対談第一回 北田正喜氏
北田氏対談6P目
「経営より難しいこと」
北田:自分と奥さんへ投資だな。
山本:奥さんにしたプレゼントで喜ばれたものって何かあります?あんまりちょっと言っていいのかわからんけど。やっぱり奥さんを効率よく喜ばせるのが僕は結構、人生で重要かなと思ってるんですよ。効率。
北田:そら重要よ。
山本:めっちゃ重要やと思ってるんですよね、これ。
北田:なかなか難しい課題やな。
山本:めっちゃ難しいですよ。
北田:経営以上に難しい。
山本:女喜ばせるのん、ほんま難しいですね。文句よう言うからな、あいつら。
北田:だから、難しいんだよね。高いもん買ったら、どこでどんなどうしてそんな物。
山本:(笑)
北田:金の出どころはどこだ?とかっていう(笑)。そんなに持ってんのみたいにね。高い物あげると何か誤解するし、何か悪いことしてるのって言われるよね(笑)。実に難しいね。
山本:何か2個ぐらい成功パターン教えてくださいよ。
北田:旅行に行くのは大事だね、一緒に。これは、うちは犬2匹いるから、犬と子どもたちと、結婚して奥さんとか、家族旅行とかそういうのは。あと犬のために旅行は行ったりする。愛情注ぐのは犬。
山本:犬連れていくんですか。
北田:そう、もちろん犬連れていく。犬2匹連れていくの。
山本:どんな犬ですか。
北田:ゴールデンレトリバーと、
山本:でかいやん。
北田:もう1匹はミックスだけども中型犬と。
山本:車ですか。
北田:もちろん。今は、女性はなかなか難しいけど、うちだったらもう子育て終わってるからさ。愛情の注ぎ先が犬だから。犬が喜ぶことは女房も喜ぶ。
山本:(笑)
北田:子どもが喜ぶことは奥さんも喜ぶわ。旦那1人の行動って恨まれるね。ずっと恨まれる。何で休みにゴルフ行ってるみたいなこととかそれはあるけど(笑)、一緒に行動しないと奥さん喜ばない。
山本:ものより時間ってことですね?
北田:そう。共有する時間とか、そういうのがやっぱり女性喜ぶんじゃないの?そりゃ、おいしいもん食べても、毎日要らないしさ。物欲って、ある人とない人いるけどね、女性でも。うちのやつ、そんな物欲ないんだよね。だから、そういった家族とか、まあ、犬も家族みたいなもんだから、そういうのといる時間が長いほうが喜ぶね。毎日家にいたら嫌がるだろうけど、一緒にいりゃいいもんじゃなくて、適度な距離感も大事だな(笑)。そこはちょっと微妙です。
山本:(笑)。僕はホワイトデーとか誕生日とか、一応そういうのはやるようにしてるんですけど、それはやって当たり前よねっていう感じなんで(笑)。
北田:習慣みたいなもんだよね、もうね。
山本:そうですね。
北田:うちは家族、息子3人だけど、ちっちゃいときから全員の誕生日はみんな必ず集まるの、その年ごとに。大人になっても今も集まる。ずっとその食事会をしたりするのは続けて、割と仲いいんですね、兄弟3人も。だから、家族仲いいっていうのは、大変ありがたいことで。
山本:息子さん、もう二十、
北田:上が32。
山本:あ、すごい。
北田:長男はね。
山本:じゃあ家族だけで集まるんですか。
北田:いや、奥さんもいるから。もう長男、次男は結婚してるから奥さんも。だから、今は盆と正月別だけども、お誕生日とかゴールデンウィークも旅行一緒に行ったりとかいって。その費用は親が持つんだけど、持ってあげるけども。ただ、結婚した相手さんも親がいらっしゃるんだけど、こっちはこっちで一応集まって。だから、そういうのは割とやるし、みんな嫌がらないで参加するから。
山本:でも、確かに盆と正月よりも誕生日とかのほうがいいかもしれないですね。
北田:それは集まるとかね。あと、時間が空いたときに、みんなが同時に休むのはなかなか大変だけども、一緒に海外旅行行くとか。
山本:年に1回?
北田:そうそう。そういうのいいと思うよ。
山本:俺もやりたいな。
北田:そういうのにお金使えばいいんじゃないの?
山本:そうですね。確かに(笑)。
北田:そういうの、お金の使い道として一番、
山本:妥当ですね。
北田:円満な解決法だよ。
山本:(笑)
北田:そこで100万使ったって惜しくないみたいな話で。
山本:確かに。ていうか、思い出に残りますしね。
北田:後々、効果は抜群じゃない。
山本:(笑)
北田:高い時計買っても本人喜ぶだけで、別に家族誰も喜ばない。
山本:喜ばないですからね。旅行は国内だとどこがいいんですか。やっぱ温泉ですか。
北田:まあ、どうでしょう。いろんなとこ、いいとこはいっぱいあるよ、それは。
山本:家族で行って過ごしやすかったとこあります?
北田:今年のゴールデンウィークは軽井沢に行ってきたけど。ドッグランつきの、ドッグランって犬が遊べる敷地つきの別荘を借りて、それはよかったよ。
山本:それはいいでしょう(笑)。で、バーベキューしたでしょう?
北田:そうそう。
山本:で、犬も駆け回れて。
北田:300坪ぐらいある。
山本:すげえ。
北田:別荘を、それは仮もんだけど借りて。自分の別荘持つより全然楽だから。もうメンテ全部してあるから。高いけども。で、8人ぐらい泊まれるしね。部屋数もおっきいから。で、ドッグランが200坪ぐらいあるんですよ、走り回れる。
山本:ドッグランめっちゃでかいな(笑)。
北田:(笑)。それはよかったよ。そういうのとか。だから、軽井沢のよさっていうよりも、そういう場面だよね。遠いのもなかなか大変だから。
山本:大変ですね。
北田:行ける距離で集まれるところにね。うちは今、関東にみんないるんで。
山本:何か奥さんを選んだあれってあるんですか。
北田:かみさん?
山本:うん。
北田:選んだ?
山本:え?かみさん、結婚するときにあるじゃないですか。僕もあるんですけど。
北田:それはスイッチあるよ。ただ付き合ってる女と違うよね。結婚っするってスイッチ要るよね。
山本:何が決め手だったんですか。
北田:僕はね、うちのかみさんは尊敬できる人だね。
山本:え?どういうところが。
北田:人として尊敬できるかどうかっていうのは、結婚の決め手。
山本:それは、すばらしいですね。
北田:互いにできれば尊敬し合えたら一番いいですね。相手も自分に対して尊敬の念を持ってくれる。まあ他人だから、所詮。要は、お互いに尊敬できるっていう部分を感じないと、一緒に長く暮らせないと思うんだよね。ただ好きとかっていうだけじゃ飽きちゃうし、みんな。
山本:尊敬ね。
北田:人間として尊敬し合えるかって、子育ての仕方もそうだし考え方もそうだし。
山本:一番尊敬できるのって何ですか。これ多分、書いといたら嫁さんが喜びますよ。
北田:それはどこって言われるのも難しいけども、当時、仕事同じ会社にいたから、仕事ぶりも見てたけども。
山本:それはいいですね。
北田:たまたま昔は付き合う範囲も、仕事ばっかしてるわけだから、もう自分の会社、社内しかなかなかいないんだよね。そういうのって。社内結婚、昔多かったの。今はみんな学生時代からとか、いろいろあるけど。で、どっか飲み屋で知り合ったとか、要は友達の紹介とかって、そういうのあるんだけど、社内だったから相手も僕の仕事を見てるし。だから、そういう意味では理解するっていうか、お互いに理解力が。だから、残業も多くて休まなくても、そういうもんだって知ってるからさ。ほかの人だったら、何でこんなに休まないとかって多分言われちゃう。そういうのない。もうしょうがないと思ってるから。それを理解してくれたしね。そういうのはありがたかったね。もう毎晩帰ってこないから、ほとんど深夜まで。で、土日も出てくんだよ。
山本:何をやってるんですか。
北田:いついるの?みたいな(笑)。
山本:(笑)
北田:そういう意味では、よく耐えて頑張ってくれるしね。
山本:それは感謝ですね。
北田:で、勉強熱心な女性なんで、いろんな新しいこと挑戦したり。だから、50子育て終わってからもやってるよ。
山本:結婚したらダーバン辞めました?
北田:うん。もう昔は辞めるんだよね。
山本:やっぱり?
北田:何となく今だったら置いときゃよかったと思うけどさ。
山本:(笑)
北田:そんなの全然気にしなくてよかったのにと今だったら思うけど、昔は辞めさせるんだよね。もったいない。でも、結婚して1年半後ぐらいに子どもができちゃったから、もうどっちにしてもね。で、2人、3人と順番にできていったし、預けて仕事させるっていうのは、もうちょっと難しいなっていうのはもともとあったので。もう完全に下、3番目ぐらいが中学、高校ぐらいになってから、また働き出したいという意欲が出てきて。それで自分でちゃんと勉強して国家試験も通って仕事を始めてね、今は役所にいるんだけど。
山本:堅いですね。
北田:堅い。
山本:堅くていい。
北田:もともとも勉強好きな人なんでね。
山本:北田さんみたいな優秀な経営者って、
北田:いや、優秀とは限らない。
山本:いやいや。やっぱいろんなことを改善すると思ってるんですけど、僕も結婚2回したんですね。2回目したんですけど、うまくいかないときってあるじゃないですか、仕事も家庭も。で、仕事と家庭の両立で、何か工夫したことってあります?
北田:それぞれ家庭環境が違うから、何とも言えないけど。僕は、だからよく仕事を取るか家庭を取るかみたいな話あるじゃないですか。
山本:ある(笑)。
北田:あるけども、仕事を一生懸命やると家庭をおそろかになるのは僕もそうだったけども、それがトラブルになっちゃうかどうかは別なんだよね。だから、若いときは仕事をするから、当然休みも少ないし、家庭に時間割いてないよ。でも、トラブルにはならないように持っていく。
山本:どうやるんですか。
北田:これ、家庭を大事に一応してるわけよ。
山本:どうやって。
北田:そりゃキーポイントのときは、家庭に時間を費やすんだよ。大事なタイミングを逃さないわけだよ。
山本:(笑)商売みたいやな。
北田:そうそうそう。だから、けんかしたことないですよ、女房と1回も。
山本:ほんま?すげえ。
北田:もう35年ぐらい。
山本:かっこいいっすね。
北田:いや、かっこいいって、そりゃ俺がよく見えるけど、女房がうまいんだと思うけど。
山本:(笑)
北田:要するに、大体、問題起こすのは俺のほうであって、女房じゃないから。
山本:(笑)
北田:素直に謝るというのはあるけど、けんかにならない。
山本:じゃあ、まず素直に謝りゃいいんですね、男が。
北田:そう。そうすると、けんかにならないから。ああだこうだ言い訳するからけんかになるんであって。
山本:(笑)
北田:言い訳はないと。
山本:おまえの言うとおりだと。
北田:そのとおり。
山本:(笑)
北田:ごめんなさいって言えば、怒りようがない。しばらく口利いてくんなくてもそのうち。
山本:(笑)
北田:それは、けんかにならないですよ。
山本:ならないですね。けんかじゃないですね。ちょっとあきれられるぐらいの。
北田:そう。あとは、子どもの大事な参観日だとか、入学式だとか運動会だとかは休む、ちゃんと。どんな状況でも。ここっていう、いてほしいときにはいる。ほとんどいないんだよ。
山本:(笑)
北田:ほとんどいないんだけど、ほとんど毎晩午前様なんだけど、ここっていうときにいると、意外と解決できるんですよ。
山本:(笑)わかりました。
北田:だから、家庭も円満にできないやつは仕事もできないという話になってる。僕は仕事やってますけども、もう家庭はどうでもいい。それはおまえ、仕事もできないってことだよっつうの。それは、だめっつうの。だから、どっちか取れないっていう発想そのものがおかしいっていうの。だって、たった4、5人の家庭の運営できないやつに、組織任せられない。
山本:(笑)組織がね。そりゃそうや。5人の部隊、仕切られへんのにね。
北田:何で100人も200人も任せられるんだ。
山本:面白いですね。
北田:で、仕事をちゃんとやってるやつは、家庭もできるはずなんだ。そう思えと。
山本:あ、思えと?
北田:うん。だから工夫しなさいという、家庭のことも。仕事と思ってもらわんと、家庭を。どうすんだよ、家庭を。目標があるんだろ?と、ちゃんと家庭にも。子どもさんがどこの学校入るとか、ちゃんと大学行くとかさ。
山本:あるある。
北田:それ達成させなきゃなんないから、どういう作戦立てて、どういうそういう。
山本:作戦ね(笑)。
北田:戦略立てるんだ。費用も要るだろうしさ。借り入れすんのか、どうすんのか、いろいろあるじゃない。親から借りるのか、自分で稼いでんのか。
山本:確かに。
北田:だから、それと仕事の運営は同じなんですよ。と俺は思うんだけど、俺はたまたまうまくいって結婚も1回しかしなくて、子どもちゃんと健康に育って学校も卒業して、就職もして結婚もしてるから、そういうラッキーだと思います。これはラッキー。偉そうに言ってても、できない人はできないんだけどね。たまたまそうなったから今言えるのであって、みんながそれをできるとはわからないですよ。それは環境、病気になるかもしれないし、それはわかんないもん。
山本:僕みたいに1回失敗すれば(笑)。
北田:それはそれで社会勉強。
山本:社会勉強ですよ、本当に。
北田:それはエネルギー要ると思うし、僕はそんなこと考えもしなかったから。
山本:それむちゃくちゃ幸せですね。いやええな。
北田:ファッション業界、離婚が多いですよ。ものすごく多いから。俺の周りで大体平均1.5回から1.8回ぐらい、生涯に1回とか3回とか。1回しかしてないの、俺とごく限られた人間しかいない。ほとんど離婚してる。
山本:じゃあ優秀ですね。公私ともに。
北田:大体みんな、割と営業で飲み歩くでしょう。で、ちょっと自分の収入より多く使っちゃうわけですよ。見栄っ張りが多いから。そうすると、借金も背負うことになるし、そういうトラブルだとか、女性も好きなように持ってったりするもんだから、もう大体これだよな。そこをうまく奥さんをコントロールしなきゃだめ。
山本:今のカットですね(笑)。もしくは僕が言ったってことで(笑)。
北田:でも、それはどんな業界でもちょっと、
山本:同じでしょう、それ。
北田:外で出てる仕事してると付き合いも増えるし。まあ、それ言い訳にすると、まただめなんだよね。
「経営に必須なことは熟慮断行と運」
山本:逆に、自分の家族でもいいですけど、おとんとおかんに言われたことで、これ守ってるとかってあります?
北田:だから、おふくろには、さっき言った子ども時代、短気は損気って言われた。
山本:(笑)めっちゃおもろいおかんやな(笑)。
北田:短気は損気って言うの。
山本:ずっと言われた?
北田:そうです。だから、子どものときはもう怒りだす、短気だったから。すぐけんかするし、すぐ怒りだすし、それはもうだめと。
山本:(笑)じゃあ結構怒ったわけですよね、そういうふうに(笑)。
北田:切れやすいのよ。意外と本当は、もともとはね。だんだん角が取れてくるわけよ、人間っていうのは。
山本:(笑)
北田:本性どっかで内在的にあるかもしれないけど、だんだん経験が丸くさせてくれる。
山本:いいっす。おかん様様ですね。
北田:そうそう。熟慮断行って、これはおじいちゃんがね。熟慮断行。熟慮=よく考える、断行=決心したら思い切ってやる。これ今も自分で子どもたちによく言ってる。熟慮断行って、なかなかできそうでできない。しっかり考えないで軽率に動く場合あるんですよ。でも、経営って決断力の勝負だから、でも、ちゃんと考えないと会社方向曲がっちゃうから。そうすると、最後決めれないやつ一番だめなわけ、経営者って。
山本:熟慮断行、それは当たり前やけど、いいっすね。
北田:当たり前だけど、なかなかできない。
山本:なかなかできないですね。
北田:熟慮断行。それは言われたの。
山本:まさしくそうですね。
北田:うん。そういうのは。今、僕は座右の銘とか言われると、率先垂範、有言実行とかわかりやすいんですよ。熟慮断行っていうのは別に仕事でもなく、人生として。
山本:どっちも難しいですね。熟慮も難しいし、断行も難しいし。
北田:そうよ。そのタイミングって難しいんだよ。だから、決断力ないと経営できないから。
山本:できないですね。
北田:決断するには根拠が要るじゃない、自分で。
山本:要る。要りますね。
北田:社員に説明しなきゃいけないし、右行くか左行くかみたいなさ。
山本:(笑)そうすね。
北田:で、それを決めたら、説得する必要あるんですよ。
山本:あるある。する。リーダーシップがね。
北田:だから、熟慮してないと説明できないわけよ。いや、そんなの勘だとか言っても、勘ですかみたいなのがあるからさ(笑)。でも理屈って、それが正しいか間違ってるかは別問題だけど。それは経営の判断だから、間違いもあるんですよ。間違いか正しいか、あとで決めれることであって、そのときは信じてる、信じることだから、反対意見もあってしかるべきなんだよ。でも、責任取る立場だから、やっぱこういう理由でこれは決断をしますっていうのがとっても重要だと思うよ。だから、それはささいなことから、さっき言った例えば価格変更、普通じゃやんないけど、もう全部変えてやるとか、どっちにいくかわかんない。これで売れなかったら在庫も残るし、利益も取れないし。それで、担当者が何でそんな無茶するんですかって言うかもしんないし、セオリーを壊す場合もあるから。でも、自分のひらめきとかっていうのもあって、これはやってみたいんだという決断。社長も多分そういういくつかの、どんどんいろんなこと経験されていく中で、でも決断の連続じゃないですか、経営っていうのは。
山本:そうですね。
北田:何でも。だから、こういう企画を立てるってことも決断だし、こうやって時間割くのも大変じゃない、忙しいのに時間割いてね。
山本:いやいや。
北田:商売もあるだろうし。そういうのすべて決断の連続性の中で、でも、考えているんじゃない?みんな。
山本:熟慮断行、熟慮決断ってことですね。
北田:熟慮断行っていう言葉がある、四文字熟語があるんですけども、そういうのは大事だねと今も思います。
山本:俺、断行は結構できるほうなんですけど、熟慮はできないですね。
北田:(笑)
山本:(笑)熟慮、超難しいね。
北田:熟慮しなきゃだめだ。
山本:(笑)超やりたいと思って、ここの企画もとりあえず。
北田:いや、思いつきも大事よ。
山本:その割には結構うまくいい人見つかって。
北田:あと、運がある人かない人かって。
山本:運はあるっすね。
北田:ものすごくある。
山本:運はある。
北田:社長も多分運があると自分で思うように、僕も結構運があると思うんですよね。
山本:いや、自分で思ってますね、それって。
北田:何か流れがあのときこっち行ってればなと。もう人生、僕は4分の3終わってるからあるわけよ。
山本:(笑)そんな言い方する人、初めてや(笑)。
北田:いやいや、90%とは言わない、まだ4分の3いったぐらい。
山本:(笑)
北田:あのとき、だって岐路っていっぱいあるじゃないですか。
山本:ある。
北田:あのときこういう判断してれば、あのときこっち行ってればみたいな。いくつかあるよね、節目になるような。
山本:あります。
北田:そうすると、あのときあっち選んだらどうなったかなとか思うけど、でも結果選んだ道を、自分が是としたほうをよかったと思える人生かどうかなんですよね。ひょっとしたら違う道を選んだほうが成功したかもしれない。これはこれで仮説であって、選んだ道を正しいと判断してやってかないとだめなんですよ。間違った選択したと思った瞬間にだめになるから。正しい選択をしたんだと思わないと。で、神様がたまたまそのときちょっと嫌だったけども、そうさせたんだと。俺はアニヤハインドマーチ行ったのは、あのとき何でこんな会社って一瞬思ったけど、いっちょやったるって思ったときにはもう切り替えたから、正しい選択なんだよ。自分が選んでないよ。選んでないけど、神様はそういうのを巡り合わしてくれたんだと思うようになるというか。そういうふうに肯定的にものごとを考えられれば、運もついてくると僕は思うんですね。結局運って引き寄せるじゃないですか、何となくこうやって。
山本:引き寄せる。まじで引き寄せますね。
北田:引き寄せてくる。アンテナ張ってなきゃいけないしって、あんまり意識してないけど、あとで思うんだよね。あっと思うんだよ。で、僕は人生の苦境もいくつかあったけど、何か予想をしない展開に助けられたりするのね。え?みたいな。助け舟なんか全然想定してないのに、これ多分やっばいなっていうときに、あれ?っと救われたりするわけよ。これは神様見てるのかなと思うもん。
山本:引きですね。
北田:運あるなと思うときがある。
山本:引きを感じますね。
北田:感じる。それって多分そこそこやってる経営者、みんな何か体験してるね。
山本:いや、ありますよ、ほんまに。
北田:あるんだよね。俺も何度かあるもん。だから、ついてるなって思うんだけど、でも、それご本人の日頃の行動がそれを導いてると思う、多分ね。そんなに意識してないんだけど。これは経営者って運がある人ない人で、もうついていくと大間違いだから。いける人といかない人で。
山本:(笑)
北田:だから、俺はいろんな会社を知ってるけど、経営者に運があるか見たほうがいいと思う。ついて行くんだったら。間違うとえらい目に遭うことになる。これ全部自分で解決したらいいんだけどね、そんな(笑)。
山本:いやいや、でも、あったほうがいいですよ。
北田:運はあったほうがいい、絶対。
山本:運いいほうが絶対いい。
北田:だから、運があるって言ってる人は運がくることもあるから、運ないんだって言ってるやつ、絶対一緒にいちゃだめだね。
山本:(笑)そりゃそうやから。
北田:そういう人は運こないから。
山本:確かに。
北田:僕はついてるんですよって言ってるやつの集団のほうが、絶対売上げ上がるから。
山本:(笑)
北田:楽観的すぎてもいけないけどね。結果論としてあるじゃない。何か、え?と思うときがあるんですよね。ありゃーと思って。
山本:ありますね。いや、僕、想像どおりの話があってよかったですよ。むっちゃ面白い。自分もためになる。
北田:まあ、参考になれば。
山本:めっちゃなる。
「食事会では一番気を使う」
北田:若い世代と話すのは好きですけどね。今日はこうやってだから一対一を基本にして、私は聞かれる立場、しゃべりますけども。できるだけしゃべりすぎないようにします。これ、難しいのよ。
山本:難しい?
北田:年下だったらどうしてもこっちがしゃべってしまうパターンがあって、相手の話を聞き出すって、意識しないとできないのよね。質問してあげたらいいのよ、こっちが。最近それは女性たちと食事したりとかするときには、最初は上下関係あれば仕事の話をどうしてもしてしまったり。
山本:仕事の話が一番安定するんじゃないんですか。
北田:安定だけど、こっちばっか主になるってより相手にしゃべらせる、うまくもっていってコミュニケーションを引っ張り出さないといけないです。それは意識してますね。
山本:だから最初に絶対振るネタとかあるんですか。
北田:いや、それは何度か一緒に食事してて話しするか、初めてかでまた違う。
山本:初めて。
北田:初めてだと、相手が販売員さんなのか、女性の場合ですよね。取引先なのか、それでもう全然違いますよね。自分とこの社員だったら、その人の部署とか仕事の職務内容とかあるから、
山本:仕事の話になる。
北田:それをベースに話をしていくのが最初ですね。で、できるだけリラックスできるようには、最初は大体相手は緊張しちゃうから。
山本:社長ですもんね、相手。
北田:食べないで、縮こまっちゃう。少し酒飲んだりしながら大体複数だから、別に一対一とかじゃなくていっぱいいるからさ。
山本:確かに(笑)。
北田:目配せをしながらちゃんと、気をつけなきゃね。
山本:(笑)
北田:この子とばっかり話ししてるとだめなんだ。この子のほかにもこっちにもいる、こっちにも。
山本:一番気使ってるっていう(笑)。
北田:一番気使ってるそのとき。めちゃめちゃ気使いますよ。
山本:(笑)
北田:で、つまらなさそうにしてる子いたら一応質問してあげたりなんか、まあ考えるって。それは調子のいい子っているから。宴会上手な子とか、そういうのを。話す内容は、基本は仕事の話ですけども、話題がどんどん違うとこいったら大体話すネタを五つや六つあるから、そういうのを自分の中で選んで、こんな話とかあんな話とか。だから、売り上げが厳しくて困ってる店舗だったら、売り上げのいい店の話とかモチベーション上げてやりたい。ただの飲み会にしたくないから。明日から頑張ろうと思う、俺なんかに会うのは、半年に1回とか1年に1回しか会わないときに、俺と2時間過ごすことによってエネルギーをもらったってならないと困るわけです。楽しい人ね、じゃ俺は困るわけよ。
山本:わかります。
北田:エネルギーもらって、よし、明日から頑張ろう!みたいにになってもらいたいから、そういうのを考えて話す。ネタを。だから地方行ったら東京の話もしたりするし、他店舗の情報だとかいろんな話を入れて、興味湧くようにちょっと話をもっていくかな。それ意外と大事。で、モチベーション上げてやる。よっしゃ明日から頑張ろうみたいな、そしたら売り上げ上がるぞみたいな。
山本:(笑)めっちゃうれしいですね。
北田:そういう話をする。
「会食で使う店」
山本:僕、実は今日一番っていうか、聞きたかったのは、おすすめの店教えてください。
北田:都内は仕事上使ってる店ってのはいくつかありますよ。
山本:安くてもいいです、めっちゃ安くてうまいとこ。もう最高ですよ。
北田:何がいいかな。最近だったら、どこ使ってるかな。今、アニヤ・ハインドマーチの本社が青山にあったので、表参道から根津美術館のほうに入っていくと、アニヤの直営店があるんですよね。プラザビルとかわかりますかね。
山本:わかります。
北田:あの交差点を一本入ったとこにある八兵衛っていう寿司屋。寿司屋なんだけど洋風寿司屋なんだ。で、地下はワインバーがあって、上は寿司で地下のワインバーでも寿司をとってくれるんだけど。
山本:ワインバーと寿司はうまそうやな。既に今から行きましょうって感じやね(笑)。
北田:上はいっぱいになると下しか空いてないときもあって、若い人なんか下のワインバー。
山本:ワインバーで食いたいですけど。
北田:ワインバーで上の寿司も刺し身も出してくれるし。で、俺なんか大人、外人も好きなんで、そういうとこね。なんで、八兵衛は結構使うかな。青山で食事したときはね。会食にも使えるし、あそこは和だけど洋もある。基本寿司もあり。ワインが飲める寿司屋、そういう感じ。今風だよね、コンビネーションがね。もともと寿司屋なんだけど。
山本:コンピレーション(笑)。
北田:昔ながらの寿司屋っていっぱいありますよね、銀座とか。それは好き好きだよね。
山本:好き好き、本当に好き好き。
北田:値段も高いし、それはもう銀座のお姉ちゃん同伴で行くときに行くぐらいなもんですよ。接待そういうとこ使ってたら、あんまりそういう最近センスあると思わないよね。だから僕はワインも飲めておいしい魚も、寿司もうまいし、そういう世代も幅広がるじゃない。
山本:それ、広がる。
北田:ね。
山本:寿司とワイン、うまそうやなってなるもん。
北田:そういう店は最近新しいかなと。そうそう。あと、最近おしゃれだなって思った店はどこかな。しゃれてるな、よく使うのは銀座の何丁目だっけな。並木通りにある店はよく、外人なんか接待に使う店があるんですけども、銀兎っていう店だ。ここはおいしいですよ。このレストランは個室もあったりして、結構ちゃんとした接待とかできる。
山本:ありがとうございます。役得や。おいしいもん食うしかないんですよね。
北田:それも経験ですよね、経験です。銀兎、銀座。フランスの、一応フレンチだと思う。でもイタリアンだよな。イタリアン、ここはコース料理で、ワインが結構あるけど、ワインの値段で変わるんだよね、金がね。
山本:全然違います?
北田:料理そのものは一人1万円しないぐらいでコースであって、あとはワイン次第。だから俺は、ロンドンから来たりすると、7、8人の入る部屋、大きい部屋、個室意外とない、レストランね。
山本:そうですね、ないっすね。
北田:10人ぐらい入れるちゃんと個室があったりすると、きちっとテーブルがあってサーブしてくれて、ちゃんと対面、要するに会食ですよね。あっちも5、6人でこっちも5、6人。ワイン飲んで。
山本:確かにないっすね、日本は。
北田:なかなか、やっぱり銀座とかこういうとこ行くとそういうのはちゃんとそれ用の部屋があって、もちろん部屋料金取られますけども、ほかの声聞こえないでいいじゃないですか。
山本:いやいや、ほかの声とかあり得ないですね。
北田:そういうのでイタリアン人も招待すると、イギリス人もそうだし、みんなワイン飲んで元気になると結局楽しくなるから。
山本:(笑)
北田:世界中一緒だから、もう和やかになるんですよ。みんな。
山本:(笑)なるほどね。
北田:そうそう。
山本:商売うまくいくし。
「接待は部下に任せる」
北田:そうそう。そういうのって、やりすぎもいけないけども、ポイントを押さえるね。僕は接待づけしないタイプなんで、アパレルも結構接待攻勢する会社もあるんですけども、あんまりしない。だから金の使い方は、むしろ僕はOKするけど。行くってなると。でもしょっちゅう同じ相手にやらないようにやっぱり考えてやるね。予算のうちだったらいいじゃないですかっていう人もいるかもしんないけど、予算渡してるから。でもうまく使ったほうがいいよねと。得手不得手があって、得意先んとこでいろんな会議担ったやつばっかりいくやついるわけよ。苦手なやついけって、俺。
山本:確かにな。
北田:苦手なやつ誘えって。大体、それ言わないと得意なやつばっかり行っちゃう。また行こうまた行こうみたいになって。俺もだから若いときから得意先増えるでしょう。電話でも済むような得意なところはもう誘わない、申し訳ないけど。あんまりまだ会ったばっかりの苦手なところにできるだけいくわけよ。そうやってやっぱり仕掛けて作っていかないと、万遍に得意な、得手不得手を作っちゃだめなんだよ。
山本:僕、好きな人には会いに行きますからね。
北田:これ、経営者ほどやんなきゃだめなの。で、経営者ほどわがままになっちゃうと、あそこ好きだけどこっち嫌いとか勝手になっちゃう、得意先でも。
山本:なりますね。
北田:苦手なところに自ら行かないと、関係改善しないんですよね。
山本:そうですね。頭下げに行かないとね。
北田:そう。それで飯も食ったりして、最終的に和やかになるんですよ。それは部課長には絶対やらせたほうがいいのね。
山本:てなると、社長がやってないとみんなやんないから、
北田:やらない。
山本:社長がやらんとだめですね。
北田:そうそう。社長の出番って限られてるから。
山本:そうですか。
北田:そうだ。しょっちゅうだから出ていく必要もないんですよ。
山本:(笑)わかりました。
北田:任せるのが大事よ。いい店紹介してやって、この店連れて行けと。20万使っていいよ、飲ませろよみたいな、ね。2軒目行くならここ行けって、2軒目も教えてやるとか。もし2軒目行きたいって言ったら、銀座のここ連れてけっつったら、俺の名前でいいよ、とかそう言ってあげればいいよ。
山本:それはいいですね。それは顔立ちますね。
北田:顔立つでしょう。いやいや、社長がぜひって言ってましたからったら、いや、そうなの?って。
山本:確かに。
北田:そういう2軒目も一応知っといたほうがいいです。
山本:そうですね。
北田:うん。2軒目。歌うたうのが好きなのか、ね。人によって違うから。
山本:(笑)
北田:昔ながらの銀座のクラブは高いから、1人やっぱり5万以上するのはちょっと耐えられないので。やっぱり1人2万円以内で(笑)、ね。
山本:商売がついていかないですからね。そんなお金かかっちゃったら。
北田:安っぽいところでやったらまた逆に逆効果になっちゃうから、こんな変なとこ連れてきやがってと言うやついるからな。これ難しいんだよね。そもそも、だから話題性も大事なの。ただのお姉ちゃんがいて、歌うとこはだめなのよ。だってその子がかわいいかかわいくないかとか、そうなっちゃうでしょう。そういうのはコンセプトがあんまりないわけよ。昔と比べて。たまに行くんだけど、六本木の店は35年続いてるクラブなんだけど、
山本:むっちゃ長い。
北田:六本木でつぶれてない有名なとこなんだけど、クラブっていうか、まあ、クラブっていうほど格式が高くないんだけど、1人1万5000円ぐらいはするんだけど、それは女の子が全員音大の子なんだ。音大か音大卒業したミュージシャン目指してるか、ミュージカルやってるか、ピアノの先生やってるか、そういう普通の子しかいないの。普通の会話しかしないんだけども、上品で清楚がいいわけ、みんな。で、ピアノひいてくれたり後ろ立ってくれたりするわけ。
山本:そりゃあうまいでしょうね。
北田:もちろん。
山本:そりゃ当たり前、むちゃくちゃ。
北田:プロの卵みたいなのばっかなの。だから、いわゆる美形で話し上手っていう飲み屋の姉ちゃんと違う。普通のお嬢さんなんで。ある種、そんなにべたっとしないんだけど。
山本:それ、マーケティングですね。
北田:こういう店って、歌うほうも一応ちゃんと歌わなきゃいけないし、面白いのよ。
山本:(笑)どういうこと、歌うほう?
北田:ちゃんと歌う、ちゃんとしたピアノだけとか、カラオケもあるんだけど、要するに酔っ払ってぐでんぐでんで歌を歌うやついないの。
山本:なるほどね、うますぎるから。
北田:みんなちゃんと歌うのよ。
山本:めっちゃ面白いな。
北田:酔っ払うと年寄りはさ、みんな下手な歌をおっきな声で歌ってさ、周り聞こえない。嫌じゃない。
山本:嫌。
北田:そうならないわけよ。
山本:面白い。
北田:だから常連が常連を紹介してみたいな。みんないい客ばっかり。そういうとこを連れいていくと、歌の好きな人なんか喜ぶわけよ。
山本:そりゃあ喜ぶでしょうね。
北田:そう、ね。得意先なんて下手でもいいから、下手なやつでもぐちゃぐちゃにならないんだよね。何となく雰囲気が、そういう雰囲気じゃないから。
山本:なるほど。上品やしね。
北田:上品なの。女の子もみんないい子でね。月に今、1回ぐらいしか行けないけど。で、1人1万5000円ぐらいは取られるよ。
山本:いや、安いですね、むっちゃ安い。じゃあ、結構お客さんいっぱいいるって感じですか。
北田:まあまあ、でもそんなおっきい店じゃないけど、女の子が7、8人いるのかな。だから、別に横に座ってくっつくわけじゃないから、向かいに座ってお酒作ってくれるとかするぐらいです。あくまでスケベ根性あるやつには向かないんだけど。
山本:なるほど、ここええな。うわー、勉強になった。そろそろ時間らしいです。ありがとうございました。
北田:ありがとうございました。