対談第一回 北田正喜氏
北田氏対談5P目
「在庫は90%以上売り切る」
山本:僕、ちょっと個人的に聞きたいんですけど、アニヤ・ハインドマーチみたいな会社やったら、キャリーの在庫ってどうやって、やっぱ入れそうですか。
北田:アウトレット。
山本:アウトレット。ほんで全契約?
北田:うん、ほぼ契約。
山本:すごいっすね。
北田:逆に買い方をうまくやっていくと、プロパー段階で、それ足らなくなっちゃうから。だから、それを足らなくならないようにしないとだめだから。セール前に在庫がないようになっちゃうと、セール時期に百貨店なんか、セールは全商品やらない、40%ぐらいやらないんだけど6割ぐらいシーズン商品だけやるわけ。
山本:これは付き合い?
北田:それは付き合いもあるしイベントだから、ある意味で。その周りが全部そうやってくる。1月とか7月とかバーンと客も入るから百貨店って。お客さん期待してるから。だから、シーズンで売り切ったほうがいい商品があるわけよ。定番商品はしないけど。だからそういうのって、やっぱり一定量ないとお客さんの満足上がらないし、そうすると買い方、要するに消化率設定を変えるの。だから衣料品と消化率はちょっと違うのよ、ハンドバックとかはまた。最終的には90%以上100%近く消化し、まあ100%はないけども。
山本:すげえな、すげえ。
北田:9割ぐらいまで、でも1年でそのシーズンではできないよ。アウトレットの最終も考えてしなきゃだめだよ。アウトレットもアウトレットのタマ、うちは作らせなかったから。ほかはほとんど7割は今、ブランドはもうアウトレットでもう作ってるから。うちは作ってないの。だから本当残ったものしかないから、アウトレットのタマを用意しないと、アウトレットに困るわけよ。だから、そこまで持ってって最終消化だから。そこで計量するわけ。
山本:読み切ってやる?
北田:そう、プロパー消化で何%ぐらいかちょうどいいのか、セールやってどこまでやらせてアウトレット持ってって。それを組み立てる、これがMCっていうの。マーチャンダイザーコントローラーの仕事。これは経営と同じ、近い、もう経営に近いの。これができるやつがいるかいないかで会社は変わるんですよ。それが、10店舗、20店舗、20億、30億ぐらいの規模だったら比較的まだしやすいわけです、スケールが。これが50、100ってなってきたときに量が増えてくるから。
山本:むっちゃ増えますね。
北田:そらそうだ。だから、それがどうしても当たりはずれもあるんで、それを安定させるのにどうしたらいいかっていうのがポイント。それが一番ちっちゃい段階からやり方を教えておく必要があるわけ、担当責任者に。社長が全部できないよ、大きくなったとき、そんなのいちいち。だからやり方を教えるってことですよ。
山本:北田さん、じゃあ、教えたんですか。
北田:教えるよ、もちろん。教えて、いわゆるMCコントローラーとか教えて、バイイングもそいつがするから。俺が別にバイイングするんじゃないから。バイイングの仕方、バイイングの予算枠とかは承認はもちろんするし、考え方も要するに、僕は承認するかたちだから、考えさせて指導してるから。プランはこう変えたほうがいいとかはやるけど。あとは現地に一緒に行って、現場を見るけど、俺は。見て、でもやるのはそいつがやるわけ。やらないとつまんないでしょ、権限ないから。そうやって繰り返しやってるうちに鍛えていくわけ。そしたらだんだん合ってくるのよ。あと価格政策とか大変重要で、特に海外ものは円高円安によって仕入れコストが変わるから。だから為替予約っていうのもあるんですけども、いくらで仕入れるか、どんどん変わっていく。同じ商品でも同じじゃないから、値段が。だから、いくら値段つけるかって、毎シーズン毎シーズン簡単に変えられないわけよ、そういうのって。型が変わった、色が変わったりした段階で変えていいんだけど、同じ商品だとなかなか変えれない。でも時々インターナショナルなブランドは値上げしました、値下げしましたやるでしょ。でも値上げは簡単にするけど、値下げなんかするやつ少ないんだけどさ。
山本:見たことない。
北田:どんどん上がってって売れなくなって1回下げんの、ボーンと。パターンなの。売れてないとこなんかみんなそうなの。僕は、為替方式っていうのは、プラス理論っていうのを自分で持ってるんで、インターナショナルなブランドでロンドンでも売ってる、ヨーロッパでも売ってる、日本でもアメリカでも売ってるわけね。それで、世界共通価格って何かって考えたら。
山本:面白い。
北田:ロンドンで500ポンドだったら、為替で単純計算して日本でいくらって出てくるでしょ。そうすると輸入経費とか関税かかるから原価は違うんですよね、それぞれ。みんな、そういう税金も含めたやつを原価として大体マークアップっていうけども、いくら利益を取るかっていうのを決めるんだけど、これマークアップ方式だけでやると、これ動くんですよね。これと、こっちの値段を比べると日本は2割高いとか、要するにお客さんから見れば単純に為替計算をするだけだからロンドン行ったほうが安いもん。日本は2割高い、なぜ高いかっていったら輸送費だとか税金とか。プラス日本の利益の取り方によって変わるんですね。これを、じゃあ、アメリカでいくらになるか。ポンドと円とドルでいくらか決めようと。もう為替ヘッジ方式っていって、
北田:プライス理論ってあんだよ。
山本:めっちゃ面白い(笑)。ありそう。
北田:単純に言うと、お客さん目線なわけよ。要するに、プライスっていうのは生産者側、アパレル側、ブランド側が決めるんじゃなくてマーケットが決めるっていう理論なの。これはマーケットに評価されなけりゃ売れ残るんだよ。いくら高い値段つけても売れなかったら結局は一緒なの。
山本:終わり。
北田:マークアップなんてのは仮想だから。売れてなんぼなんだよね。だから、この商品は日本でいくらで売れるっていう妥当なラインっていうのを、販売員とかの目線でほかのブランドと比べて、この値段っていうのはいくらだっていうのを作っていくのが大変。マーケットプライス理論なんです。
山本:会社がね。
北田:安くてもだめなの、高くてもだめなの。
山本:安くでもだめ?
北田:だめ。ブランド化して、お客さんのそのブランドに対する思い入れとかあると。
山本:難しいな。
北田:だから最初行ったときやったことの一つは、マーケット聞いて回ったのと同時に価格ラインについては全販売員に投票させたの。展示会やって、それまでの過去のやつをプライス案を見ながら、販売員に、あなたならこの商品いくらだったら売れると思いますかって書かせたの。販売員に価格決めさせようと思ったの。決めるのは早くから決めるけど、
山本:効果はどうなんですか。
北田:ただ、少しこれを下げてほしいっていう商品があれば、少し上げてくれって商品があったんですね。
山本:上げもあったんや。
北田:もちろんある。そんな原価から考えてるわけじゃないから。この商品がいくらで売れるかだから。コストを考えてないから。そうすると、消費税がその当時5%だったけど、今8%だけども、消費税込みでお客さんは見るのか、女性のお客様のプライスポイントの10万円を超えるか超えないかっていうラインで、消費税込みで9万9000円っていうのと、消費税込みで10万5000円だったら、やっぱり明らかに9万9000円のほうが売れるわけね。その販売員さんの感覚が強いわけ、要は。そういう境目っていう人は10万円があるんだけど、高額品だから逆にね。でも20万と18万だったらもう関係ないかもしんないけど。
山本:どんぶりしてますね。
北田:買う人は買うんだよ、もう。でも10万単位って結構OLでも手が届くとこだし、ギリギリなわけよ。あとじゃあ、7万、5万、3万でどうなの?っていうのもある。そういうのはやっぱり一つプライスセットの方式があるんですけども、リサーチをして販売員の声聞いて、一番最初やったのは販売員の声を70%、80%全部聞いてあげたの。商品によってはコストがボーンと上がってしまうし、それあるんだけど、これ気にせず全部変えたのプライスを。統計出たものをみんなに説明して、個人の意見は聞いてないよ。30人とかいう意見を聞いて、こういうアンケートの結果こうでしたってちゃんと開示したうえで、したがってこの価格にしますってした。そしたら、みんな店頭はすごく平等感が出たわけ。これで売れるって。
山本:それ初年度ですか。
北田:そう。最初のシーズンでやったよ。そうすると、最初のコスト設定はコスト率何%とかって言えないけど、それ25でも30でもいいんだけど、計画上そうなってるけど、それがいきなり35になっても別に構わないわけよ。プロパーで売れたら結局。
山本:何とかなる。
北田:だから、頭固いと最初、設計ばっかりこだわっちゃうんだよ。そんな値段下げたらコストが悪くなる。売ってもいないのにだよ。結果それで売れ残らない、どんどん販売員は意欲的に売っていく、最後商品なくなっちゃった。どっちでいく?あなただったら。
山本:まさしく後者ですね。
北田:それを甘くしすぎてももちろんだめなんですけども、やっぱり消化率との兼ね合いって、これ裏表だから。プロパーでいくら消化できるかっていうのが鍵になるんですね。だから、それは価格設定と綿密な関係があるの。いくら価格を下げても上げても売れないものは売れないんだ。そういうのがあるんですよ。そういうのはABC分析でいうとこの、C商品の一部っていうのがある。もうどうやったって売れないやつがあるんだよ。これはしょうがない。これはでも全部じゃないんだよ、こんなのね。大半は、何か価格とかバランスとかいろいろ表現あるんでいつか売れるんだよ、ちゃんと。で、アウトレットが確実に売れるのはそれもあるんですよね。やっぱり5割引きとかアウトレットでなってたら明らかに価格で売れてるし、でも5割引きにしても売れないものがあるにはあるんだ。でもそれはもう、最後はうちなんかは本当に社内、ファミリーにいわゆるB品とかも含めて、
山本:まあまあ安くなる。
北田:もう原価は割ってもいいから、
山本:なくせと。
北田:もうなくすっていうのは社内ではありますけどね。それはもう表にはしない。アウトレットも限度があるから、下げすぎてもいけないんだよ。それは、アニヤならアニヤで衣料品とは違う面白さっていうのはある。MD要素って、商品を構成する要素ってどんなのか聞いたことあります?例えば、デザインとか色とか素材とかあるじゃないですか、そういうの。
山本:何だろ。
北田:MDを構成する要素っていうのは普通五つなんですよね。ハンドバックは六つあるんですよ。
山本:何ですか。
北田:これは分析手法なんだけど、売れてる商品、売れてない商品あるじゃないですか。これ、こっちよりこっち売れてませんって何で見てるか。それ分析するときに、どういう視点で分析するか。
山本:さっき言った4P、5Pじゃなくて。
北田:4P、5P、その4Pのうちの一つのプロダクト。プロダクトの分析するときにどういう要素で分析すると思う?
山本:わからへん、デザイン、色、サイズ、6個もあんの?あとは何やろ。……ジャンル、ワンピースとか。
北田:ジャンル、まあデザイン、カテゴリーか。
山本:カテゴリー、カテゴリーじゃないですもんね。何やろう、わかんないです。
北田:商品そのものっていったら、まずデザインがありますね。デザインがあって、素材、どんな商品でも素材、で、カラー、プライスでしょ。デザインがあって、素材があって、カラーがあって、プライスがあって、サイズがある。これで五つですよ。普通はこれごとに分析されるわけですよ。この商品はなぜ置いてるのか。いや、デザイン性がタフで売れてるのか。
山本:最後のわかりました、季節?
北田:違う。ハンドバックだからもう一個あるんです。
山本:何や、容量?
北田:ちょっと近い、ちょっと違うな。
山本:何やろう、オケージョン?
北田:重さなんですよ。バッグは、女は必ず重さを見るの。
山本:確かに、あいつら見てますね。
北田:必ずこうやって重さを見るんです。
山本:女の子って。
北田:こうやって持つでしょ、大体。だから、軽い、日本人は特にそうなの。外国人は重さ気にしないの。
山本:あんまり物入れないから?
北田:そう、あと車社会だから、割と。日本は本当に持って歩くのが長いわけよ。通勤で使うとか、必ずこうやって重さ見るんだよね(笑)。
山本:だから、軽いバックって何か値打ちないような気がせんでもないですけどね、そこ男だけですかね?
北田:いや、いいもので軽く作る方法あるわけよ。そういうのは、ロンドンと話し合いながら、裏を違う素材にしてもらったり、変えたりね。そういうの日本向けはそういうの多いですよ。日本のブランドは。だからそういう6大要素ばっかなの、これ。衣料品なら5大要素っていうんだけど、MD分析の基本なんですよね。それで、マーチャンダイジングコントローラーには、売れた売れないの分析をさせるわけ。でないと、なぜ残ったかわかんなくなっちゃうの。傾向としてこういうものがやっぱり売れてるな、こういうのが売れてないねって出てくるわけ。そうすると、オーダー的にカラーバランスとかカラーオーダーっていったら、白、黒のバランスがとか、青とか緑とか、大体グループあるんですよね。シーズンによってブルーでもちょっとこっち側寄ったブルーとか、濃いとか、いろいろ微妙にあるけども、やっぱりモノトーンが黒なら売れる比率は何%ぐらい売れるだとかあるわけね。冬だと黒ベースのもの、ネイビーベースのもの、ブルー。そういうのやっとくと発注の仕方も変わるわけ。あとサイズとかも。サイズ感も何センチ以上だとやっぱり売りにくいとか。
山本:重さか。
北田:A4が入るサイズじゃないとだめだとか、重さも軽さ、そういうのよ。だから、そういうのも含めて今の話で言うと、MDっていうのは感性と科学の融合なんですよ。科学っていうのはサイエンスだからね。
山本:重さもそうですよね。
北田:うん。だから、感性っていうのはデザインだとか色みだとか、そういうデザイナーしかわからないですよね。それを売れるかたちにするのは科学ですよ。これやるのがMDなんです。余計な話かもしれないけど。
山本:いや、めっちゃ深いですね。
北田:だから、そういうのをちゃんと教えられてるかどうかなんだよ。大体勘でとか実績だけでデータ語るとか。
山本:勘多い(笑)。
北田:この品番売れてますね、この品番、何で売れてるかって俺は聞くわけ。
山本:ほんまそうですね。
北田:何でこれ売れてんだよ。だからね、売れてない話、売れない店の議論は多いんだけど、売れてる店、売れてる商品の議論をする会社は少ないの。
山本:多そうですけどね、逆に。少ないんですか。
北田:自社のはね。他社のは売れてんだけど。他社の売れてる商品は買ってきたりして参考にするわけよ。
山本:でも何かそれ感覚わかる。
北田:例えば隣合ってる、うちは売れないのにあっちは売れるみたいな。何が違うんだよみたいなのやるけども、自社商品でやっぱ売れてないもの同士が多いんだよね、どっちかっていうと。売れてる分析ってさらっと。何か定番が売れてるし、いつも売れているしみたいな。これ何で定番で毎年売れてんだよって、でもずっと売れなくなるときあるよって、必ず。経営も同じで成長、成熟期、必ず迎えるんだけど、いいときに次の計画をしないと下がり始めてからやったらだめなんだよ。
山本:それ。それなんですよね。
北田:いいときに悪くなる想定ができないわけ、人間ってのは。
山本:あれ何なんでしょうね。僕もそうですよ(笑)。
北田:おんなじなの。さっきの商品分析と同じで、上り調子のうちにだめになる、成熟したあとに衰退コースに入るだろうって想定しなきゃならない。
山本:それは難しいな。
北田:そこで次の想定を打っとくとブランドが長生きする。会社も長生きする。30年で終わんないわけよ。30年説昔からあるけど、大体30年、今だともっと短いのかな。前は30年説って言ってたのね。大体、経済環境変わってバブル崩壊で倒れたのいっぱいあるけども、いいこと続いてるブランドがどっかで風にぶち当たるでしょ。だから、当たってからやると打つ手がネガティブになるのよ。いいときは余力があるじゃん。
山本:ある。その余力で遊んじゃわずに。
北田:そのときに悪くなる想定をしなきゃだめ。もし下がったらどうすんのよ。それはネガティブでなくて、それはポジティブな発想なのね。いいときにできると。
山本:そうですね。僕、今、この企画も何かこう暴れてる感じですからね。
北田:うん、何かやってみようとかだね。
山本:何かやってみようからきましたからね。
北田:そういうことが大事ですよ。たまたま、こうやってご縁があってお話してますけども、なかなかそういうの社長自ら思わないとできないことだから。
山本:できない、やんないです。
北田:だから、それは僕はすばらしいと思うね。
山本:いえいえ。
北田:何人かの方にお会いしたり、継続したりやっていくと何かヒントがいっぱいあるかもしれないし。
山本:今日も素敵なヒントがいっぱいありました。まず、ビシッとしようと思い(笑)。
北田:(笑)
山本:ビシッとしろって大変やからな。
北田:ギャーギャー言うなって?
山本:ギャーギャー言わない(笑)。
北田:わかりやすいな。
「良いものを体験することが良い会社経営につながる」
山本:ちょっとプライベートも聞きたいんですけど、プライベートって何か聞いていいんかあれなんですけど。ライトなとこまでいくとプライベートでお金の使い方ってどうしてます?お小遣いとか、何かそんな感じなのかな、やっぱり。家庭的に言うと。
北田:年代によって子どもが成長期だとか、ちょっと違う。
山本:若いときどうでした?
北田:若いときは結婚してからは小遣い制ですよね。
山本:やっぱ嫁に任せる感じですか。
北田:最初は俺が全部仕切ってたんだけどさ、途中で取られたね(笑)。
山本:(笑)
北田:権限ねえもん。
山本:何かあったんすか。
北田:それは、いろいろ事情があって。
山本:いろいろ事情があって(笑)。
北田:そういう時期もあるさって。
山本:権限を取られた、権限なくやりなさいいうこと?
北田:そうそう。だからずっと最後まで自分が、だんなが権限持ってやってる人もいるよ。奥さんにいくら渡すってね。
山本:大概、でも渡しますよね。
北田:全体を見せないやついるよね。毎月、何十万か生活費渡して、あとは当時、家のローンも全部自分が払うし、教育費も払うから、要するに大きなお金全部自分がやると、だから生活費だけ奥さんに渡してやってもらうっていう家もいるよね。
山本:うちはそうですね、まだそうですね。
北田:最初はやってたけど、それはだんだんまずいなっていうことになったわけ。やはり、ばれてしまうっていうかさ、その使い道が何か怪しいと思われて。で、逆転されたの(笑)。
山本:女子はやっぱりそういうとこ強いからな。
北田:敏感だからね。
山本:めっちゃ敏感ですよね。今までで一番ちょっと散財しちゃったなって何かあります?
北田:散財?家庭にかかわるもので買ったものより、個人で?
山本:個人ですね。
北田:散財、人から見たらどう見えるかってことだね、それは。
山本:でも、趣味で買った思い出の買い物とかでもいいですよ。
北田:買い物?
山本:僕、結構あるんですよ。僕、パネライを僕の好きな当時の税理士さんがしてて、ちょっと重そうだったんですね。で、これめっちゃかっこいいですねって言ったら、
山本:君、似合うから売ったるわって言われて、くれりゃいいのにとか(笑)、さすがにくれへんかった。
北田:本人買ったときよりは安く?
山本:何か60万ぐらいですね、あれ。で、
山本:君、ずっとつけてくれそうやし40万やったらいいよって言われて、ちょっと考えますって1日考えて、欲しいなと思って、で、買いましたね。それを僕、さらにそのまた違う人に、とある僕の先輩に会ったときにパテックフィリップ持ってたんですね。これもかっこいいなと思って、売ってもらったんですね。そしたら、やっぱりパネライをつけなくなったんですよ、こっちのほうが気に入っちゃったから。そのパネライは副社長に僕があげたんですね、頑張ってくれてるからって。その副社長ずっとつけてくれてるから、すごく僕の中では結構、思い出の買い物ですね。
北田:時計の人多いよね。一定の金持つといい時計買いたがるやつ多いよね。
山本:何かかっこよくないですか。
北田:僕はそんなに気にしないんだね。友達がロレックスとか、商売やっとうまくいったからロレックス買うぞとか、パネライもそうだし、いろんなのありますよ。貴金属ってやっぱり買いたい人。僕は若いときからそんなに気にしないほう、時計はね。だから、散財っていうほどはないね。
山本:こっちは思い出の買い物の中ですわ。
北田:ゴルフ関連は結局たくさん買ってるかもしれないけどね。だから一発で何かこう、車とか家とかは除いて、自分の個人だけのためにっていうのは、そういった道楽品ってのはゴルフ用品ぐらいですね、僕は。
山本:ゴルフどれぐらい買うんですか。
北田:年間でやっぱり結構買ってるほうかもしれないよね。
山本:50万、100万とかですか。もっと?
北田:毎年、50万、100万、まあ50万ぐらい買うかな、結局な。何やかんやだね。いや、わかんない、そのときで。合計しないと。でも最近売るの覚えたからさ。
山本:収支があるわけですね(笑)。
北田:そう、売ると半分ぐらいで売れちゃうからさ。だから、合わないと売るっていうのが多いだろう。
山本:そうですね、売らないですね。僕もだってパネライも使わないからもう、これだったらっていうことで。
北田:昔は売るっていう発想なかったけどね。
山本:そうなんですか。
北田:今は、だって引き取ってくれるとこがあるわけだから。そんなにだから散財してない系統の金は使ってきたな、使ってるな(笑)。
山本:(笑)どんな、今簡単に言うたけど、あとでチェックしますんで、例えばどんなんですか。
北田:まあ、そういうブランデーが好きだったりするし。
山本:ブランデー?
北田:レミーマルタンはもう20年ぐらい飲み続けてるし。
山本:ちょっと僕わかんないんですけど高いんですか、やっぱり。
北田:それはそれで。
山本:1本で2万とかそんなんですか。
北田:ものによるけどね。まあ1万円前後のもんだ。それは高いと思うか安いと思うかは本人の問題。
山本:僕は、食べ物なんですよ。絶対ハラミは、特上ハラミにしようって(笑)。
北田:それはお金に余裕があるとみんなそうやってしたいんじゃないの?みんな、そんな下のほう食べようと思ってるやついないよ。高くてもいい、買えるようになる年齢とか収入があったらなればいいんだ。
山本:何かを我慢しなければいけない、僕も。女遊びがあるじゃないですか。キャバクラ行ったりとか。
北田:それはなるかもしれないな、いずれ(笑)。
山本:(笑)
北田:いずれはなるかもしれない。
山本:食べ物だけですね、僕はもう本当に。
北田:おいしいものを食べるのは会社経営にとってもいいと思いますよ。やっぱりいいものを見たほうがいいでしょ、絵でもそうだし。
山本:流行もね。
北田:流行のものは、自分でその仕事をしてなくても環境がそうなってくるから。絶対、いい絵を見るとか、いい本、本はハイエンドとは言わないけど、やっぱり身につけるもの。できれば、やっぱり成金趣味的にならないように、やっぱりいいものに挑戦していく、試していく。食べるものでもいい。
山本:ちょっとずつね。
北田:試していって、知ってるか知らないかの違いだから。本当のおいしいお肉ってって言われるときに、自慢話じゃないけど食べたことあるかないかで違うでしょ。
山本:もう全然違う。
北田:それいつも食べてますって、それはちょっと嫌みっぽいけどさ。
山本:体験が重要ですね。
北田:体験は大事ですよ、魚でも。
山本:北田さん、人生、僕より先輩じゃないですか。これに金使っといたほうがいいよって何かあります?体験でもいいですよ、だから旅行で体験しとけとか、何かそれ何個か欲しいんですけど、僕。それと自分のプライベートを絡めたいなっていうのがあって。行ったことがあるんやったら、旅行やったら、嫁と行けたらそれは自分の成長にもつながるし、嫁もにこにこするし(笑)、二度いいじゃないですか。嫁うるさいから。ハハッ。
北田:海外は、僕はたまたま住んだこともあるし、仕事でもアジアもほとんどの国行ってるし、海外事業部長もやってたからもちろんロンドンも50回以上行ってるけど。
山本:どこの国でもいいんですか。
北田:うん、いろんな国行ってるけど、どの国行っても何か学ぶ点とか気づく点があるから、海外はできるだけ行ったほうがいいね。
山本:行くっていうのは単に行くだけじゃなくて、観光じゃないですよね、どうせ。
北田:まず遊びでもいいさ。何でも仕事にしなくてもいいわけで、そっから何か気付くかもしれないし。だから市場調査的な意味合いでもいいし。
山本:行動パターンあります?スーパーマーケット絶対行くとか。僕は結構スーパーマーケット行くんですけど。
北田:僕は逆に遊びであんまり行ったケースがなくて、ほとんど仕事で行ってるから。もうちょっと遊びで行きたいなって思ってますよ。
山本:ゴルフをして。
北田:そう。そういうのないから、行ったら仕事で行ってるから大体ね。僕は、流通系、小売系を大体かかわってるから、あとは生産関係でしょ。行くのは工場とか百貨店とか、ショッピングセンターとか、そういうとこ行く時間を割いてるから、観光地ほとんど行ってないんだけど。たまに遊びでタイでゴルフしに行ったりはするけどね。だから、あんまり無目的のいわゆる観光っていうのはやったことがないから。でも、どんな理由でもいいから行くのはいろんな国行ってみたいって今でも思うもん。まだ行ってないとこたくさんあるしね。
山本:そらそうでしょうね。そらそうですよ。行き尽くせないですよね。
北田:そう。でも海外行くと、何か文化が違うと学ぶことはあるんですよね。
山本:むちゃむちゃありますね。
北田:できれば住んだほうがいいんだよね。
山本:数カ月ぐらい?
北田:そう、住むのがいいの。だから、旅行って結局1泊、2泊、3泊ですから、同じ車使って移動したりなんかして。リゾートだったら2週間はずっと同じとこいるとか、そういうのもいいし。3カ月、4カ月なかなか仕事やってて休めないから、だから休みを決めたら同じとこにずっといるっていうのがいいですよ。あんまり動かない。だって住むとこだって同じ街にずっといるわけだから。別に2日でそこを離れる必要ないわけで。そこに2週間いたら何か気づくことやるんですよ。普通、旅行会社頼むとそんなことしないんだけど、リゾート地とか南の海のほう行ったらそういうのあるけど。普通のどこ行ったって、こういうスケジュールがあって。
山本:名所見て。
北田:うん、なっちゃうけどね。
山本:行くときは、誰と行くんですか、そういうときは。
北田:もうほとんど仕事の人としか行かない。遊びで行くのは、ゴルフはゴルフ友達で。あと家族で行く場合は子連れで行きましたね。
山本:よかった国あります?都市。
北田:好きな場所はいっぱいあるよ。
山本:やっぱりヨーロッパとかですか。
北田:僕は西海岸が好きだから自分がいたのもあるんで。
山本:なるほど。
北田:ロサンゼルスからサンディエゴに向かう南側の小さい街とかは好きですね、割と。
山本:かっこいいなあ。かっこいい。
北田:西海岸はあったかいしね。そういう感じかな。そういうとこは好き。
山本:旅行以外何かあります。あと、着るものは(笑)?
北田:着るものもちゃんと。着るものは靴も含めてね。ファッションは靴から始まるというから。靴がちゃんとしてると、すごい靴見るからね、何しろ。
山本:まじですか。今日、別にそんな気にしてない。
北田:足見るから。だから靴に金かけたほうがいい。最低5万。そう思って買ったらいいです、靴は。
山本:わかりました。
北田:とにかく5万円以下のやつは買わないと思ったほうがいいね。
山本:5万以下の靴は買うな(笑)。
北田:で、1回2足。同じものをね。
山本:どういうこと?
北田:こう履き替えていくの。
山本:1回ってどういうことですか。
北田:同じものを2個買うんです。
山本:ほんま?
北田:うん、気に入ったのを。
山本:で、おんなじものをずっと履くんですか。
北田:履かないよ、何足か買って取り替えて履いていくんですけど、結局、多くとも1週間ぐらいにして替えていくから。
山本:北田さん、何足ぐらい持ってはるんですか。20足ぐらい?
北田:数えたことないけど。
山本:どういうこと、いっぱいあるってこと?
北田:いっぱいあるよ、それは。
山本:いっぱいありそう。
北田:靴は仕事で毎日履く。日本人は毎日履く人が多いのよ。男性は毎日履く、同じの履く人多い。
山本:はい、僕も。
北田:大体履きつぶしていくのね。
山本:それがそういうもんかなと思ってました。
北田:だから、最初2足買わなくてもいいから、だったら5足とか買って、で、毎日替える。
山本:靴を替える?
北田:とにかく同じ靴を履かない、毎日。黒なら黒でもいいから替える。で、茶の日もあれば他もあるでしょ?
山本:わかってくるん?そしたら。
北田:うん、靴がわかってくる。だから、まとめて最初30万ぐらい買えばいい。5万ぐらいの靴を。5万円の靴を買って。大事にするから、そしたら。
山本:そうですね。
北田:絶対。靴のお手入れも覚えるし。塊ですよ、そのぐらいになったら。
山本:そうですよね。売り場ですよね(笑)。
北田:売り場っていうか、大事な時計も30万、50万と同じだから。
山本:そうです。
北田:大事にするでしょ、やっぱり。
山本:確かに大事にします。
北田:適当に置いてけないじゃないですか。
山本:置いてけない。
北田:雨の日はこれ履くとか、やっぱり少し考えて。買ったら最初の処理が大変なんで、買ってすぐ履かないから。革底買うか、革底じゃないかってそこの手入れが違うから。履く前の処理が必要なの。
山本:メンテナンスが?僕はそこが違うんですね、実は。
北田:長持ちするようにするためにはなんだかんだあるんですね。僕はもうめんどくさがり屋だから、今、新しく使うと必ず持ってくのが羽田空港の靴磨き屋さん。これはすばらしいのよ。
山本:(笑)だいぶかかる。
北田:磨き方が。
山本:最初に磨くんですか。
北田:そうよ、買ったらね。
山本:ちょっと教えてください。わかってないです、僕。
北田:靴買うとそのまま履いたらだめなのよ。
山本:僕すいません、裏だけ打ちましたよ。
北田:何の処理もされてないよ。買ったら履いちゃだめなのよ。革底だったら革底の処理もしなきゃいけないし、革底でなければ裏はさわんないけども表を、僕はもう羽田空港の靴屋に持っていくの。ここはもう完璧にやってくれるから。
山本:どう完璧なんですか。
北田:丁寧にそのクリームから入れて、靴墨入れて、きれいに丁寧にやってくれるから。それを、たまにやっとけばOK。
山本:羽田空港なんですか。
北田:羽田空港なの。
山本:何で羽田空港なんですか。
北田:この磨き屋がいいのよ、すばらしいのよ。伊丹(空港)じゃない。
山本:伊丹(笑)。
北田:違うの、経営が。職人も違うしね。羽田空港の職人はすばらしいのよ。
山本:5000円とかそんなんですか。
北田:いや、1足720円とかだもん。飛行機乗る前にちょっと早く行って、両サイドにあるから。ANAもJALもどっち側にもあるから。
山本:どっちもおんなじ経営なんですか。
北田:同じ経営で。はやってるからね。
山本:めっちゃ面白い(笑)。
北田:そこは絶対だよ。
山本:そうですか。はずれなし?
北田:その辺の靴屋の磨き屋とは全く違うからね。
山本:むっちゃ面白い。
北田:必ず。新しい靴買ったら持ってったらいいって。もしくは履いて持ってったらいい。でね、朝履いてって、飛行機乗る前に磨いてもらうっていう。そういうふうにして、やっぱり最初の履く前の準備が大事で長持ちするし、汚れないし。あとは家で軽く拭くだけでも大丈夫だから。家で墨入れてバーッてやるのなかなか難しいんだよね、テクニックがあるから。なかなかちゃんとできないんだよ、家でやると。やる人いますけどね。そんなのは専門家にやってもらうの。たったそれ700円でそこでやってくれんだから。
山本:初回だけですか。1年に一遍持っていくんですか。
北田:いやいや、月1回ぐらいでやるの。
山本:ほんまっすか。
北田:うん、月1回ぐらい。
山本:すげえなあ。
北田:そうすると、月1回目で同じ靴をそこでちゃんと磨いてもらうと、その間は靴墨入れなくてもいいわけ。いわゆるブラッシング代だけで済むよね。
山本:確かに、自分で、僕もたまにやるんですけど光りますもんね、ピカーッて。確かに光る。
北田:それはもう、丁寧にやってくれるから。
山本:違うわけですね。
北田:全然違う。おすすめね。あと、十分に俺ができたとは言えないけど、やっぱり本を読む時間を今、なかなかないんだよね。俺もインターネット見たり、パソコンとかで空いてる時間見るから、本読む時間どんどん減っちゃって。これは自分の反省っていうか、やっぱり活字、今要らなくなってきてるけど、それはiPadで本は読めるけども。
山本:わかります、本ちゃいますよね。何かiPadで読む本よりも、こっちのほうが値打ちあるように感じますね。
北田:やっぱり読書量ってあったほうが人間の深さが出てくるんじゃないのかな。
山本:圧倒的にね。そう、読まなあかんねんな。
北田:これは俺も、今できてないからあんまり偉そうに言えないんだな。
山本:いや、もう30代中盤から全然読まなくなって、何やろう。
北田:俺も、ビジネス書とかそういう必要なもの以外は最近読まなくなってしまって。
山本:わかります。
北田:そういうのって、自分の知識の引き出しがある程度あるけども、そういう経験も含めてね。新しいものを補充しなきゃいけないよね、やっぱり刺激として。これは永遠なんだよね、きっとね。
山本:もう死ぬまでね。
北田:死ぬまで。僕は今、若い世代があなたぐらい、ちょうど40歳前後の社長が結構つき合い増えてるから、結構それがうれしくてすごい刺激的なんですよね。同世代がもう終わってるからほとんどが。
山本:卒業してる(笑)。
北田:それはそれでゴルフ仲間で面白いんだけど、会えば年金と介護と病気と、もう話題決まってるから。
山本:(笑)
北田:あと自慢話と。それしかないから。だから将来がないの、そういうのでは。あなたたちの世代はこれからの人生だから、これから20年、30年どうやってバリバリやっていくかっていうことが勉強になるんです、僕は。
山本:だから、どういうふうに金使うかっていうのがめっちゃ聞きたいですね。
北田:金の使い道は、自分への投資という意味ではさっきの食べ物もそうだし、着る物もそうだし、自分へ投資したらいいと思いますよ。それはまだ若いから体力あるだろうし、体のメンテナンスがそれほど要らないかもしれないけども、やっぱりちゃんとメンテナンスをするのにお金かけないと、人間ドックとか。だから、そういう金が大事よね、自分へ投資。要するに車でもそうだし、やっぱり点検とかそういうのちきっとやってくとか。
山本:メンテナンス重要。