

山本:そっか。
北田:例えば、百貨店なんか営業マン呼ばれてるじゃない。各メーカー来てる。相手、係長なんかいて。今度、催事があるんで、こういう商品出してほしいとか依頼されるわけ。

山本:依頼される。
北田:まだ新入社員ぐらいだったら、要するに、判断しようがないじゃない、そんな商品出していいんだか悪いんだか。基本的には上司に相談すりゃいいんだよね。大事な案件で物を、特に、例えば、セールのってなったら値段安く出せって言われるわけだから。そういうの勝手に受けられないじゃない、要は。あるとき、係長がいて、メーカーは10社ぐらいいて、俺がそこにいたわけよ。

山本:何歳ぐらいのときですか。
北田:いや、まだ25ぐらいのときで。で、おまえのとこ、じゃあ、例えば、パンツ100本出してくれとか。

山本:そういう感じでくるんですか。
北田:それはもう担当レベルの話だから。相手はまだ新入社員だから。おまえのとこもシャツ何枚なとか、要するに、係長は材料を集めたいわけ。

山本:材料をね。
北田:セールするのに。

山本:売り場作りたいわけだよね。
北田:そうそう。それも5000出してくれとか、もうむちゃくちゃに言ってくるわけ。

山本:(笑)、ほんますか。
北田:そうそう、そういう時代だから。バブル時代で売れるから、要するに、出しちゃあ売れる時代だから。で、在庫があるかどうかもこっちわかんないから。会社帰って、あんのかなあ?みたいな。

山本:(笑)
北田:そんな商品あったかなみたいな。プロパーで売ってる商品は知ってるよ。今、店頭に並べてるから。そんな安く出せる商品で、去年のやつとか残ったストック、どんだけあんのかなと思いながらも。で、何人か答えられないわけよ。いや、もう、ちょっと会社帰んないと返事できません。そういうのばっかりだった。怒るでしょう、係長。おまえら何しに営業部来てるんだってなった。どんな権限をもらってんだって。何の返事もできないのかってなったわけよ。いやいや、すいません、みんな会社帰って、会社帰ってってね。

山本:いや、それも、そんな言い方だったらむかつくな。言ってますよ、俺。
北田:そう、俺、出しましょうって言ったの。出してくれんの?出しましょう、いいですよ。その代わり言ったのは、1本も残さず売ってくれっつったの。

山本:(笑)
北田:返品は受けませんよっつったの。これは自分で考えたわけよ。受けましょうって。

山本:何かさすがね。
北田:その代わり、1本も返品しちゃ困りますよって。そしたら、係長、わかった、おまえが出したの全部売ってやると。

山本:(笑)めっちゃ面白い。
北田:ほんで帰った。会社で、実はこういう話で。

山本:(笑)
北田:で、受けましたっつったら、えーとか言うわけ、上司。そんなん今まで受けたことないんだからみたいな。でも、1本も返品ないっていう約束しました。まあ、じゃあ、いいかみたいな。

山本:(笑)
北田:それはルールに反してるけども、それは相手と関係性を構築できる。

山本:そうですね。
北田:他社のやつがみんな、営業マンが私は責任ないんで判断できませんって言ってるときに、こいつ信用できる。それは人間を売ってるわけじゃないんだけど、そこはやっぱある種、会社を売り込むのと同時に自分自身を信用させる。こいつ若いけど責任感あるわ。その代わり言ってくるなと、返品うけないって。要するにこれ、商談。

山本:いや、むっちゃでデキますよ。
北田:これ、商談の、あとでネゴシエーションの方法論って僕が作ったやり方、セミナーとかで話してるんだけど、その原点になる話なんだね。

山本:へー(笑)。
北田:原点っつっても、ネゴシエーション術っていうのがあるんだけど。そのときは、若いときは自分なりに一生懸命考えて、どうしよう、どうしよう、俺も会社帰ってって言おうかなと思いながら、びびって、順番が来て。

山本:(笑)
北田:何て言えばいいかなって。在庫あるかなって、本当わかんないから。でも、わかりましたって。

山本:まあ、どうせあるやろなみたいな。
北田:そう。まあ、何とかなるだろみたいな、そういうね。まあ、いいかげんなとこも大事なの。

山本:まず、じゃあ、その百貨店の係長なんかとは、やっぱり仲よくなったんですか。
北田:いや、そのあと30年ぐらいつき合ってるな。

山本:えー。
北田:そいつがあとで、店長なってさ。

山本:うれしい。
北田:その人、年上だから。やっぱかわいがってくれるよね。そういうのって一生覚えてる、相手は。

山本:わかる。
北田:あのときのおまえな、って。

山本:覚える覚える。俺もそういう人おるわ。
北田:印象深いわけよ。若いときにとか、あと、けんかした相手とかね。けんかした相手なんかよく覚えてる。

山本:覚えてますね、確かに。
北田:そういうのが残る。

山本:いい意味で。
北田:偉くなるとネットワークができるんだよ。

山本:戦友ですもんね。
北田:そういうのがいっぱいおるからな。一緒にパッキン担いだ伊勢丹の前の社長の大西なんかもそうだし、一緒にパッキン担ぐ仲間だからね。それは、社長の大西さん、天下の百貨店グループのだよ、俺、携帯にも電話できるわけよ、いつでも。

山本:(笑)パッキン。そりゃ、一緒にパッキン担いだらね。
北田:一緒にパッキン担いで汗流してさ。

山本:缶コーヒー飲んでね(笑)。
北田:っていうときからつき合ってる。こういうネットワークって割とわかりやすい。ネットワークは、もう一個、若い頃からつき合ってなきゃできませんかっていうわけでもないですよね。それは新しく大人になってからつき合い始めてもネットワークは作れます、これはまた別の話だけど。まあ、今言ったのは、そうやって会社の信用度を上げていく、個人の信用も上げていくって方法論はある。

山本:会社の信用と個人の信用。
北田:そう。それはルールを破ってもいい場合があるの。でも会社は正しく、社長は指示を出しておく必要がまず最初にある。だから、さっきおっしゃった58を55で受けたら頭きますって言うけど、それは指示の仕方が悪いの。

山本:(笑)きつっ。わかりました(笑)。
北田:そう思わない?

山本:厳しい。いや、そう思います(笑)。そう思います。
北田:曖昧な指示出してるから、そういう返事になるの。

山本:だめなんすね。すいませんでした。頑張ります(笑)。今日、帰って考え直します(笑)。
北田:だから、怒ると叱るの違いっていうのは大変難しいんだけど、私も人間だから感情的になるときもあるし。

山本:怒ると叱るは確かに違いますね。
北田:だから、そこはなかなか難しい。と、今でもじゃあ、北田さん、言うとおりやってんですかったら、もう100%やってるとは言えないけど。

山本:いや、難しい、そんなの。
北田:そういうことを意識して話するだけでもちょっと変わる。だから、聞くって大事ですよ。これ、商談の基本でもあるけども。

山本:向こうにしゃべらせるってことですよね。
北田:うん、向こうにしゃべらせる。

山本:そういうことですね。
北田:聞く。うまく聞き出せれば、情報をどんどん得られるわけだから、そしたら、こっちの内容も作戦も練り直しできるし。一方でこっちばっかり言いたいことを言ってると、相手しゃべらせないと商談にならない。

「社員ができないといけない」

第一回北田正喜氏との対談


山本:自分も在庫処分の話なんですけど、普通言われるときは、この在庫は残ってるねんって話になるんですね。じゃあ、この在庫、何で残ったん?って話なったら、どこどこで売れなかったやつとか。じゃあ、ほかの会社で売れなかったやつはどうしてるんですかとか。じゃあ、ほかの会社から返ってきた商品はどうですかって。いや、これもある、これもあるって結構出てきたりするんですね。じゃあ、それ全部買いますわって、買わしてくださいみたいな話もできるから。あとまあ、じゃあ何でこれ、うちに頼んだんですかとか。いえいえ、どこどこに頼んでて在庫処分うまくいかなくて。何かテレビで売るんで電話してみたいな感じになると、何か引き出したぞ感がありますね(笑)、勝ったと。
北田:だから、相手がちゃんと全部説明してくれる人もいるだろうし、なかなかうまく説明できない人もいるから、だから、聞き出す能力って大事ですよね。それは社長自身じゃなくても社員さんがうまく相手を引き出す。それトレーニングしといたら。

山本:社員、そう、僕じゃなく社員がね。
北田:そうそう。社員がやんなきゃ。

山本:できないとね。
北田:社員が(笑)。

山本:(笑)
北田:いつまでも1人でできないんだよ。

山本:いや、それも思います、いまだに(笑)。
北田:そういうノウハウを、さっきも申し上げたように社員が横で一緒に商談を見て、社長がレクチャーしてあげたらいい。何で、俺がああしたかって。

山本:いきなりできないですよね。
北田:そうそう。一緒に行って、何で俺、あそこで聞いたと思う?とかっていうのをやると、すぐすぐ覚えます。ポイントって現場でしか出ないんですね。会社で教科書でやってても全然わかんない。

山本:それはおっしゃるとおりです。アドリブですもんね。
北田:そう。で、こういう会話は、ある程度事業をやってるから、何となくピンとくるから合うんですよ。ああ、こういうケースね、こんな話もねって。これ、全然やってない人に言ったって、へーみたいなもんですよね。だから、事業やってる人は、あーなるほどなるほどって。そういうのって、感じない人と感じる人ってある。

山本:いい教育ってそっち側ですよね。
北田:そうそう。だから、社員さんにはやっぱりそういうオンザジョブのトレーニングの、OJTを社長自らやられるのがいいんじゃないですかね。一番伝わりやすいですよ。まあ、一応信用してる社員さん、側近の人がいれば。

山本:現場を使えってことですね、やっぱり教育っていうのは。
北田:うん、そう、現場へ出ていって一緒に商談して、だんだん行かなくなっちゃうから、きっと。

山本:なると思います。
北田:やっぱり現場へ行って物を見て確認して、仕事を見せると、社員さんみんな、あー社長自らそうやってやるんだと。その代わり、俺がついていっても何もやることなかったじゃなくて、ちゃんと聞かれたら、本人、緊張して見てるんですよね。あとでレクチャーするからなって、先に言っとくと。そうすると、どういう会話をするか一生懸命聞いてる。

山本:あとでレクチャーするからなって。
北田:そう。だから、行く前に今日のテーマこれだよなって最初言っておくんですよ。今日のテーマはこれで、一応こういう方向に持っていきたいと思ってるんだけどって、社員に説明してもらう。で、終わったらあとでレクチャーするからねって言っとくと。

山本:ちょっと緊張する。
北田:同席した社員は、今日のテーマとか言われて、社長はこんな話しようと思ってるんだって考える。社長の商談がどんなのかって、前も知ってるから。で、結果どうなったかっていうレクチャーをする。そしたらすごい伸びる。1、2回やるだけで、そいつはスムーズな商談っていう、社長の商談方式をわかるね。社長はなぜこうやった。だから、それが尊敬する社長であればあるだけ、社長への信頼が増す。あ、そうやって判断してんだ。

山本:思うんすけど、一般の社員って何が会社のためなのかってわかってない人多いと思ってて。商談に一緒に行けたときに、社員が社長は何であのとき判断したんですかったら、いや、こっちのほうが会社にとって利益あるやんって言ったら、確かにそうですねっていうことが結構多くて。従業員の人って、よっぽど見えてない人多いんやなっていうのが、まあ、よく思います。でも、それ偉そうに言うと嫌がられるんで(笑)、下から言うって感じだけど。
北田:今、社内教育はどうやってますか。

山本:もう、おっしゃるとおり、オンザジョブトレーニングですね。
北田:中心で?

山本:うん。一緒に行って、でも、営業うまくなるやつはやっぱ、まあ、5回も行きゃあ大体うまくなるって感じですね。
北田:できれば、それをオンザジョブでやるのが一番、まあ、その人個人個人にはよるんですけども、舞台がちょっと大きくなってきて、もう全員を連れていけないじゃないですか。要は、自分が全部できないじゃないですか。誰かに任していかないと、だんだんにね。そしたら、それの何かノウハウみたいな部分が、ポイントっていうかな、そこを自分でもし整理されてるんだったら、それを社内ミーティングで説明するといいです。それを繰り返し月1回ぐらい勉強会開いて、それが社長のやり方だってことを伝えていく必要がある。で、具体例も挙げながら、この間のこの商談の場合はこうだった。ちゃんと黒板に書く書かないは別問題ですけども。

山本:共有していくってことですね。
北田:共有していく。で、そういう勉強会みたいなミーティングを毎月やるのいいですよ。それおすすめします。僕は毎月そういうのをやってました。だから、それを教える側、まあ、僕はたまたま教員の免許を持ってたりして、割と教えるの好きだったからってのもあるけども。話すの下手かうまいかも個人差あるんですけども、自分が何か伝えよう、教えようと思うとまとめなきゃいけない、その前にね。

山本:僕らがね?
北田:そうそう。自分本人。

山本:それは、めっちゃやりましたね(笑)。
北田:これが大事なの。これをノートに毎回、毎月まとめていって、今月のテーマはこれにしてこんな話しようとかって書くのが大事なの。

山本:確かに、社員呼んできてミーティングやるぞって、何もまとまってなかったらダサいですもんね(笑)。
北田:適当にただしゃべっても、あいつらも何メモしたらいいんだ、どこがポイントか。

山本:わかんないですよね。
北田:ちゃんと本人が今日のテーマこれで、鍵になるのはこういうことだなっていうんで、まあ、例も挙げて、30分とか決めて。

山本:30分でもいいんか。確かに30分でも集中したら結構いけますね。
北田:十分。だからご本人の勉強にもなるんですよ。

山本:確かに。
北田:それ気づくんです。こういうことも言ったほうがいいなとか、そういうの。僕は、そういうノートって結構ばーっとあって、30代ぐらい、店長会議 でやってるやつが。

山本:すげーな。
北田:それを振り返って、去年の3月、何話したっけ?みたいに、これを見ると、こんな話、去年もしてるなみたいな、これは繰り返しやったほうがいいなとかいうのがいくつかあるんですよね。で、たまにでいいやつもあるんですよね。
山本:そんな、俺、おやじがそんなノート持ってたらめっちゃ読みたいですけどね(笑)。子どもとかにいいんですけど(笑)。
北田:それは、いまだに、俺、去年、セミナーで講師やるときに一回全部資料見て、あの時代に作った販売ルート(笑)。

山本:(笑)
北田:このキーワードはいいなとか。若いとき優秀だったなと、俺、自分で思うもん。あの頃はすごいなとか自分で思ったりして、よくやったなみたいな。

山本:(笑)
北田:今、ずぼらや、ずぼら。社長業になってしまうとずぼらなんですよね。もうちょっと課長、部長とかっていったら、もう。

山本:それ、もう言われる、やばい。
北田:舞台を直接的に教えていくから、で、一緒に動くでしょう?

山本:思います。細かくなくなったって言われます僕、めっちゃ。
北田:だから、それを整理しとくといいですよ。で、それを人前で話すっていうのは社内でいいんですよ。社外じゃなくて社内でいいから。まあ、だから上司の話はみんなまじめに聞きますよ。

山本:まあ、そう、短ければ。
北田:うん。だから一応上司なんだから、給料払ってますね。まじめに聞いてない社員は厳しく。

山本:(笑)
北田:寝てるわけにいかないでしょう?やっぱり、そのときに。

山本:ふざけんなって言われる。
北田:そうするといいんです。聞く側も聞いてくれるから。そのときに大事なのは、30分話をして質問とかやる。一方的に終わらせないことです、わかってない人いるから。

山本:それ、ってか、わかってないのをわかってる顔するやつがいますね。
北田:そう。それで質問したり、質疑応答したりして、そこでコミュニケーションすれば、日頃しゃべらない社員がしゃべるかもしれないし。

山本:確かに。
北田:意外と、あれ?って、意外な反応あるかもしれないです。あ、こいつ意外と考えてんなとか、こいつ意外といいかもって気付くんですよね。営業はこいつ優秀だけど、でもこいつ意外と、営業じゃなくて違うことやらしたらいいかなとか、それに気づく。社員の生かし方。

山本:それを毎月やるってことが大事なんですね。
北田:毎月やる。それ、決めてやることなんです。それ、休まない。絶対にサボらない、自分からね。

山本:いやあ、めんどくさい(笑)。
北田:毎月、自分で決めて。

山本:わかりますわかります。親父に言われてるみたい (笑)。
北田:やると、自分も整理つくしね。

山本:いや、まあ、そうです、おっしゃるとおり。

「店長の仕事とは」

北田:僕は、それ若いときにやってよかったと思うし。で、今、セミナーの資料、今日は持ってこなかったけど、やっぱり結構まとめたら、基礎編、応用編とか考えてんだけど、それなりのボリュームになるんですよね。で、これはまあ、今、リテールの、いわゆる小売業の店長さんとかの売り上げ上げるための方法論みたいなやつを教えてるんだけど、それは感情的な部分だけじゃなくて、何を毎日すればいいかを教えるんですよね。
山本:何を?
北田:要するに、自分ができることを教えなきゃだめなんで。こうやったら売り上げ上がりますと書いても、本人はピンとこないとできないでしょう?
山本:できない。
北田:ああ、そうか、いいなと思うだけで。明日から帰って何すんの?って、できなきゃだめなの。具体的にこれをしたら売り上げ上がるってことを教えてあげる。それは、実際それやって売り上げ上がったっていう証明がないと、自分でも説明できないよね。だから、本に書いてあるのは、こうしたらいいですよっていっぱい書いてある。
山本:例えば、簡単なことで言えばどんなこと書かはったんですか。
北田:まあ、要素はいくつかあるんですけども、基本の基本っていうのはマーケティングミックスっていう一つの言葉で表せれるんだけど、要するに、ビジネスはすべてマーケティングミックス、マーケティング活動のミックスだから。で、僕はリテールビジネスにおけるマーケティングミックスっていう自分なりに作ってるんですね、それは自分の体験上で。その構成要素を僕4Pって呼んでるんですけども、通常、本なんかで4P書いてるのとちょっと私の4Pは違って、これは商品とか、売り場とか、人とか、販促とか、要はそういう話。商品はプロダクトですね。で、場所はプレイス。
山本:プレイス。
北田:で、人はパーソンズ、販促はプロモーション。
山本:なるほど、人が違いますね。
北田:普通はそれ、プライスとかやろ、プライス。で、人は外す。でも、リテールにとって4P大事なら人はとっても重要な要素です、販売要素にしてもね。プライスももちろん重要だけども、MDとしてはプライスも入ってくるよね。
山本:そうですね、わかる。
北田:この4PとPDCAサイクルを回すっていうのは基本中の基本なんですよ。じゃあ、そこまではみんなわかる。じゃあ、それをどういうふうに、その4Pをプランニングするの?で、4Pのプランニング。まずPDCAのPのプランニングが大事なのは間違いないですね。だから、どんな会社でも予算を作る、計画を立てるをやるけども、店長も数字だけ会社からきました、今月1000万売りなさいとくる。だけど、じゃあこれ、どうやって1000万作るんですか、というときに、その4つのPに分けて考えるってことなの。まず商品は月初在庫、今いくらありますか。数字化なの全部。店頭残ってるの、材料費。この予算いくらですか。じゃあ在庫、いくら今月納品必要ですか。月末はいくらが正しいんですか。だから適正在庫っていくらなんだ、自分の店に対してのね。これ勉強しなきゃいけない、まずね。まあ、そこから始まるんですけども。だから、商品は、まず量、あと質。どんなタイプの商品がどのぐらいあったらいいのかっていうのは質の部分があるので、毎回そうやって全部やっていくんだけど、それを1年やると、去年どうだったか、売り上げって結構前年対比でいわれるから。去年の3月何をしたか記録が残ってると、ナレッジマネジメントと僕は言うんだけど、やっぱり知識として積み重なっていきます。
山本:忘れますからね、去年何やったかとか。
北田:そうそう。
山本:まじだめ。
北田:特にアパレルは人が代わってく。店長代わったらもうすぐにパーンだから。
山本:パーンです。
北田:ゼロからやります。したがって、ナレッジマネジメント、人が代わっても、その店はこういう特性があるとか、去年こういうふうにやってるとか全部残るわけね。で、販売体制も何人いて、誰が休みで、どういうシフトを組んでるのかとか。それはもちろん場所も、売り場そのものを変えるというのはなかなか店長の力ではできないんだけど。その中で、いわゆるVMD的な要素で商品の陳列の仕方が、どこにどういうアイテムを置いてるとか、そういうのを考えられる。あと、人も同じ。あとプロモーションも、もちろん会社でやる宣伝もあるけども、店長ができる顧客呼ぶ戦略とかいろんなことができる。DM出したのか、何をしたのか、電話したのか、全部プランをまず立てて、数字で全部表せる。DMをするなら、じゃあ毎日何人出すの?回収率は何%にするの?あと、そういうのすべてKPIといって、キーパフォーマンスインジケーターっていって、要するに、まあ鍵になる数値でセット率とか出てくる、いろいろね。そういうのを、目標を立てて実行する。実行するには、ウイークリーベースのプランを作る。
山本:難しいなあ。
北田:これを今週はどうする、納品こうして、レイアウトこうやってって。
山本:ウイークリーベース、めっちゃ細かい。
北田:これ、大体、会社側がMD政策が52週MDで組むわけ。で、全部商品入れ替えてくれないよ、毎週。ずっとの商品もあれば、入れ替わった商品もあったりとか、そういうサイクルって差別化されるんですけども。で、まず、店長がそのレベルのプランができたら、実行して修正して検証、で、修正。
山本:PDCAですね。
北田:これ、やるの慣れると、売り上げっていうのは安定度が増すんですよ。これは毎月やんなきゃだめなの。で、毎週チェックなの。
山本:大変やん。
北田:だから店長ってのは売る仕事じゃないの。結果的に売るんだけど、売る前と売り方に責任がある。質のコントロールしなきゃいけない、在庫のコントロールしなきゃいけない、計数管理しなきゃいけない。だから店長なんだよと。売るだけなら店長じゃない、要は。だから店長には僕はそれを求めるわけです。それを毎月僕らがやってて、それを毎月基本的なことを毎回話しながら、毎月発表者を出して、先月予算いったところを説明させるわけね。僕は悪いとこは責めない。いったところをほめてあげて、聞く。なぜあなたの店で予算いったんです?なぜ売り上げ上がったの?そうすると、だんだん慣れてくると、僕、こういうプランニングを立てて、こういうとおりに実績が1週目でこう上がって、こうなりましたと。たまたま顧客が来ましたじゃないんだと。売り上げが下がったときには、お客さん入んなかったとか、売り場も悪いんですとか。
山本:(笑)、そんな寒い話、俺、聞きたくないですね。
北田:それは、ほとんどのとこはそういうレベルなの、まだ。
山本:昔も今も?
北田:今も。だから、店長クラスの研修やったのに出てくるのはそう。なぜよかったかって答えられない。頑張ったんですよって。そりゃ、頑張ったんでしょう。
山本:(笑)
北田:そりゃ、みんな頑張ってるんだからね。何で予算いったんですかと。そこが論理的に整理つけてしゃべれるようになってくると、うまくいかなかったときも修正ができるんです。
山本:それが何回かやってるとできるようになってくるっていうことですね。
北田:そう。そうすると売り上げが安定してくる。で、顧客選択もCRMってカスタマーリレーションシップマネジメントっていうのは、今、システムも入ってるし、顧客の来店頻度が全部検索できるから。今は、データがいっぱいあるんですよね、実は。売上分析も一杯できる。でも、データ生かしきれないのは、そういうことを教えてないから。結果的にいくら売れましたか、何売れましたかっていうのを本社で見ていけば、じゃあ、それ、店長たちはどういうふうに理解してるのかね。なぜそうなってるのか。
山本:わかんないですね。
北田:わかんない。だから、もう宝の持ち腐れみたいな会社いっぱいあるんです。そこはリテールの、そうやって売り上げる方法論を、今言ったのは基本の基本なんですけども、それ以外にもいくつかありますけども、まず、それをきちんと教えることが重要で、そのPDCAを回し始めたら修正もしやすいし対応もできる。そうすると、仕入れ在庫はどのぐらいもつか、適正、まず在庫の問題ってのは、そこから店舗数の積み上げでもあったりするわけだから、10店舗を展開するブランド、100店舗だと全然必要材料違ってくるじゃないですか、当然。
山本:単に10倍じゃないんですか。
北田:単にじゃないの。それは店によっても違うから、当然。店舗単位のやっぱり損益を考えないといけない、今の時代は。ばくっと全体利益出ましたっていう時代、もう終わったわけです。
山本:まあ、それはわかります。
北田:1店舗ずつ、やっぱり損益を見ていくから、赤字のお店でも好転できる可能性があるかないかも判断しなきゃいけないですね。だから、いわゆる帳票だけで見る分析屋さんとかは、帳票だけでこの店やめたほうがいいとか言うんですよ、すぐリストラとかやらせると。でも、実際見てみたかとか、どうやって運営したかってのは、ちゃんと見たやつはあまりいないわけよ。
山本:そりゃそう。だってめんどくさいから。(笑)すんません。ちょっとレベル低いね、すいません。
北田:ポテンシャルある店なのに、たまたま売り上げ上がってないとこもあるわけ。だから、そういうのを見極めてやらないといけない。そのためにも会社としてもそういうのできるし、店長のレベルが上がってくると、会議とかやってもレベルが上がるわけです、全体が。それ、みんな、ほめてもらえる。売り上げ上がったところが発表してると、みんな一生懸命どうやってやったんだ?って、ディスプレイはどうしたんだ?
山本:そうですね。パクりたいですもんね。
北田:もちろんVMDがいて指示してるけど、一応、会社からはルールを説明してるんだよ。VMDはこうしなさい、ディスプレイはこうって言ってるけど、そこで創意工夫が少し加わるわけよ、うまくいったところは。やっぱり何か考えてるわけ。ちょっと今日は雨だったからあの日はこうしたとか、まあ、シンプルに言えば、気候によっても変えるかもしれないし、お客さんの流れによっても変えるかもしれないし。そういうのを全部説明させるのは、われわれは絶対できないことなの。やってる店長しか説明できない。
山本:そうかそうか、そうですね。
北田:これ、ノウハウを介してるわけよ。そうすると、同僚がうまくやってることって、みんな聞きたいわけよ。あ、こうやって、じゃあ、うちもやってみよう、じゃあ、明日すぐやってみよう。そういう話になるし、そういうのをやっていくとチームとして非常に強い力になってくる。大体そういう店長が生まれてくると、そこの部下は優秀なの育ってくる。
山本:そうですね。
北田:うん、そうそう。そういう人が、また、違う店舗の店長になると、うまくそういうノウハウ持ってくる。
山本:でも結果出るには、続けなだめってことですよね。
北田:そう。
山本:できればいいなあ。
北田:やっぱり最後は人なんですよね。人をいかに育てるかが勝負。だから人を育てなければ、マネジメント側もそうで、やっぱりさっき申し上げたように、もう役員クラス、部長、課長であれば、やっぱそういったオンザジョブであり、そういう教育であり、人の育て方ですよね。それによって企業のポテンシャルががーって引き上げられる。いくら優秀な大学出てても、東大のやつも早稲田も慶應もいっぱいいるけども、うちの会社にもいたけど、できないやつはできないよね。できるやつは別にどこの大学だって関係ないし、高卒の人もうちもいたけど優秀な人だし、やっぱり頑張ってます。あんまり別に、もう社会出ちゃったらどこの大学ってのはあんまり用足さない。
山本:そうですね。
北田:うん。だから別に高卒でも構わないし、まあ、中卒の人はたまたまいなかったけど、どんな環境であれ、その人の努力次第ですよね。だから、どんな上司につくかって、企業の場合はもう運、不運もあります、そりゃ。
山本:多少はね。例えば、これもさっきのあれでしょう?節目理論でしょう?
北田:そうそう。

「部下の給料をどう扱うか」


山本:(笑)じゃあ北田さん、アメリカから帰ってきて何やったんですか。
北田:まあMDなって、いわゆる企画課長だよね。企画の課長やってました。担当ブランド、イクシーズってブランドの企画課長をやって、そのあと会社の体制も変わって、今度、営業にまた戻って。
山本:営業課長みたいなことですか。
北田:そうそう。で、それからまた、仕入れの課長かなんかになって。
山本:それって何年ぐらい、2年ぐらいで代わるんですか。くるくるくるくるって。
北田:まあ、代わんない人もいるんだけど、僕は割と代わったほうですよね。2年とか3年で代わる。で、そのあとは営業に戻る前に、ちょっと経営企画みたいなものをちょっとやってたり。
山本:もう出世コースですね。
北田:まあ、たまたまですね。会社の構造改革案を作ったんですね、自分で。
山本:どんなですか。
北田:38歳ぐらいのときにね。
山本:若いですね。
北田:こう考え直してくれって。構造改革案っていうのを二つぐらい考えろっつったから。
山本:若っ。
北田:まあ、自分の企業人生においては、営業、企画、両方やらしていただいたしね、仕入れもやったから。割とそっち、生産現場を当時担当したとかはないんだけど、経理とかはね。だから、営業、企画、仕入れですよね。そっち側です。あとまあ、経営企画的な。
山本:そのときも、さっき言った月1のミーティングのやつは、一応部内では、やってたんですか、大体。
北田:そう。営業系のときは必ずやりましたね。企画のときはちょっとやることが違うんで、
山本:ロングスパンですもんね。
北田:うん。まあ、企画のときは、企画のときでやっぱり勉強になったし、いろいろ考えましたね。
山本:僕、服屋って、自分たちも商品生産してるんですけど、服って売るまでにデザインして、作って、営業売ってってなるじゃないですか。売れなかったときって誰の責任にどうやってするんですか。
北田:まあ、それは、
山本:めっちゃ難しいなと思って。
北田:誰の責任っていったら、まあ、みんなの責任なんだけど。
山本:(笑)
北田:それはそれぞれ役割だから、それぞれが責任持って役割果たしてさえいれば、売れ残らないはずだけども、まあ、計数的に見れば、シンプルに仕入れ担当が発注が多すぎたとか、例えばね。営業が予定どおりでなかったとか、あとまあ、企画したのが、例えば、色落ちが激しくて主力商品がなかったとか。まあ、何か具体的なこともありますよ。あるけども、それ一つ取り上げてみてもしょうがないので、結局、そのリレーションというか、その流れですよね、結局は。それを起こしてしまったのはどこかに原因があるわけで。
山本:それを見分けるんですか。
北田:それは、その全体を統括する長ですよね、その責任は。
山本:なるほどね、めっちゃむずい。成果と成功報酬って絶対あるじゃないですか。で、やっぱもうかったときは、誰かの給料上げなあかんし、まあ、落ちたときは給料下げるってわけじゃないけど、やっぱ、あまり悪いときは下げなあかんじゃないですか。そこってどうやって判断したらいいですか。
北田:いや、まあ、上げ下げは大概難しいですね。でも、評価方法っていうのは企業によって違いますけども、大きな企業の場合は、やっぱ与えられる職務の範囲って決まってるでしょう?何でも責任があるわけじゃない、権限あるわけじゃないから。あなた、この範囲でやりなさいってなったら、営業だったら、この店舗と店舗担当してますとか、もし企画だったら、このブランドの企画担当なのか、生産のほうやってんのか、それぞれ範疇が決まってるわけです。そうすると、大体のところは、期初っていうか年度始めに目標設定を立てて、今年はこういうことを目標にやりますと。それは数字が入ってる場合もあれば、口頭、言葉で表す場合もあるけども、それを達成できたか、できなかったかっていって、その人の査定、評価が決まると。というのが一般的で、ただやみくもに数字、全体が上がったらみんなにフィードバックありますよね。
山本:まあ、そうですね。
北田:全体が上がったらみんなに一律とか、ボーナス増えるとかってあるけども。個人評価ってのはやっぱ個人の何を評価する、最初に決めといてあげないといけないわけですよね。
山本:それって何かやってます?それも何か、月1とか、年に1回とかのミーティングとかやるんですか。
北田:それはもう人事主導でやるんで、評価システムってのは。勝手に各部門でやらないんで、会社でルールを決めるから、そういうの。
山本:人事が。部門でやらない。うちの会社違うな。
北田:人事部っていうのが会社のルールの基本形を作るので、もちろんわれわれにも相談したりして、システム変えたりしますよ、評価方法変えたり。特に店頭営業系なんかは営業の部門の人に相談してもちろん決めるけども、だから部長部長とか、課長課長が勝手にやることじゃないから、会社として営業も評価をしましょう、結果を査定しましょうっていう議論をして、人事が最終取りまとめをして決める。でもそれが適正かどうかって、なかなかどうも難しくて。それを修正、修正しながらやってるのが事実ですよ。結局メリハリつけたいけどつけづらかったりするから。
山本:つけづらいですよね(笑)。メリハリもつけづらいし、上げるはいいけど下げるはやりにくいですね、ほんまに。
北田:それはやりにくいから。だから僕もあんまり下げたことはないタイプで、だから業績上げたいわけですよ。
山本:そりゃそうですよ。
北田:上げてれば下げなくていいんだから。でも下がるってことは何か原因があるわけで、他人のせいにはできないことじゃないですか、結局は。だからそれは誰の責任、一社員に責任を負わせる話なのか、会社としての問題なのかっていうことですよね。要するに、それが下げたことによってモチベーション下げたり、本人やる気なくしてしまうような。内容は本人の責任じゃないのよ。たまたま数字が下がったら営業みんな悪いのか、営業みんな給料下げるのかって。
山本:難しい。
北田:そういうわけにいかないじゃないですか。だから、その原資ってもちろん上げる、だから例えば全社で5%給料を増やすとか、全社の給料を支払う、どんだけ予算を持ってるかによるけども、10%アップまでOKだとか、要するに評価のプラマイゼロで誰か上げるなら誰か下げなきゃいけない予算なのか。結局その会社の経営方針なの、要するに。資源をいくら乗せるか。ボーナスなんか結局業績給かもしれないけども、基本のところはね。そこはもう会社で最初から判断するしかないでしょうね。だから今年は大変、僕はそのことはあんまりやったことないけども、もしそうだったら最初から社員に説明しとくべきですよね。今年は大変厳しいと。予算ももう110予算を組みたいけど組めないと。100トントンの予算でいくと。
山本:そんな見えてる?まあそやね。今年は厳しい。
北田:いや、だからそれはだって、社員にオープンにしとかないと。だから頑張ったら給料も上げたいけども、トータルとしては人件費増やせないと。だから、少し下げるやつは出てくるかもしんない。それはでもちゃんと目標設定を明確にして不公平のないようにするからねと、要は。それは今言ったのは非常にちっちゃい会社の話ですよ。大きい会社だったら制度を変更しなきゃいけないとかそんなんあるから、そんなふうにはできないけども、ある程度個人オーナーだったらそういうこと聞くよね。
山本:聞きますね。
北田:大企業は組合もあったりするし、そういうの大変なのよ。組合との交渉があったり、勝手に会社が決められないから。組合の同意が必要なんですよ。大企業の場合と個人オーナーの場合は確実に違います。そういう評価制度がある、給料体系。だって募集するときから、ある程度やってるわけだから、決めて。
山本:確かに。
北田:上げ下げできるのはオーナー系の企業のほうがしやすいけど、でもそれも腹割って率先するしかないでしょうね。
山本:腹割るしかないですね。
北田:その代わり今年頑張ってくれたら来年絶対上げようぜみたいな、そういうとこできるじゃないですか。でも大企業の場合はそうはいかない。今年よかったから来年変えるかっていうわけにはいかないから。評価は公平な評価、公正な評価っていうのは常にテーマですね。

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尾井 善雄氏対談 第三回対談
星 正壽氏との対談 第四回星正壽氏との対談